メルマガ♯がんばろう、日本!         №247(19.2.28)

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「がんばろう、日本!」国民協議会

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Index 

□ 安倍政治のたたみ方 

  立憲民主主義の社会関係資本とその経済的条件をつくりだそう

●うそ、大うそ、統計のうそ  安倍政治のたたみ方

●アベノミクスの総括から、人口減少時代の経済政策へ 

 政策思想の軸の転換

□ 囲む会 (3/19 ゲストスピーカー 小川淳也・衆院議員)

  シンポジウム(外交・安保)のご案内

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安倍政治のたたみ方 

立憲民主主義の社会関係資本とその経済的条件をつくりだそう

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●うそ、大うそ、統計のうそ  安倍政治のたたみ方

 英語の警句に「うそ、大うそ、統計」という言葉があるそうだ。小さなうそ、大きなうそ、客観的に見える数字のうその順に罪が重い、という意味だという。

 明らかに分かる「うそ」(モリ・カケ)、調べれば辻褄が合わないことが分かる「大うそ」(裁量労働制や技能実習生のデータ)に続いて、とうとう法律で定められた基幹統計の手法を変更・かさ上げしてしまうという「統計偽装」が発覚した。いつ、だれが、どのように、という追及もさることながら、実績をよく見せたい官邸の意向に政府全体が支配されていることが大きな問題だ。

 統計は、近代国家が国力の基盤(人口や生産力)を計測する必要から発達したものだが、同時に時の為政者の恣意的な判断を防ぎ、客観的な指標に基づいて政策を決めるうえで不可欠なものとして位置づけられてきた。為政者の家来ではない、独立性を持つ近代官僚制が整えられた理由のひとつは、為政者の意向に左右されない客観的な統計の取得管理のためでもある。この根幹が大きく揺らいでいる。

(立憲民主主義が機能するためには本来、政策決定と政策分析・情報分析との間に隔壁が必要だ。「平成デモクラシー」で執政権は強化されたが、それに均衡する形で執政権から独立した政策分析能力をどう確立するか―基本的に議会に立脚して―ということは、統治機構を作りこんでいくうえでの「平成デモクラシー」の主要な総括視点のひとつでもある。第九回大会記念シンポジウム第二部パネルディスカッションでも、この点が論じられた。)

 問題になっている経済統計については昨年秋、日銀が疑念を持ち、内閣府に元データの提供を求めたものの、内閣府が拒否したままになっている。強い独立性を持つ(はずの)日銀は、偽データを提供された「被害者」を装ったままではいられないはずだ。疑わしいデータを修正せず放置すれば、対外的にも中央銀行としての信頼を欠くことになりかねない。すでにウォール街では「日本の統計は40パーセント、フェイク」とも言われているという。債務残高を偽っていたことが発覚したギリシャが危機に陥ったのは、たかだか十年ほど前の話だ。

 統計手法の変更・かさ上げについて、アベノミクスの「粉飾」とまでは言えない、「厚化粧」程度だ、という見方もある。しかし「厚化粧」だとしても対応次第では、日本経済に対する信頼性は大きく揺らぐ。ただでさえこれまで、アベノミクスの実績を見せるために為替市場を歪め(異次元の金融緩和で円安誘導)、国債市場を歪め(日銀で買い支え)、株式市場を歪めてきた(日銀と年金で買い支え。今や上場企業の四割で日銀が大株主)挙句の果ての「厚化粧」なのだから。

 道理にあわないことを都合のいいようにこじつけることを、牽強付会(けんきょうふかい)という。恣意的な政策判断を正当化するためにデータを操作し、それを言いくるめたりごまかしたりし続けているうちに、もはや「政策目的」のいかんではなく「これしかない」と言い募ることが目的になり、政策過程は「貧すれば鈍する」となり、政策はますます劣化していく。「安倍一強」の帰結は、こうなりつつある。

 「安倍一強」の検証―安倍政権のたたみ方は、「貧すれば鈍する」政策過程に歯止めをかけ、現実認識の歪みを正す糸口にしなければならない。たとえば沖縄県辺野古の埋め立て。軟弱地盤の問題などで基地建設自体の実現可能性さえ疑問視されているなか、県民投票で示された圧倒的な民意を踏みにじって工事を続けることは、もはや目的が「普天間移設」でもなければ「米軍基地建設」でさえなく、沖縄の民意をねじ伏せて「これしかない」を押し通すことにあるのではないか、とさえ見えてくる。

 「これしかない」を正当化しようとすれば、現実認識は歪む。複数の選択肢を検討してこそ、現実認識の歪みは正される。「辺野古なしの普天間返還」の可能性をどう探るのか。それこそ政治の役割だ。本土の現実認識も問われる。

 現実認識の歪みの危険性は、外交面でも大きい。安倍政権は日露平和条約を政権のレガシーにしようと目論んでいるが、ラブロフ外相が強硬な発言を繰り返していることを見ても、ロシア側の譲歩は考え難い。その現実認識を歪めたまま、相手に合わせて「固有の領土」と言わないくらいのことで、なんとかなるものではないだろう。

 最悪といわれる日韓関係についても、対韓強硬論をあおるだけでは事態の背景にある構造要因を見誤る。日韓基本条約に基づく65年体制といわれるものが、米中関係を含めて構造的に変容しているなかで、日韓の今後の共通利益を見出せないことは、相対的に日本の外交力を弱めることになるという現実にどう向き合うのか。対北朝鮮政策についても、「最大限の圧力」「対話のための対話は無意味」としてきた安倍政権のこれまでの政策から、米朝首脳会談という新しい現実にどう向き合うかが問われる。(4/14シンポジウムでは、外交安全保障にかかわる現実認識がテーマになる。)

 現実認識の歪みを、さらに言いくるめたりごまかしたりし続けるのか、「新しい現実」に向き合うところから始めるのか。「うそ、大うそ、統計のうそ」は、安倍政治をどうたたむかという問題でもある。

●アベノミクスの総括から、人口減少時代の経済政策へ 政策思想の軸の転換

 毎月勤労統計の不正を機に、アベノミクスの評価が議論されている。野党は、「実質賃金の伸びはマイナスだから、アベノミクスは失敗した」とし、首相は、「総雇用者所得が増えているから、アベノミクスは効果を上げている」と主張している。確かに2018年に総雇用者所得は増えている。しかしそれは女性の非正規就業者数が増えたからで、それによって平均賃金は押し下げられた。平均賃金が下がっても雇用者数が増えれば、賃金に雇用者数を乗じた総雇用者所得は増える。平均賃金の下落=雇用の質が問題視されているのに、総雇用者所得が増えていると答えるのは、典型的な「ご飯論法」だ。(「朝ごはんを食べましたか」「ご飯は食べていません(パンは食べたけど)」というすり替え論法。)

 「問題の本質は、女性や高齢者が増えているために賃金が下がることなのである。これは、後で見るように困窮度の高まりと解釈できる。したがって、望ましいことではない。事実、18年の実質消費はほとんど増えていない」「いずれにせよ、家計の状況は好転していないのだ。だから、消費が増加しないのである。そして、このことこそが、日本経済の最大の問題であり、アベノミクスが効果をもたらしていないことの何よりの証拠だ。この点をこそ、問題にすべきである」(野口悠紀雄 ダイヤモンドオンライン2/14)

 「戦後二番目の長期景気拡大」と言われる一方、「好景気を実感できない」人々が大半なのは、賃金が伸びないからだ。むしろ実質賃金は低下している。名目賃金が増えても、それ以上に物価が上昇すれば、実質賃金は目減りする。経済成長が必要なのは、人々がまともに働けば暮らしが成り立つ社会にするためだ。「改革なくして成長なし」という小泉構造改革からアベノミクスまでの、国規模のGDP拡大をめざし、経済成長の結果の分配を期待する経済政策からの転換が求められている。

 経済成長は人口増加要因と生産性向上要因による。人口増加時代には経済のパイは自然に大きくなるが、人口減少時代には人口減少を補うだけの生産性向上がなければ経済は縮小する。「人への投資」が重要な所以はここにある。

 もうひとつ、生産性向上のための政策として提起されているのが、最低賃金の引き上げだ。デービッド・アトキンソン氏は以下のような趣旨を述べている(東洋経済オンライン 2/1)。

 先進国では、生産性を高めるための政策が重視されている。生産性と最低賃金との間には、生産性が高くなれば所得水準が上がり、最低賃金も引き上げられてきという強い相関関係があるからだ。ただし、最低賃金の上昇は、生産性向上の結果だと考えるのは、最低賃金を労働政策、強いて言えば貧困対策と捉える考え方だが、今は逆の発想、つまり最低賃金を経済政策と位置づける傾向が強くなっている。

 生産性は自然に向上するものではない、意図的な方向付けが必要になる。国が政策として、企業経営者に生産性を上げるよう誘導する、その手段として最低賃金の引き上げが重要なポイントになる。なぜなら最低賃金の変動は、全企業がその影響を免れないからだと。

 賃金=人への投資を経済成長の結果の分配としてではなく、経済成長の起点とするような経済政策思想の軸の転換こそ、アベノミクスの総括とすべきではないか。

 同時に、1パーセントの富裕層が世界の富の82パーセントを独占するようなグローバル資本主義に対する根底的な批判と、それに替わる方向性を実生活の手ごたえを伴って語ることが伴わなければならない。

 グローバル資本主義に棹差す形での「世界で一番企業が活躍しやすい国」(2013年安倍総理所信表明演説)でも、総雇用者所得は増やせるかもしれない。しかしいったん投資された資金の多くは投資も集積もされず「回転ドア」のように出ていってしまう。利益は本社のあるニューヨークやロンドン、フランクフルト、国内でも東京に集まる。このような地域から出て行くお金、いわば「出血」している状態から、その一部でも地域に再投資するという地域内経済循環の構造をどう作りだせるか。グローバル資本に従属しない地域経済自治、産業自治といった領域を作り出せるかどうかは、まさに自治力が試されるところだ。

 またそのためには国単位のGDPや株価に還元されない、地域経済の実態を的確に把握しなければならない。国のGDPを人口で割っても地域経済の姿は見えない。地域のなかでお金がどう回っていて、地域外への流出を食い止めて再投資に回せる部分はどこにあるのか。あるいは地域で「稼げる」ところは何か。それを知ることは、人々が自らの意思でお金の流れをコントロールし、地域を経営することに参画していくことでもある。

 アベノミクスの総括から人口減少時代の経済政策へと、政策思想の軸を転換しよう。

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第199回 東京・戸田代表を囲む会

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□第199回 東京・戸田代表を囲む会 

3月19日(火)1845から

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

参加費  同人1000円  購読会員2000円

ゲストスピーカー 小川淳也・衆院議員

「予算委員会の論戦を検証する~統計不正を糾す」(仮)

国の根幹を揺るがすような統計不正。

イギリスの警句「ウソ、大ウソ、統計」にあるように、誰にもわかるようなウソ、調べれば分かる改ざんのような大ウソよりも、客観性を装った統計操作が罪深いのは、時の為政者の恣意的な判断を防ぎ国・国民の長期的利益を守るための、近代国家の基礎インフラのひとつを根底から揺るがすからだ。

3月の囲む会は、連日、国会でこの問題を追及している小川議員をゲストスピーカーにお招きして開催します。ぜひ、ご参加を。

小川議員のコラム「統計不正を国会で糾す」(今のところ3回)は、以下のサイトから

WEBRONZA 特設サイト「統計不正が意味するもの」

https://webronza.asahi.com/feature/articles/2019021300008.html

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シンポジウム(外交・安保)

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□シンポジウム(外交・安全保障)

米中「戦略的競争」関係と東アジア・日本

~「自国第一主義」の広がり、新たな国際協調の再構築は可能か

日時 2019年4月14日(日) 1300から1700

場所 TKP飯田橋ビジネスセンター 3階 ホール3A

   (JR「飯田橋」東口 徒歩3分)

参加費 2000円

【問題提起とパネルディカッション】

中西寛・京都大学教授  川島真・東京大学教授  遠藤乾・北海道大学教授

大庭三枝・東京理科大学教授  佐橋亮・神奈川大学教授   

【趣旨】

「自国第一主義」を掲げるトランプ政権、「一帯一路」「中国製造2025」などの挑戦的な目標を掲げる習近平政権。米中関係は「新冷戦」とも称される状態です。ただし、米ソ冷戦と大きく違うことは、今や米中は貿易はもとより金融、ハイテク技術まで相互の依存関係を深めていることです。対立をエスカレートさせる一方で、決定的になる前に「寸止め」する「適度な間合い」を探るための、〝海図のない〟プロセスともいえるでしょう。

こうした米中の「戦略的競争」関係が東アジアにもたらす〝波乱〟に、どう向き合うか。そのなかから、APECやASEANなどの〝資産〟を元に、新たな東アジアの国際協調を構築できるか。

また、米中の「戦略的競争」関係がもたらす〝波乱〟に対処するために、日本(外交、内政)にどういうことが問われるのか。それは、「2020後」の課題にも通じるものがあるのではないか。

こうした観点から議論をすすめたいと思います。

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第九回大会記念シンポジウム 報告集

3月3日 発刊予定  1部700円 (送料300円)

お申し込みは 「がんばろう、日本!」国民協議会

郵便振替 00160-9-77459

ゆうちょ銀行 019店 当座0077459

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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

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電子瓦版(転送はご自由にどうぞ)

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メルマガ♯がんばろう、日本!         号外(19.2.20)

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Index 

□ 第199回 東京・戸田代表を囲む会 

 ゲストスピーカーは小川淳也・衆院議員

□ 外交・安全保障シンポジウム 4/14

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第199回 東京・戸田代表を囲む会

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□第199回 東京・戸田代表を囲む会 

3月19日(火)1845から

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

ゲストスピーカー 小川淳也・衆院議員

「予算委員会の論戦を検証する~統計不正を糾す」(仮)

国の根幹を揺るがすような統計不正。

イギリスの警句「ウソ、大ウソ、統計」にあるように、誰にもわかるようなウソ、調べれば分かる改ざんのような大ウソよりも、客観性を装った統計操作が罪深いのは、時の為政者の恣意的な判断を防ぎ国・国民の長期的利益を守るための、近代国家の基礎インフラのひとつを根底から揺るがすからだ。

3月の囲む会は、連日、国会でこの問題を追及している小川議員をゲストスピーカーにお招きして開催します。ぜひ、ご参加を。

小川議員のコラム「統計不正を国会で糾す」(今のところ3回)は、以下のサイトから

WEBRONZA 特設サイト「統計不正が意味するもの」

https://webronza.asahi.com/feature/articles/2019021300008.html

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□囲む会 シンポジウム(外交・安保)のご案内

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□シンポジウム(外交・安全保障)

米中「戦略的競争」関係と東アジア・日本

~「自国第一主義」の広がり、新たな国際協調の再構築は可能か

日時 2019年4月14日(日) 1300から1700

場所 TKP飯田橋ビジネスセンター 3階 ホール3A

   (JR「飯田橋」東口 徒歩3分)

参加費 2000円

【問題提起とパネルディカッション】

中西寛・京都大学教授  川島真・東京大学教授  遠藤乾・北海道大学教授

大庭三枝・東京理科大学教授  佐橋亮・神奈川大学教授   

【趣旨】

「自国第一主義」を掲げるトランプ政権、「一帯一路」「中国製造2025」などの挑戦的な目標を掲げる習近平政権。米中関係は「新冷戦」とも称される状態です。ただし、米ソ冷戦と大きく違うことは、今や米中は貿易はもとより金融、ハイテク技術まで相互の依存関係を深めていることです。対立をエスカレートさせる一方で、決定的になる前に「寸止め」する「適度な間合い」を探るための、〝海図のない〟プロセスともいえるでしょう。

こうした米中の「戦略的競争」関係が東アジアにもたらす〝波乱〟に、どう向き合うか。そのなかから、APECやASEANなどの〝資産〟を元に、新たな東アジアの国際協調を構築できるか。

また、米中の「戦略的競争」関係がもたらす〝波乱〟に対処するために、日本(外交、内政)にどういうことが問われるのか。それは、「2020後」の課題にも通じるものがあるのではないか。

こうした観点から議論をすすめたいと思います。


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

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Index 

□『2020後』を生き延びる自治の力を

~第九回大会を受けて、統一地方選にむけて

●立憲民主主義の社会関係資本をどうつくるか

●〝面倒くささ〟に向き合って合意形成する手ごたえを、どう手にしていくか 

□囲む会 シンポジウム(外交・安保)のご案内

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□『2020後』を生き延びる自治の力を

第九回大会を受けて、統一地方選にむけて

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●立憲民主主義の社会関係資本をどうつくるか 

 1月6日、「がんばろう、日本!」国民協議会第九回大会を開催。第八回大会から約三年半ぶりの開催となる。この間の国内外での「多数決民主主義」やポピュリズムの台頭などのいわゆる「民主主義の危機」は、ある人々には「あきらめ」や無力感を与えたかもしれないが、ある人々にとっては「民主主義のイノベーション」に向けた課題やチャンスを明らかにする契機となっている。

 こうした主体状況からさらに前へ踏み出すべく、第九回大会は開催された。記念シンポジウムのタイトルは「『2020後』にむけて 立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ」。

 第一部は講演&問題提起。吉田徹・北海道大学教授からは、「『民主主義の〈赤字〉』をいかに解消するのか~民主政治のイノヴェーションに向けて~」とのタイトルで、民主主義の劣化の要因とともに、イノベーションに向けた課題として「〈代表〉の新たな経路をつくる」こと、とりわけ自治の領域において、「自治能力の『選出』ではなく、能力の形成を可能にする制度設計」にむけて、民主主義の赤字=自治の空洞化をむしろ奇貨として捉えることが提起された。

 諸富徹・京都大学教授からは、「人口減少時代の都市経営と住民自治」とのタイトルで、人口減少時代にまちを自ら「経営」していくという、自治体にとっても市民にとってもチャレンジングかつイノベーティブな方向性が提起された。ドイツのシュタットベルケにならった日本版シュタットベルケによるエネルギー自治の試みや、熱海市における財政危機から再生への取り組みなど、人口減少時代を危機としてではなく、むしろ自治の新たなチャンスととらえる実例に基づく提起は、自治の当事者性を涵養するうえでも実践的な示唆に満ちていた。

 第二部は、吉田先生、諸富先生に加えて、廣瀬克哉・法政大学教授、山本龍彦・慶應大学教授、松本武洋・和光市長によるパネルディスカッション。AIと民主主義・自治、水道民営化と自治、熟議民主主義と議会、地域経営と自治など、パネラーの間で多様な論点、切り口が交わされていく議論は、さながら迫力に満ちたラリーのようだった。

 多岐にわたる論点に通底しているのは、「選挙で勝てば何を決めてもいい」という「多数決民主主義」に替わる民主主義のイノベーションとは、立憲民主主義を支える社会関係資本をいかに作り出し、不断に豊かなものにしていくか、ということであり、そこにおいては自治、とりわけ住民自治の当事者性を涵養していく観点が不可欠だということだ。

 この観点に立てば「平成デモクラシー」の総括は、「決められる政治」をより民主的にコントロールするべく国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ、ということになる。反対にこの観点が抜ければ、「平成デモクラシー」の総括は、「『安倍一強』の弊害」云々という話に留まる。「『2020後』を生き延びる自治の力」がどちらから始まるかは、明らかだろう。

 立憲民主主義の社会関係資本をどう作り、どう発展させていくか。ここから選挙や議会改革、地域経営、まちづくりなど、自治の領域の諸問題、課題を共有していこう。

●〝面倒くささ〟に向き合って合意形成する手ごたえを、どう手にしていくか 

「2020後」という問題設定は、依存と分配の民主主義、消費者民主主義の破局にどう備えるか、ということを意味している。そこでなによりも問われるのは、自治の当事者性にほかならない。

「2020後」は、ある日突然訪れる危機ではない。すでに課題は見えている。その「不都合な真実」に向き合って、どう準備するかが問われている。それを当事者性で考える自治の力が決定的なのだ。それが抜ければ「危機だから『決められる政治』だ」という立憲独裁になる。人口減少→厳しい決断が迫られるという発想は、「痛みを伴う改革」から通底したものだ。

第九回大会での「2019年統一地方選にむけたよびかけ」(別紙「付録」参照)は、以下のように提起している。【以下、引用】

人口減少時代には、これまでの拡大基調から縮小・減退基調への転換が問われることは、言うまでもありません。「あれも、これも」から「あれか、これか」、「何をあきらめるか」と言われる所以です。

 問題は、この転換を経済合理性や効率、選択と集中などの「市場の論理」「行財政改革の論理」で行うのか、それとも「民主主義」「自治」の論理で行うのか。この価値軸を持ちたいと思います。

 少なくない人々が、地域の持続可能性に漠然とした不安を持ちつつあるなかで提起されるべき議論は、経済合理性からの「あれか、これか」ではなく、何のために何をカットするのか、絶対に譲れない領域は何か、あるいは何を守るためには負担増という選択肢も選ぶのか、というような議論でしょう。

 こうした議論を提起し、市民に開かれた議論を展開することこそ、議会の重要な役割だと考えます。【引用終わり】

 「何を切るか」を効率的に決めるのなら、選挙で勝ったほうに決定を〝お任せ〟する多数決民主主義でいいだろう。立場や利害の違いも「数の力」で決着をつければよい。だがその先にあるのは「貧すれば鈍する」とも言うべき政策の劣化であり、それは生活や経済の劣化として市民、国民にブーメランのように返ってくる(返って来つつある)。

 何のために何をカットするのか、絶対に譲れない領域は何か、あるいは何を守るためには負担増という選択肢も選ぶのか、という議論は手間のかかる面倒なものだが、小さなことからでも、その〝面倒くささ〟に向き合って合意形成―自己決定する手ごたえを、どう手にしていくか。2019統一地方選は、「『2020後』を生き延びる自治の力」を準備していく、そのギリギリのところで行われるといえる。

 第九回大会での、いわゆる水道民営化をめぐる議論を例にみてみよう。【以下、引用】

廣瀬 (国会での議論は)「水道料金がどんどん上がるぞ」という話の一方で、「水がなくては暮らしていけない、そういうものを営利企業に明け渡していいのか」という話と、「いや、これでやるしかないんだ」という「魔法の杖に頼るしかない」みたいな話とが、議論の土俵が成り立たないところで進んでしまっている、というふうに見ていました。

 この状況に対して、こうすればいいという処方箋を書けるかと言われると、それはかなり難しい話だと思います。ただあの法律は国の法律として通りましたが、実際に水道事業を営んでいるのは地方自治体ですから、その自治体がこれからどう判断していくのか。たとえばどういう形で民間企業を水道事業に入れるのかについても、いろいろな判断、選択がありうるわけです。また自治体の思い通りに制度設計ができるわけではなくて、入札の仕組みをはじめ、さまざまな点で制約がかかる。たとえばTPPのルールの中でいったん民営化した場合、どういう制約がかかるのかとか。そういうことをきちんと議会で問題提起していただいて、納得のいく形で議論する。

 納得がいくというのは、みんなが諸手を挙げて賛成という意味ではなくて、おそらく都合の悪いことをいくつも受け入れながら、場合によっては一定のエリアから水道事業が撤退することを含めて、覚悟を決めないといけないという選択を、いずれ迫られるのだろうと思います。その中で、何をあきらめて何を守るのかという選択肢について、意思決定ができるように議論を展開していただきたい。具体性を帯びれば帯びるほど、その議論はしやすいし、具体的な問題提起は地元の方がわかりやすいわけです。

 「こういう法律ができて、こういう方式で民営化できるようになったらどうなるんだ」という話は、国政レベルでは抽象度が高い。なおかつ、この法律が通ればうちの市の水道事業がこうなります、という話には直結していない。そういう意味では国会レベルでの意思決定というのは、具体的な生活レベルでの取捨選択という問題提起になりにくい、ということだと思います。

 しかし「わが市の水道事業の将来」となってくると、極端に言えば「この地区から水道事業が撤退しても、井戸の水質検査などを含めて考えてみると、いけるんじゃないか」「そうであればここから撤退する一方、残ったエリアについては一定の更新の投資は何とか担えるのではないか」とか、「いや別の選択をすべきじゃないか」とか、そういう具体例に直面しながら議論していくということを、ぜひやっていっていただきたい。そこからしか進まないかなと思います。

 これはいろいろなところでよく申し上げるんですが、マンションの管理組合の話でもあるわけです。マンションというのは、実は水道事業を含んでいるわけです。市町村の水道が来ているのは、マンションの入り口までです。そこから後、例えば屋上の給水タンクまでどうやってポンプアップするか、そこから各住戸に水を配っていく管がどうなっているか、共用部分も含めてどう維持管理し、費用負担していくかということは、実はマンションごとに自営しているわけです。

その経験を市全体に延長して投影しながら、具体的に意思決定をする。そういうマンションでの経験になぞらえながら、市民に説明をする。こういった力量を磨いていくことが、意味のある議論につながるのではないか。

 「何かにすがれば何とかしてもらえるんじゃないか」という選択は、本当の意味の選択ではありません。どこで思い切って負担をするのかなど、いろいろな選択がマンション単位でもあるだろうし、市の水道事業全体でもある。そういったことが実は地続きの問題なんだということを、具体論を通して訴えていくということ以外からは、なかなか解決策は出てこないのではないかと思っています。【引用終わり】

 「何を守るために、何をあきらめるのか」「絶対に譲れないものは何か」「何を守るためには負担増という選択肢も選ぶのか」といった議論は、多数決だけでは決められない複雑で手間のかかるものだ。その〝面倒くささ〟に向き合って、自分たちのことを自分たちで決める自治の手ごたえを手にしていくこと。それが立憲民主主義の社会関係資本にほかならない。そこから選挙に限定されない合意形成のプロセスを不断に「作りこんでいく」ことを始めよう。「『2020後』を生き延びる自治の力」を。

(「日本再生」477号一面より)

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□囲む会 シンポジウム(外交・安保)のご案内

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□第198回 東京・戸田代表を囲む会
「第九回大会を受けて」(仮)

戸田代表の提起と討議
2月9日(土)1300から1700 市ヶ谷事務所

□シンポジウム(外交・安全保障)

米中「戦略的競争」関係と東アジア・日本

~「自国第一主義」の広がり、新たな国際協調の再構築は可能か

日時 2019年4月14日(日) 1300から1700

場所 TKP飯田橋ビジネスセンター 3階 ホール3A

   (JR「飯田橋」東口 徒歩3分)

参加費 2000円

【問題提起とパネルディカッション】

中西寛・京都大学教授  川島真・東京大学教授

大庭三枝・東京理科大学教授  佐橋亮・神奈川大学教授  ほか 

【趣旨】

「自国第一主義」を掲げるトランプ政権、「一帯一路」「中国製造2025」などの挑戦的な目標を掲げる習近平政権。米中関係は「新冷戦」とも称される状態です。ただし、米ソ冷戦と大きく違うことは、今や米中は貿易はもとより金融、ハイテク技術まで相互の依存関係を深めていることです。対立をエスカレートさせる一方で、決定的になる前に「寸止め」する「適度な間合い」を探るための、〝海図のない〟プロセスともいえるでしょう。

こうした米中の「戦略的競争」関係が東アジアにもたらす〝波乱〟に、どう向き合うか。そのなかから、APECやASEANなどの〝資産〟を元に、新たな東アジアの国際協調を構築できるか。

また、米中の「戦略的競争」関係がもたらす〝波乱〟に対処するために、日本(外交、内政)にどういうことが問われるのか。それは、「2020後」の課題にも通じるものがあるのではないか。

こうした観点から議論をすすめたいと思います。


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

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メルマガ♯がんばろう、日本!         号外(19.1.26)

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「がんばろう、日本!」国民協議会

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Index 

□ 戸田代表を囲む会 特別編 「第九回大会を受けて」

□ 沖縄県民投票 全県で実施へ 自己決定権へ一歩前進

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戸田代表を囲む会 特別編 「第九回大会を受けて」

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第九回大会では、立憲民主主義の社会関係資本をどう構築し、また維持・更新していくかについて、自治の視点を軸に多様な論点が提起されました。これを受けて、統一地方選をはじめとする今後の行動指針を共有したいと思います。戸田代表の提起&討議。

ぜひご参加を。

□第198回 東京・戸田代表を囲む会 

2月9日(土)1300から1700

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

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沖縄県民投票 全県で実施へ 自己決定権へ一歩前進

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法定数をはるかに超える10万人の請願によって決定された「辺野古埋め立ての賛否を問う」県民投票。投票ボイコットを表明していた自民系の5市でも、実施されることになりました。「賛成」「反対」から「賛成」「どちらでもない」「反対」の三択への変更は、市民の投票権を人質にとった卑劣な行為への「譲歩」ともいえますが、その「譲歩」を引き出したのも、自己決定権を求める市民の「あきらめない」力だったことは間違いありません。

県民の熱意が政治を動かした 琉球新報

https://ryukyushimpo.jp/news/entry-866140.html

「体を張るしかない」と若者が一人で始めたハンストは、民主主義・自治の無数の行動を呼び起こしました。ハンストの側で署名が始まり、そこに市民の討議の輪ができ、高校生や家族連れが署名用紙を取りに来るようになり、宜野湾市民のなかから提訴の動きが起こり、他市でも県民投票の実施を求める市民集会が開催され、投票実施が決まっている市町村でも全県実施を求める市民集会が開催され、弁護士会が声明を出し、地元紙は自民党国会議員の「働きかけ」を報じ、自民党県連は「説明」会見を迫られ…、「辺野古容認」のなかからも「県民投票をやらせないのはおかしい」との声があがり…

ここからさらに、「普天間の危険性除去のために辺野古埋め立てはやむをえない」という方便をどう乗りこえ、「辺野古なしの普天間返還」(辺野古は普天間の「解決策」たりえない)へと、さらに政治を動かす民意を鍛え上げていくか。

「賛成/反対/どちらでもない」の三択でダメになる沖縄県民民意ではないと信じてる。(石垣市民のツィート)

土砂投入という「政治ショー」 宮城大蔵

https://okiron.net/archives/1031

普天間・辺野古問題の「焦点」はどこにあるのか(上)宮城大蔵

https://okiron.net/archives/1054

普天間・辺野古問題の「焦点」はどこにあるのか(下)宮城大蔵

https://okiron.net/archives/1056


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         号外(19.1.15)

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「がんばろう、日本!」国民協議会

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Index 

□ 県民投票への参加を求めて ハンスト決行!

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2月24日に予定されている「辺野古埋め立て」の賛否を問う沖縄県民投票。

しかし5つの市では、市長が投票を実施しないとしています。県民の投票の権利

(賛成も反対も)を市長や議会が奪うというのは、民主主義・国民主権にあるまじき

事態です。

県民投票の会・代表の元山君が、5市の県民投票実施を訴えて、今日から

地元の宜野湾市役所まえでハンガーストライキに入りました。

本土の私たちに直接できることは限られていますが、民主主義を踏みにじらないためにも

ぜひ注視していただきたいと思います。

会のホームページから寄付をすることもできます。

https://hungryforvote.net/index.html


メルマガ♯がんばろう、日本!         №245(18.12.27)

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「がんばろう、日本!」国民協議会

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Index 

□ 「2020後」にむけて 

  立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か

  ~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ

 <第九回大会 基調> 

●「選挙で勝ったのだから、後は何を決めてもいい」?  

右肩下がりの時代の民主主義とは 

●「民主主義の死は選挙によってもたらされる」? 

  分断を深める選挙ではなく、課題を共有する場としての選挙へ(略)  

● 「失われた30年」? 平成デモクラシーの総括とは(略)

● 消費者民主主義・依存と分配の破局に備える 

  「2020後」を生き抜く自治の当事者性を

□第九回大会のご案内 ほか

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<第九回大会 基調> 

2020後にむけて 

立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か

~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ

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【「選挙で勝ったのだから、後は何を決めてもいい」?  

 右肩下がりの時代の民主主義とは】

 2020後―いよいよ本格化する人口減少時代に何よりも問われるのは、右肩下がりの時代の民主主義―合意形成のあり方だ。

 人口減少時代には、これまでの拡大基調から縮小・減退基調への転換が問われることは、言うまでもない。「あれも、これも」から「あれか、これか」、「何をあきらめるか」を決めると言われる所以だ。問題は、この転換を経済合理性や効率、選択と集中などの「市場の論理」「行財政改革の論理」で行うのか、それとも「民主主義の論理」「自治の論理」で行うのか、だ。

 「市場の論理」「行財政改革の論理」では「何を切るか」ということになる。これは容易に奪い合いと分断に転じうる議論だ。そうではなく、「何を守るために、何をあきらめるのか」「絶対に譲れないものは何か」「何を守るためには負担増という選択肢も選ぶのか」などの議論を通じて合意形成をはかるのか。どちらの道を歩むかによって、人口減少時代の私たちの暮らしや地域のあり方は大きく違ってくるはずだ。

 「何を切るか」を効率的に決めるのなら、選挙で勝ったほうに決定を〝お任せ〟する多数決民主主義でいいだろう。立場や利害の違いも「数の力」で決着をつければよい。多数決民主主義では「民意は一枚岩だ」とされ、「選挙で勝てば一枚岩の民意を代表するのだから、後は何を決めてもいい、それを推し進めるのが民主主義だ」ということになる。選挙は、意見や立場の違いに数で決着をつけ、多数派に白紙委任する場にほかならなくなる。このような民主主義を「立憲的独裁」と呼ぼう。

 その対極にあるのは、「民意は多元的だ」という前提から出発して、多元的で多様な民意を議論を通じてまとめ上げていく民主主義だ。「何を守るために、何をあきらめるのか」「絶対に譲れないものは何か」「何を守るためには負担増という選択肢も選ぶのか」といった議論は、多数決だけでは決められない複雑で手間のかかるものだ。だからこそ、そのプロセスは選挙に限定されないし、その全体をより透明で開かれたものへ、より応答性と説明責任を伴うものへと、不断に「作りこんでいく」ことが求められる。民主主義とは合意形成のプロセスにほかならない。

 「民主主義は多数決だ」という以上の民主主義観しか持っていなかったとすれば、ここから右肩下がりの時代の立憲的独裁へと向かうのか、それとも多様な民意を前提とした合意形成プロセスとしての立憲民主主義へ向かうのか。「安倍政治」たたんでいくプロセスは、そのせめぎあいの渦中にあるということでもある。

(中略)

【消費者民主主義・依存と分配の破局に備える 

 「2020後」を生き抜く自治の当事者性を】

「2020後」という問題設定は、依存と分配の民主主義、消費者民主主義の破局にどう備えるか、ということを意味している。そこでなによりも問われるのは、当事者性にほかならない。

「2020後」は、ある日突然訪れる危機ではない。すでに課題は見えている。その「不都合な真実」に向き合って、どう準備するかが問われている。それを当事者性で考える自治の力が決定的なのだ。それが抜ければ「危機だから『決められる政治』だ」という立憲独裁になる。人口減少→厳しい決断が迫られるという発想は、「痛みを伴う改革」から通底したものだ。

「住民自治を人工的(政策的)に涵養することができるのか、という疑問が生じるかもしれない。本書はこの問いに対して、あえて『可能だ』と回答しておきたい。~略~これらが住民自治を涵養するうえでの決定的に重要な要素である。逆に、こうした住民自治の基盤形成が、近い将来に予想される人口減少の本格化までに間に合うのであれば、私たちはパニックに陥る必要はない。『成長型都市』から『成熟型都市』への歴史的転換期を、トップダウンではなく、ボトムアップで乗り切っていく力量が、都市の側に備わるからである」(諸富徹「人口減少時代の都市」中公新書)

 「2020後」を生き抜くこうした住民自治を涵養するうえで、もっとも重要なのは「人」だ。

 消費者民主主義では、〝自分の人生は自分がオーナーだ〟という当事者意識は生まれない。依存と分配では、自分自身のことさえ「立場」や「肩書き」でしか語れない。それは「開票結果を見て、自分が多数派だったと分かったら、なんだか安心しました」という平成生まれの若者にも受け継がれていく。

 一方で、平成は右肩上がりの終身雇用―肩書き―が当たり前ではなくなった時代でもある。いろいろな困難を伴いつつも、転職や移住などが珍しくなくなるなかで、「少なくとも自分の人生は自分がオーナーだ」という感覚も生まれてきた。肩書きや立場とは違うオーナーシップ、すなわち当事者性の感覚だ。

 そこから、権限や立場ではなく一市民としてこう思うということが提起され、共有され、その相互関係が形成されていく。異質でバラバラで、生まれながらには何も共有していない個人の集まりだからこそ、同質性や同調性を求めるのではない、違いを理解しあったうえでの共感や共有という関係性が分かるようになる。イメージ的に言うとタテの関係ではなくヨコの、なおかつ一方向ではなく多方向のフラットな関係だ。そうした場づくりができるかどうかが意識されるようになるからこそ、フォロワーシップとかファシリテーションという概念も実践的に体感されるようになる。

 「課題を共有し、そこからさらに目的や方向を共有するというふうに関係性を深めていく、その人間関係や社会関係を整理したり、そのための環境を整えることがリーダーシップだと。そういうことが選挙にかかわるところでも、いわゆる市民が主体となった『共闘』という形ででてきている。

 選挙もこうしたリーダーシップ―フォロワーシップが回りだすようになり、そこで土俵が作られて候補が選定されると、勝てるようになるわけです」(戸田代表 475号)

 「自分が課題ないしは目標だと思い、かつ自分ひとりではできないことを、誰かと共有したときに『公共』が生まれるのであって、地域だから、家族だから、仲間だからといってアプリオリに課題を共有できるわけではない」「地域に住んでいるから地域の公共を担いなさい、とは言えない。それでは強制労働です。課題に対する共感、言い換えると『ほっとけない』という気持ちがあることが必要で、それは地域に発生するのではなく、地域にいる人びとに対して発生していて、その発生が継続的多面的になって『このまち、好きだ』ということになるわけです」土山希美枝・龍谷大学教授 「日本再生」471号)

 「公共性とは、閉鎖性と同質性を求めない共同性、排除と同化に抗する連帯である」(齊藤純一「公共性」 岩波書店)

 課題の共有や共感、そこから他者とつながることで生まれる自己有用感や政治的有用感、その持続性や広がり。〝共有地〟を耕すとはそういうことだろう。「2020後」を生き抜く自治の当事者性を。その一歩として、2019年統一地方選、参院選をはじめとする各選挙を準備しよう。

(「日本再生」476号一面より)

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「がんばろう、日本!」国民協議会 第九回大会

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「2020後」にむけて 

立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か

~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ

日時  2019年1月6日(日)1300から1700

場所  TKP市ヶ谷カンファレンスセンター

    https://www.kashikaigishitsu.net/facilitys/cc-ichigaya/access/

参加費 2000円

【第一部 講演(問題提起)】

吉田徹・北海道大学教授 (民主主義のゆらぎと課題)

諸富徹・京都大学教授  (人口減少時代の都市経営と住民自治)

【第二部 パネルディスカッション】

吉田先生 諸富先生 

松本武洋・和光市長 廣瀬克哉・法政大学教授 山本龍彦・慶應大学教授

講演を受けて、山本先生(AIと憲法)、廣瀬先生(2019地方選の構え方)、松本市長(分権時代の国―地方関係/市長会の問題提起など)から「民主主義を深める」ための課題、視点の提起。それらを踏まえての討議。 

全体として、「国民主権で統治機構を作りこんでいく」という感覚と、そのステップとして、2019年統一地方選、参院選(場合によれば憲法国民投票)を構えていくこと。またそれを通じて、2020後―〝宴の後〟を生き抜く自治力を涵養していくという方向性を共有できるものにしたいと思います。

*「日本再生」475号(12/1)、「京都・囲む会」での戸田代表の提起もご参照。

(終了後に懇親会 事務所↓(徒歩5分)へ移動  1730くらいから 参加費1500円)

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp/map001.html

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外交・安全保障シンポジウム

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米中「戦略的競争」関係と東アジア・日本

~「自国第一主義」の広がり、新たな国際協調の再構築は可能か

日時 2019年4月14日(日) 1300から1700

場所 TKP飯田橋ビジネスセンター 3階 ホール3A

   (JR「飯田橋」東口 徒歩3分)

参加費 2000円

【問題提起とパネルディカッション】

中西寛・京都大学教授  川島真・東京大学教授

大庭三枝・東京理科大学教授  佐橋亮・神奈川大学教授  ほか 

【趣旨】

「自国第一主義」を掲げるトランプ政権、「一帯一路」「中国製造2025」などの挑戦的な目標を掲げる習近平政権。米中関係は「新冷戦」とも称される状態です。ただし、米ソ冷戦と大きく違うことは、今や米中は貿易はもとより金融、ハイテク技術まで相互の依存関係を深めていることです。対立をエスカレートさせる一方で、決定的になる前に「寸止め」する「適度な間合い」を探るための、〝海図のない〟プロセスともいえるでしょう。

こうした米中の「戦略的競争」関係が東アジアにもたらす〝波乱〟に、どう向き合うか。そのなかから、APECやASEANなどの〝資産〟を元に、新たな東アジアの国際協調を構築できるか。

また、米中の「戦略的競争」関係がもたらす〝波乱〟に対処するために、日本(外交、内政)にどういうことが問われるのか。それは、「2020後」の課題にも通じるものがあるのではないか。

こうした観点から議論をすすめたいと思います。


石津美知子
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Index 

□ 辺野古埋め立て停止を求めるホワイトハウスへの嘆願署名

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沖縄県民の民意を踏みにじる形で強行される辺野古の海への土砂投入。

この問題は「新基地建設」の是非のみならず、

県知事選や県民投票という民主主義の発動を圧殺する、政権のあり方を問うものです。

「せめて、県民投票まで土砂の投入を停止して!」というホワイトハウス宛の嘆願署名が

ネット上で行われています。

発起人はハワイ在住、沖縄ルーツの日系4世。

署名は外国人も可。期間中に10万筆以上が集まると、ホワイトハウスは回答することが

義務付けられている。仮に「門前払い」的な回答でも、「ここに問題がある」と提起する

意味があります。(469号 曽我部先生の「囲む会」参照)

署名の期限は2019年1月7日。

土砂を投入しているのは日本政府で、ホワイトハウスではありませんが、

「ここに問題がある」ことを知らしめる、

そして民主主義を圧殺するような日本政府へのカウンターとしての意味があると思います。

署名については以下をご参照。

https://note.mu/tkatsumi06j/n/ndb0592be531d


石津美知子
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Index 

□第九回大会(2019.1.6)シンポジウムのご案内

□外交・安全保障シンポジウム(2019.4.14)のご案内

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「安倍政治」6年間の総括・検証を、立憲民主主義の深化の糸口へ、どうつなげていくか。

それはまた「2020後」、すなわち東京オリンピック後に本格的に問われるであろう

民主主義の「次のステージ」を準備することでもあります。

「選挙で勝ったのだから、後は何を決めてもいい」という多数決民主主義に替わる、

国民主権で合意形成プロセスを作りこんでいく民主主義のイノベーションを。

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「がんばろう、日本!」国民協議会 第九回大会 シンポジウム

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2020後にむけて 立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か

~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ

日時  2019年1月6日(日)1300から1700

場所  TKP 市ヶ谷カンファレンスセンター

概要  第一部 講演(問題提起)

    第二部 パネルディスカッション

(懇親会 事務所(徒歩約5分)へ移動  1730くらいから)

【第一部 講演】

吉田徹 北海道大学教授 (民主主義のゆらぎと課題)

諸富徹 京都大学教授  (人口減少時代の都市経営と住民自治)

【第二部 パネルディスカッション】

吉田先生 諸富先生 

松本武洋・和光市長 廣瀬克哉・法政大学教授 山本龍彦・慶應大学教授

講演を受けて、山本先生(AIと憲法)、廣瀬先生(2019地方選の構え方)、松本市長(分権時代の国―地方関係/市長会の問題提起など)から「民主主義を深める」ための課題、視点の提起。それらを踏まえての討議。 

全体として、「国民主権で統治機構を作りこんでいく」という感覚と、そのステップとして、2019年統一地方選、参院選(場合によれば憲法国民投票)を構えていくこと。またそれを通じて、2020後―〝宴の後〟を生き抜く自治力を涵養していくという方向性を共有できるものにしたいと思います。

*「日本再生」475号(12/1)、「京都・囲む会」での戸田代表の提起もご参照。

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外交・安全保障シンポジウム

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米中「戦略的競争」関係と東アジア・日本

~「自国第一主義」の広がり、新たな国際協調の再構築は可能か

日時 2019年4月14日(日) 1300から1700

場所 TKP飯田橋ビジネスセンター 3階 ホール3A

   (JR「飯田橋」東口 徒歩3分)

参加費 2000円

【問題提起とパネルディカッション】

中西寛・京都大学教授  川島真・東京大学教授

大庭三枝・東京理科大学教授  佐橋亮・神奈川大学教授  ほか 

【趣旨】

「自国第一主義」を掲げるトランプ政権、「一帯一路」「中国製造2025」などの挑戦的な目標を掲げる習近平政権。米中関係は「新冷戦」とも称される状態です。ただし、米ソ冷戦と大きく違うことは、今や米中は貿易はもとより金融、ハイテク技術まで相互の依存関係を深めていることです。対立をエスカレートさせる一方で、決定的になる前に「寸止め」する「適度な間合い」を探るための、〝海図のない〟プロセスともいえるでしょう。

こうした米中の「戦略的競争」関係が東アジアにもたらす〝波乱〟に、どう向き合うか。そのなかから、APECやASEANなどの〝資産〟を元に、新たな東アジアの国際協調を構築できるか。

また、米中の「戦略的競争」関係がもたらす〝波乱〟に対処するために、日本(外交、内政)にどういうことが問われるのか。それは、「2020後」の課題にも通じるものがあるのではないか。

こうした観点から議論をすすめたいと思います。


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         №244(18.11.30)

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「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

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Index 

□ 「2020後」にむけて、立憲民主主義を深めていくために

  ~民主主義のイノベーションと自治の当事者性の涵養

●「選挙で勝ったのだから、後は何を決めてもいい」? 

  多数決民主主義の白紙委任か、立憲民主主義への深化か

●「民主主義の死は選挙によってもたらされる」?

  分断統治ではなく、課題を共有した連帯を

● 人口減少時代の民主主義―住民自治の当事者性を涵養する 

統一地方選をどう構えるか

□第九回大会のご案内 ほか

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「2020後」にむけて、立憲民主主義を深めていくために

~民主主義のイノベーションと自治の当事者性の涵養

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【「選挙で勝ったのだから、後は何を決めてもいい」? 

多数決民主主義の白紙委任か、立憲民主主義への深化か】

 与党理事(平沢勝栄議員)が「議論したらきりがない。いくらでも問題点が出てくる」という入管法改正が、与党の強行採決によって衆院で可決された。問題点を議論するのが国会のはずだが、「中身は後から決める」という白紙委任、すでに一二八万人いる外国人労働者の現状に関するデータもデタラメ、野党の追及で開示するも「コピー不可、書き写しのみ」(国会に開示されたデータは国民のものではないか)など、これまで繰り返されてきた強行採決に比べても酷い。

 衆議院の委員会審議時間も、安保法制(2015)116時間、TPP関連法(2016)70時間、データがデタラメだった働き方改革(2018)33時間に比しても、わずか17時間という異例の短時間で、政府・与党側の「審議しない」姿勢はあからさまだ。

 衆院通過を巡っては、大島衆院議長が与党の国対委員長に対して、来年4月予定の法施行の前に、関連政省令が整った段階で衆院法務委員会での質疑を求めるという、異例の議長あっせんを行った。与党の議事強行に危機感を持ったとされるが、「選挙で勝ったのだから、後は何を決めてもいい」という政府・与党の姿勢は、ますます強まっている。

 民主主義は多数決だ、という以上の民主主義観を持っていなければ、「安倍政治」の六年間は、「選挙で勝ったのだから、後は何を決めてもいい」という立憲的独裁への白紙委任を進めてきた六年間ということになる。他方で「安倍政治」の六年間は、「民主主義は選挙だけではない」→「民主主義は合意形成のプロセスだ」という民主主義観へ転換する主体的な条件を準備してきたともいえる。言い換えれば、「民主主義は多数決だ」という民主主義観しか持っていなかったところから、多数決民主主義を通じて立憲的独裁への白紙委任に向かうのか、それとも多様な民意を前提とした合意形成プロセスとしての立憲民主主義へ向かうのか、「安倍政治」のたたみ方は、そのせめぎあいの渦中にあるということだ。

 たとえば以下で述べられているような民主主義の「設計思想」は、多数決民主主義観では「教科書」の話にしかならないだろう。しかし「民主主義は合意形成のプロセスだ」という民主主義観が腑に落ちるようになると、「国民主権で統治機構を作りこんでいく」うえでの重要な論点、問題提起として受けとめられるようになるのではないか。

 「投票重視の点で見ると、その反対側にあるのが『投票以外の要素もあるんだ』という考え方で、立憲主義はその例です。議会で多数を得ても、それを拒絶する憲法裁判所などの制度が整えられている。選挙で選ばれたわけではない人が政策決定に強くかかわるという面では、ある種のエリート主義の面を持っています。一方で、多数決だけでは侵害し得ない領域をしっかりと確保することによって、少数者の保護が可能になる。『憲法裁判所で否決されるような法案はそもそもつくらない』となって、議会の好き勝手な活動を抑止することにもなる」(古賀光生・中央大学准教授

 https://globe.asahi.com/article/11882947)

 「選挙は、小選挙区制であれ比例代表制であれ、どこかで意見集約をしなければなりません。ヨーロッパ大陸型の比例代表制は、投票した後で様々な意見を議会の場に出して、交渉して多数意見を練り上げていきます。逆に、選挙をするまえに意見を集約して投票にかけるのが、イギリスに見られる小選挙区制です。ただ、イギリスのように歴史に厚みがあり、明文化されていないルールも尊重するシステムが確立されていればいいのですが、同じ小選挙区制を新興民主主義国で導入すると、『小選挙区で勝てばいいでしょ』『3分の2を取ったら、憲法を変えていいでしょ』『変えたら、憲法裁判所を停止していいでしょ』と、際限なく物事が決められていく。『決められればいい』というポピュリズムの論理に引きずられかねません。もちろん、民主主義の定着度によっても、その国がどのような制度を持っているかによっても、状況は異なります」 (同前)

 「安倍打倒」「反安倍」では、「選挙で勝ったのだから、後は何を決めてもいい」という「安倍政治」の土台は変わらない。多数決民主主義にとどまらない民主主義観への転換、立憲民主主義を深めるために国民主権で統治機構を作りこむプロセス(狭義の「システム」のみならず「政治文化」も含めた)への踏み込み、それらの深まりと広がりの度合いに応じてこそ、「安倍政治」をたたむことができる。

 逆にそれが弱ければ弱いほど、たとえば以下の問題提起のように、民主的な合意形成の基盤は毀損されていくのではないか。

 「このような現状(憲法について共通の土台がないまま議論がかみあわない/引用者)のもとでの改憲は、現行憲法に対する社会のなかの共通感覚がないままに、さらに変わっていくことを意味しますから、日本がどのような社会を目指すのかという理想に対するコンセンサスや正統性が失われてしまう懸念があると思います。

 つまり、大半の人が、『どっちでもいいから好きにやって』という感じで憲法が変わってしまいかねず、憲法の正統性への疑義は残り続けることになるのではないでしょうか。これまでの日本社会は、経済的にそれなりに成功してきたので、憲法に対する疑義や矛盾もうまい具合に覆い隠されてきましたが、『ポスト平成』はどう考えても右下がりの時代になりますから、それらがむき出しになってしまいかねません」(西田亮介「憲法改正には関心なし? 若者たちの事情」WEBRONZA 11/25

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2018111300001.html)

 「安倍政治」をどうたたんでいくか。それはポスト平成―2020後の次世代に、どういう民主主義を手渡していくかということでもある。多数決民主主義を超えた立憲民主主義への糸口をつくれるか、むきだしの分断や対立を「数で決着つける」という民主主義か。

【「民主主義の死は選挙によってもたらされる」?

分断統治ではなく、課題を共有した連帯を】

 

 今、世界中で民主主義が危機に直面しているといわれる。全米でベストセラーとなった「民主主義の死に方」(レビツキー/ジブラット 新潮社)のカバーに書かれている「司法を抱き込み、メディアを黙らせ、憲法を変える――。『合法的な独裁化』が世界中で静かに進む」は、こうした状況を端的に示しているといえるだろう。

 著者はインタビューでこう述べている。(読売 11/22)

「――民主主義はどのように『死』に至るのか。

レビツキー氏  現代においては、銃で権力を掌握するのは困難だ。これは良いニュースで、私たちは民主主義は安全だと当然のように思っているが、実はそうではない。民主主義は別の方法で死ぬのだ。怒れる市民には、民主主義的な制度を民主主義に反して使う指導者を選ぶ余地がある。こうした『内部からの死』に対して、民主主義は本質的に脆弱だ」

 「選挙で勝ったのだから、後は何を決めてもいい」という民主主義が、「司法を抱き込み、メディアを黙らせ、憲法を変える」。「民主主義の死」はクーデターや銃によってではなく、選挙によってもたらされる。「怒れる」一票と「どっちでもいいから決めて」は、コインの表裏にほかならない。

 憲法はこうした多数決民主主義の暴走を抑える存在だが、それだけでは頼りない。

「ジブラット氏  合衆国憲法は重要だが、それほど多くのことは書かれていない。我々は憲法と同時に、明文化されていないが数世紀の間に築き上げられた、政治家はいかに振舞うべきかという規範を重要視してきた。我々が『柔らかいガードレール』と呼んでいるもので~『相互的寛容』~『自制心』」。

 誰もが一票だからこそ、『柔らかいガードレール』としての規範もまた、「選ばれた人」だけに求められるものではない。一九四八年から五三年まで使われていた中学・高校の社会科教科書には、このような記述がある。「民主主義を単なる政治のやり方だと思うのは、まちがいである。~中略~すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である」(「民主主義」西田亮介・編 文部省・著 幻冬舎新書)

 こうした民主主義観―『柔らかいガードレール』をどう継承し、次世代とともに21世紀にふさわしくアップグレードしていくか。それが問われている。民主主義という〝共有地〟は、耕す人がいなければ簡単に荒れ果て「内部からの死」に至る。「選ばれた人」だけではなく、普通の人たちがそれぞれの力量に応じて耕してはじめて、〝共有地〟は持続可能になる。民主主義は「内部からの死」に脆弱だが、その崩壊を食い止めるのは「偉大なリーダー」よりも普通の人々の一歩だ。

 残念ながら、消費者民主主義の爛熟で私たちの〝共有地〟は荒れ果てており、民主主義や憲法についての共通感覚も失われている。このなかで『柔らかいガードレール』を築くことは、世代間や社会階層間の分断を克服していくことでもある。選挙で多数を取ることは大事だが、そのために「敵」を作り分断を煽れば、〝共有地〟は荒れて『柔らかいガードレール』はさらに脆弱になってしまう。

 アメリカで存在感を増す「反トランプ」の草の根運動に、「インディヴィジブル」という運動がある。「インディヴィジブル」とは、「分割することができない」という意味で、「忠誠の誓い」で唱えられる一文に入っているという。この言葉が政治運動として使われるようになったのは、トランプ政権がアメリカ社会の分断をさらに深刻なものにするとの懸念から。連邦議会の元スタッフ4名が、分断の対義語である「インディヴィジブル」をタイトルにした、草の根活動のハンドブックを作り、ネットで公開、オバマケア見直しを頓挫させる草の根運動の原動力になったと言われている。

 選挙で当選したい議員心理をつかんで、地元の議員にどうアプローチして話を聞いてもらうかなど、書かれていることは特別なことではないという。草の根保守の運動であるティーパーティーとの違いは「彼らがアメリカの分断を望んでいたのとは逆に、我々は共生社会としてのアメリカの再建を目指しているのです」(https://hbol.jp/179848/3)とのことだ。

 分断統治ではなく、課題を共有した連帯を。来年は統一地方選、参院選が予定されているが、各種の「共闘」もこうした土台の上に構築されることが重要だ。

 「安倍官邸の『勝利の方程式』は、低投票率・与党の組織票固め、そして『こんな人たち』というように『賛成・反対』に分断するということです。選挙を通じて意見の対立がさらに深まるようなやり方は、トランプにも通じます。『民主主義は多数決だ』という民主主義観では、意見の違いを多数決で決着つける、ということになる。そのためにむしろ分断を煽る。これでは選挙の結果、選挙前よりも対立が深まることになる。

 そうではなく、有権者の関与によって意見の違いを新たなステージでまとめあげる、ということ。来年の統一地方選は構え方としては、選挙を通じて新しい自治のあり方を生み出すことに挑戦する、ということです。選挙の争点も、対立を明らかにするためではなく、地域の課題を共有するための問題提起ということになる。選挙後にも選挙で提起された問題を解決するための、新しい会話の糸口になるような構え方をしなければならない」(4面京都「囲む会」)。こうした試みは、地域の現場から始まっている。

 政権を争う国政選挙では「勝ち・負け」は避けられないが、「有権者の関与によって意見の違いを新たなステージでまとめあげる」という自治の政治文化が基礎にあっての政権選択なのか、「意見の違いを数で決着つける」という政権選択なのかは、民主主義にとって大きな違いである。

【人口減少時代の民主主義―住民自治の当事者性を涵養する 

 統一地方選をどう構えるか】

 「2020後」という問題設定は、これまでは漠然とした不安だった人口減少社会の到来に向き合わざるをえないなかで、その当事者性をどう準備できるのかということにほかならない。人口減少時代は突然やってくる危機ではなく予見しうる問題であり、だからこそ「あれか、これか」を自分たちで決める自治の当事者性を涵養できれば、チャンスに転じることもできる。

 自治の当事者性を涵養できなければ、「あれか、これか」をトップダウンで決める、そこに白紙委任することになる。「その先」をいささかグロテスクに描けば、映画「十年」のなかの、生産性の低い高齢者に安楽死を推奨する国の事業とそれに身を委ねる高齢者、ということになろうか。民主主義と同様に当事者性も、不断に涵養し続けなければ「内部からの死」に脆弱だ。

 人口減少時代に直面する課題は多数あり、どれも優先順位の高い重要な課題だが、何よりも問われるのは、課題を共有し向き合うための当事者性の涵養にほかならない。来年の統一地方選をはじめ各種の選挙―とりわけ地方選挙では、こうした当事者性の涵養にどう結びつけられるかが最重要の課題だろう。

 人口減少時代にはこれまでの「拡大」基調から「縮小・縮退」基調への転換が不可欠だとされる。そのとおりであるが、問題はその転換を経済効率や合理性、選択と集中といった市場の論理、行財政改革の論理で行うのか、あるいは民主主義・自治の論理で行うのか、ということでもある。課題を共有する当事者性は、後者から涵養されるのは言うまでもない。

 節約至上主義ではなく、何のために何をカットするのか、絶対に譲れない領域は何か、あるいは何を守るためには負担増もあえて選ぶのか、こうした議論を市民とともにどれだけ深めることができるか。

 「あれか、これか」と言っても優先順位は多様だ。企業経営なら経済効率や合理性で判断すればいいが、「地域経営」はそうはいかない。議会には、地域の多様な利害を表出させつつ、上記のような議論のなかから優先順位を決めていく役割がある。その役割を果たすうえで、「自分は財政の切り口から判断する」「自分は子育ての切り口から判断する」「自分は産業自治の切り口から判断する」というような「審判としてのモノサシ」を、議員候補者の公約として提示してはどうか。

 何のために何をカットするのか、絶対に譲れない領域は何か、あるいは何を守るためには負担増もあえて選ぶのか、こうした議論からは、立憲民主主義の基礎である「われら主権者がつくった政府(自治体政府)」というオーナー感覚―当事者性が育まれるはずだ。そういう〝共有地〟を耕していかなければならない。

 「選挙で勝てば、後は何を決めてもいい」のトップダウンでは、人口減少時代の政策はこれまで以上に地域の現場に丸投げになる。

 入管法改正は、人手不足→安価な外国人労働力という発想で、「生活者として受け入れる」という視点は欠落している。しかしすでに研修生や留学生という形の外国人労働者なしに、私たちの生活は回らない状態だ。その彼らを生活者として受け入れようと試行錯誤しているのは、地域であり自治体である。入管法改正が成立すれば、さらに自治体に丸投げになることを懸念して、外国人住民が多く暮らす自治体で組織する「外国人集住都市会議」(座長都市・太田市)は、共生施策の整備に国が深く関わるよう求めている。

 人手不足解消という経済の論理だけでは、地域は回せない。地域には、生身の人間として、生活者として受け入れる自治や共生の論理が不可欠だ。

 昨年の総選挙で与党の公約として掲げられた幼児教育の無償化。政府が来年10月からの実施としていることに対して、全国市長会は「確実な財源の保障及び子どもたちの安全を確保するための質の担保手法が国から示されない限り、円滑な施行は困難である」として政府に要請を行った。「保育園を考える親の会」の自治体へのアンケートでは、自治体負担が発生して財政が圧迫されることで、「保育の質確保策に悪影響」「公立保育所の予算確保が難しくなる」などが上がっている。

 待機児童対策として政府肝いりの「企業主導型保育所」も倒産や補助金詐欺などの問題が出ている。これも「自治体を関与させずにスピーディーに」と言いながら、その後始末のツケは自治体に回されている。

 待機児童解消や幼児教育無償化は、待機児童の「頭数」や保育所の「数」の問題ではない。曲がりなりにも、子どもの保育の質をどう確保するか、ということで取り組んできた自治体の関与を排したトップダウンでは、現場は回らない。

 人口減少時代をトップダウンではなく、地域から住民自治の当事者性で乗り切っていく力量を備えていく。その一歩として2019年統一地方選を。「2020後」に向けた民主主義のイノベーションへ。(3―6面「囲む会」も合わせて参照を。)

(「日本再生」475号一面より。紙幅の関係で、紙面では一部割愛しています。)

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「がんばろう、日本!」国民協議会 第九回大会

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2020後にむけて 

立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か

~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ

日時  2019年1月6日(日)1300から1700

場所  TKP市ヶ谷カンファレンスセンター

概要  第一部 講演(問題提起)

    第二部 パネルディスカッション

参加費 2000円

(懇親会 事務所(徒歩5分)へ移動  1730くらいから 参加費1500円)

【第一部 講演(問題提起)】

吉田徹 北海道大学教授 

諸富徹 京都大学教授 

【第二部 パネルディスカッション】

吉田先生 諸富先生 

松本武洋・和光市長 廣瀬克哉・法政大学教授 山本龍彦・慶應大学教授

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望年会のお知らせ

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■東京

12月15日(土) 1600から1900

「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)

会費 1500円

■京都

12月6日(木) コープイン京都
第一部・講演 1800-1900 中西寛・京都大学教授  参加費 1000円
第二部・懇親会  参加費 3500円


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

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メルマガ♯がんばろう、日本!         №243(18.10.31)

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Index 

□ 2020後にむけて 

立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か

~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ

●〝2020後〟の課題に向きあう転換へとつながるように、

「安倍政治」をどうたたんでいくか 

●人口減少社会の問題設定 

 民主主義の論理か、行財政改革の論理か

□第九回大会のご案内 ほか

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2020後にむけて 

立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か

~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ

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【〝2020後〟の課題に向きあう転換へとつながるように、

 「安倍政治」をどうたたんでいくか】

 自民党総裁選で安倍総理圧勝のシナリオを崩したのは、地方票だった。「安倍一強」の地方での足元の危うさを示すように、沖縄県知事選挙では政権側が全力で支援した佐喜真・前宜野湾市長が、翁長前知事の後継である玉城デニー氏に大差で敗れた。出口調査では自民支持層の二割、公明支持層の三割が玉城氏に投票している。

 沖縄県内では知事選以降、豊見城市長選で二十年続いた保守市政をオール沖縄候補が破り、那覇市長選では翁長市政を受け継ぐ現職が再選された。全国的にも兵庫県川西市長選、千葉県君津市長選、京都府大山崎町長選で、自民系候補が敗れている。「安倍一強」の終焉は、地方から告げられつつある。

 内閣改造も政権の求心力とは、ほど遠い。産経新聞の調査でも、内閣改造以前と比べて支持は2.0ポイント減、不支持は0.5ポイント増というありさま。内閣改造と自民党役員人事を「評価する」は24・9%、「評価しない」は58・6%に上り、改造内閣に期待しないという回答も51・9%。

 消費税率引き上げ、外国人人材受け入れ(実質的な移民政策)など、憲法改正以上に今国会で議論されるべき課題は多い。どの問題も根底にあるのは急激な人口減少と高齢化であり、弥縫策の積み重ねには限界がある。だが、この内閣の顔ぶれでまともな議論ができると思う人は、ほとんどいないだろう。しかもデータの改ざんや隠蔽、統計のごまかしが横行した前国会のケジメは、何ひとつついてはいない。

 世論の政権からの遠心化が、今後の基本的な方向性となる。いいかえれば、「安倍政治のたたみ方」―どうたためば〝2020後〟の課題に向きあう転換につながるのか、どうたためば〝2020後〟の課題に向きあうためのリソースをさらに毀損することになるのか―が、問われることになる。

 政権と官邸は、憲法改正を求心力回復の突破口にしようとするかもしれない。しかし憲法改正では一貫して官邸が世論と乖離している。自民党の船田元氏は、衆院憲法審査会の党人事で野党との協議を重視する船田氏ら「協調派」が幹事を外され、「代わって、いわゆる『強硬派』と呼ばれる安倍総理に近い方々が、(新しい幹事として)野党との交渉の前面に立つことになった」と指摘する。「安倍一強」の手法を今後も押し通すのか。2019年統一地方選をはじめとして、政権与党は世論の厳しい目にさらされる。

 「国内で遠心力が働き続けるとすれば、政権は万難を排して引き締めに入ろうとするのではないか。良識ある国民ならば、眉をひそめるような無理筋の国会審議、法解釈を曲げてでも支持層に利益配分を行ったり、なりふり構わず反対派に報復したりということも考えられる。政権の終末時、断末魔の叫びのように」(牧原出 WEBRONA 10/15)

 2019年統一地方選をはじめとする地方選挙は、こうした「無理筋」を防ぎつつ、「安倍政治」を賢くたたむための攻防になる。それは国政の代理戦争などでは断じてない。争点設定はあくまでも地域の課題を共有するためであり、住民・市民が学習と討論を通じて練り上げた公約(マニフェスト)を基に行われる選挙をめざすべきだ。政党のかかわりは、市民が設定した土俵に乗れるかどうかで決まる。

 もうひとつの場は国会だ。先の通常国会終了後、大島衆院議長は、政府による公文書の改ざんや隠蔽、誤ったデータの提供などが相次いだことについて「民主的な行政監視、国民の負託を受けた行政執行といった点から、民主主義の根幹を揺るがす問題」という異例の所感を公表した。一方、衆院議院運営委員長となった高市氏は10月25日、自民党の小泉進次郎氏ら国会改革を求める超党派議員と面会し、「議運委員長として実現を目指す事柄」と題した私案を提示。この中で政府提出法案の審議を優先し、議員立法や一般質疑は「会期末前に残った時間」を充てることなどを掲げた。これでは国会は「安倍一強」の追認機関と化す。

 国会が安倍一強の無理筋に追従するのか、振り回されないようにするのか、与党内の常識派が問われる。先の総裁選でも可視化されたように、その常識派を後押しするのは国民世論だ。

 〝2020後〟の課題に向きあう転換へつながるように、「安倍政治」をどうたたんでいくか。地域からの輿論の迫り上げを。

【人口減少社会の問題設定 

 民主主義の論理か、行財政改革の論理か】

 自公・官邸の「必勝パターン」を崩した沖縄県知事選以降、各地の首長選挙で自民系候補が敗れている。兵庫県川西市長選では、半年にわたる市民との対話を通じて政策マニフェストを磨いてきた越田謙治郎氏が、前市長による後継指名と自民党の推薦を受けた候補に圧勝。「ハマコー王国」といわれていた保守地盤の強い君津市の市長選挙では、三代にわたって首長を務めた家系の前市長の基盤を受け継いだ自公推薦候補を、連合千葉の推薦を受けた無所属新人の女性候補が破った。

 京都府大山崎町長選では、与野党相乗りの現職を共産支持の新人(大山崎町議を5期務めた元自民党の前川氏)が破った。公立保育所の民営化をめぐる一万一千名の署名を無視するなど、前町長の町政運営への反発が高まるなか、「市民派」を掲げる新人候補は「住民委員会」の設置など、住民主体のまちづくりを公約に掲げたという。

 これらに共通するのは「野党共闘」という国政での枠組みではなく、住民・市民が地域の課題を共有し、地域のこれからを自ら選択する、その自治のための争点設定、土俵づくりという点にある。政党のかかわりは、その土俵に乗れるかどうかで決まってくる。「野党共闘ありき」ではない。参院選一人区での野党の候補者調整もこうしたプロセスにできるか、政党以上に有権者の力が試される。

 別の角度から言えば、「人口減少社会に向けてということがリアルになって、拡大要求型ではなく縮小型の政策が問われるときに、その決定を中央集権的に、立憲独裁的に、行財政改革の論理でやるのか、それとも立憲民主主義的に、議論による統治や住民自治の論理でやるのか。そういうステージに入るということです。

 住民自治の涵養になる選挙ということは、選挙を通じて分断や対立を深めるのではなく、有権者の関与によって分断や対立を収めるということです。『どっちの側につくんだ』という選挙のやり方ではなく、たとえば総合計画を共通の土台にして、それぞれの視点や方向性を議論するというような。住民自治の涵養とつながるように、というところから、いろいろな知恵も出てくるわけです」(13面「囲む会」戸田代表)。

 2019年統一地方選をはじめとして各種選挙では、人口減少社会の到来という「不都合な真実」にどう向き合うかが問われる。厳しい選択が問われることもあるが、そこでの本質的な軸は、行財政改革の論理か民主主義の論理かということだろう。

 その場しのぎの取り繕いや、破綻が明らかな「計画」でごまかしていれば、人口減少社会の到来は「突然の破綻」と受けとめられ、そこでの決断の厳しさは「手の爪をはぐか、足の爪をはぐか、どちらか決めなければならない」(473号一面参照)という類のものと受けとめられることになる。行財政改革の論理とはこれだ。

だが「人口減少は、ある日突然やって来る危機ではなく、かなり正確に予測できるものです。したがって準備することができる。予測できるにもかかわらず準備できていないことが、最大の問題」(諸富徹・京都大学教授 471号「総会」)であるからこそ、人々がきちんとした情報に基づいて議論し、自己決定していくためのプロセスを支えることこそが政治の役割となる。人口減少社会に向き合う民主主義の論理や作法が問われる。

さらに言えば、「人口減・少子高齢化というのは、単なる自然現象ですか。違いますね。政策の失敗でしょう。人口減・少子高齢化は、すでに七十年代には分かっていた。それに対応すべき時間と政策資源を、行財政改革の名の下に犠牲にしたのではないのか。

同じように出生率の低下に直面していたフランスは、政策によってそれを回復しました。日本は端的に言えば、団塊ジュニア世代のところで社会の持続可能性を犠牲にしたんです。行財政改革や効率性の論理の前に、デモクラシーの論理(民主政の基盤づくり)が太刀打ちできなかった。その弱さなのです」(14面 戸田代表)

 行財政改革の論理で推し進められた平成の合併は、「『団体自治』を侵害するとともに、『民主主義(住民自治)』を侵害するものであった」(幸田・神奈川大学教授 9面)。そしてその先に見えてきているのは、総務省の「自治体戦略2040構想研究会」の報告に見られるような、住民自治はおろか団体自治さえも否定する中央集権派による、人口減少時代の問題設定である。

 民主主義は単なる多数決ではない。「あれか、これか」「何かをあきらめる」という厳しい選択が求められるからこそ、「これだけ話し合ったんだから」ということも含めた〝納得〟のプロセスが不可欠だ。それなしには、多数決民主主義は対立と分断を深める結果にしかならない。話し合いを通じて課題を共有するからこそ、問題を解決するための自治の当事者性も生まれてくる。それなしに、民主政の基盤は鍛えられない。

 ヨーロッパやアメリカでの社会的分断は、われわれにとっても対岸の火事ではない。ますますグローバル化する経済や情報、社会の変化に「取り残された」と感じる人々、将来が見えないと感じる人々は、潜在的にも増えている。そのなかで行財政改革の論理でさらなる分断を煽るのか、民主主義の論理で自治の当事者性を涵養していくのか。〝2020後〟を見すえて、住民自治の涵養の場としての選挙をつくりだそう。

 〝2020後〟の課題に立憲民主主義で向き合うために。第九回大会(1月6日)「2020後にむけて 立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ」に、多くのみなさんのご参加を。

(「日本再生」474号一面より)

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「がんばろう、日本!」国民協議会 第九回大会

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2020後にむけて 

立憲デモクラシー(議論による統治)か、立憲的独裁か

~国民主権で統治機構を作りこんでいくプロセスへ

日時  2019年1月6日(日)1300から1700

場所  TKP市ヶ谷カンファレンスセンター

概要  第一部 講演(問題提起)

    第二部 パネルディスカッション

参加費 2000円

(懇親会 事務所(徒歩5分)へ移動  1730くらいから 参加費1500円)

【第一部 講演(問題提起)】

吉田徹 北海道大学教授 

諸富徹 京都大学教授 

【第二部 パネルディスカッション】

吉田先生 諸富先生 

松本武洋・和光市長 廣瀬克哉・法政大学教授 山本龍彦・慶應大学教授

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望年会のお知らせ

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■東京

12月15日(土) 1600から1900

「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)

会費 1500円

■京都

12月6日(木) コープイン京都
第一部・講演 1800-1900 中西寛・京都大学教授  参加費 1000円
第二部・懇親会  参加費 3500円

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「囲む会」のご案内@京都

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●第36回 戸田代表を囲む会in京都

11月17日(土) 1830から

「『安倍政治』の検証から、選挙をどう構えるか

 ~戸田代表の提起と自治体議員の討議を軸に」

コープイン京都 


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

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