メルマガ♯がんばろう、日本!         号外(17.2.11)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index 

□ご案内 イベント「憲法について議論しよう」

 

□囲む会のご案内  「凡庸の善で考え続けるために」

==================================

憲法について議論しよう

==================================

「日本再生」でインタビューに登場していただいた、曽我部先生(京都大学)

宍戸先生(東京大学)が登壇されます。

2017年2月20日(月)
 17:00~憲法について議論しよう!対談イベント、質疑応答
 19:00~意見交換会(懇親会)

曽我部真裕 京都大学大学院法学研究科 教授
宍戸常寿  東京大学大学院法学政治学研究科 教授
清水真人  日本経済新聞社 編集委員
別所直哉  ヤフー株式会社 執行役員(政策企画等管掌)

ヤフー株式会社本社 17階コワーキングスペースLODGE
〒102-8282
東京都千代田区紀尾井町1-3
東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井タワー

くわしくは

http://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/0176iyynwv43.html#detail

==================================

東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 同人1000円/購読会員2000円

◆第171回
「TICAD Ⅵと日本のアフリカ政策」

2月13日(月) 午後6時45分から
ゲストスピーカー 坂井真紀子・東京外国語大学准教授

◆第172回
「どうなる トランプのアメリカと中国」

2月18日(土) 午後4時から
ゲストスピーカー 朱建榮・東洋学園大学教授

 
■第八回大会 第四回総会

3月20日(月・祝) 午前10時から午後6時

「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)

*今年は、立憲民主主義の歴史的な分岐点(新しいステージに進むか、
後退を強いられるか)となるような、重要な内外の選挙が予定されています。
トランプ政権の誕生につづく、フランス大統領選挙、ドイツ議会選挙
国内でも「ミニ統一地方選」といわれるような、各地の選挙が予定されており
7月の東京都議選以降は、ブラフも含めて「解散風」が吹くと予想されます。
こうしたなかで浮き足立たず、よりいっそう自治に軸足を置いて
フォロワーシップの集積・転換から、事態に向き合っていくための諸問題を
共有したいと思います。
民主主義がファシズムに転じた20世紀の教訓は、
21世紀のフォロワーシップの集積をめぐって決着をつけること、
そこから次世代に引き継ぐべき、立憲民主主義の新たな地平を創りだすべく。


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         №220(17.1.30)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index 

□問われているのは、われわれなんじゃないか

立憲民主主義のフォロワーシップの集積が試されている

~トランプのアメリカが問うもの

 ●トランプのアメリカが問うもの 中国が自由貿易を擁護し、アメリカが壁を築く

 ●課題の普遍性にどう向き合うか 課題先進国か衰退途上国か

 ●問われているのは、われわれなんじゃないか~質のよい悪口か、情動的な多数の暴走か

 ●立憲民主主義を支えるフォロワーの厚みと多様性 その主戦場は、くらしと自治の現場

□「囲む会」のご案内 

==================================

問われているのは、われわれなんじゃないか

立憲民主主義のフォロワーシップの集積が試されている

~トランプのアメリカが問うもの

==================================

【トランプのアメリカが問うもの 

 中国が自由貿易を擁護し、アメリカが壁を築く】

 トランプ第45代アメリカ大統領は就任直後から、TPPからの離脱、オバマケアの見直し、メキシコ国境の壁建設などの大統領令を連発し、「アメリカ第一」の姿勢を鮮明にしている。普遍的な価値を掲げて国際的な公共財を提供するという「責任ある大国」から、「理念なきアメリカ、自分のことしか考えないアメリカ」(西谷修「アメリカのない世界」 世界1月号)へのハードランディングが始まった。

 皮肉なことに、トランプのアメリカが国境に壁を築き、保護貿易へ舵を切ろうと宣言しているときに、中国の習近平国家主席は初めて出席したダボス会議で、自由貿易や世界経済秩序の最大の支持者としての存在感を見せつけた。政治リスク専門のコンサルティング会社、ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は「世界の自由貿易のリーダーが中国とは、資本主義はピンチだ」とツイッターに投稿した。

 トランプ政権は温暖化対策に関しても明らかに後ろ向きだ。パリ協定からの離脱は規約上難しいだろうが、おそらく協定は不履行となり、オバマ政権下の環境規制は大幅に緩和されるだろう。その一方で、深刻な大気汚染問題が政権基盤にも影響を及ぼしかねない中国が、温暖化対策のリーダーに押し出される可能性もある。

 「中国は大気汚染が深刻で、これを解決しなければ、共産党統治の正当性が持たなくなってしまう。つまり大気汚染問題を解決することと、温暖化対策をセットで進めざるを得ない状況にあるわけです。ここはアメリカと大きく違うところかもしれません。今中国は十数都市で、排出量取引制度を実験的に実施しています。最終的には全国レベルの排出量取引制度を入れる計画で、ひょっとすると、中国がアメリカよりも先に行くかもしれないですね」(諸富徹・京都大学教授 2―5面)

 自由貿易や温暖化対策といった多国間の協調による枠組みに、中国が積極的に関わり、アメリカは背を向ける―そんな「前代未聞」の時代が始まりつつある。

 トランプのアメリカが問うのは国の生き方であり、われわれがどんな社会を次世代に引き継ぐのかということだ。

 「理念なきアメリカ、自分のことしか考えないアメリカという像は人をうろたえさせるかもしれませんが、その発想を持たなければ、世界はもはや未来をイメージできない。『日本の対米自立』と意気込む人もいるのでしょうが、右であれ左であれ、アメリカ的秩序に寄りかからずに自分の国はどうしていくのか、本格的に考えなければいけない時がきているということです」(西谷 前掲)。

 「トランプ氏の米国第一主義を理解し尊重する」と言いながら「TPP参加を働きかける」(安倍総理)というような、小手先の交渉術や当座しのぎの取り引きでは、とても対応できない。(「カモ」とみなされるかも。)日米二国間の貿易交渉では、かつての「貿易戦争」を思い起こさせるような対日圧力と、TPPを超えるような市場開放要求が想定される。

 またトランプ大統領就任を前後して、国連仲介の和平協議とは別に進められてきたロシア、トルコ、イランによるシリア和平協議が合意された。今後の行方にはまだ不安定な要素も少なくないが、「アメリカ抜き」の国際関係は確実に始まっている。それが人権や平和といった普遍的価値を尊重するものになるのか、むきだしの権力政治が前面に出てくるのか。 

 「むきだしの権力政治がいっそう前景にせりだすなか(自分のことしか考えないアメリカ/引用者)、右でも左でもない日本国が、いま一度人権や平和といった規範に則って国の針路を見定めることができるのかどうか、正念場を迎えている」(遠藤乾 朝日11/24)

【課題の普遍性にどう向き合うか 

 課題先進国か衰退途上国か】

 トランプ氏の言動は、きわめて短期的な利害を狙ったものだ。「トランプ氏の自己利益第一主義の言動は、経済学的にみても合理的なものではなく、極めて短期的な視野に基づいていると言える。経済合理性を貫けば、能力や生産性を無視した差別やエコヒイキは長期的に必ず利潤を低下させ、市場での敗退を招く」(猪木武徳・大阪大学名誉教授 日経1/4「経済教室」)。

 だからこそ長期的な視野、価値や理念に足場を置かなければ、短期的な利害に振り回され、自分を見失うことになる。渡辺靖・慶應大学教授によれば、トランプ氏の「自己利益第一主義の言動」にすぐに反応して妥協する相手は「カモ」と見なされるようだ(http://blogos.com/article/207007/)。

 例えばパリ協定の不履行は、米産業界にとって短期的には温暖化対策のコストを免れることになっても、長期的には産業の衰退を招くだろう。

「フィナンシャル・タイムズの観察は、図らずも共産党政権は温暖化対策の世界のリーダーに押し出され、また国内の強いプレッシャーの中で、実は中国の産業の現代化が図られていくのではないか、というものです。日本がかつて石油ショックでエネルギー価格が高騰して、図らずも世界でも最高水準の省エネを成し遂げ、なおかつ産業上の成功を成し遂げたのと同じ状況に、中国もなるかもしれないということです。

これに対して、アメリカは自らの手で規制を緩めてしまい、エネルギーをジャブジャブ使う経済構造をそのまま続けることになった場合、今は費用負担から免れて楽になったと思うかもしれないが、それは決して長期的な勝利を意味するわけではないということです」(諸富 前出)

 日経ビジネス1/23号の特集は、「トランプに負けるな! トヨタ、GE、ダノンの動じない経営」だ。「米国でトランプ新大統領が誕生し、これまでのグローバリゼーションが修正を迫られる。その根底には、大企業が主導する資本主義の恩恵にあずかれなかった、無数の市民の不満がある。格差の拡大や地球温暖化など、企業活動は様々な社会問題の原因となってきた。だが、『ESG』『SDGs』『パリ協定』をはじめ、企業がリーダーとなり課題を解決する指針は整った。近視眼的な利益追求は社会との分断を大きくする。〝トランプの時代〟に動じない、長期視点が必要だ。企業と社会が価値を共有する『サステナブル(持続可能な)経営』。これが、新時代の競争軸になる」と。【ESG:環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance) SDGs:持続可能な開発目標】

(http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/011300558/?ST=pc)

 トランプ大統領の「つぶやき介入」で、目先の雇用は確保できるかもしれない。しかし例えば自動車産業では1999年から2015年の間に米自動車三社の生産規模は約300万台減ったのに対し、同時期に日韓欧の企業は米国内での生産も雇用も増やしている。米国勢の衰退はメキシコ移転よりも自国内の生産で海外勢に押された結果といえる(日経1/24)。

 その米自動車業界の新政権への要望は、オバマ政権での燃費規制の緩和とドル高是正(為替による輸出補助金に相当する)だ。ガソリンをジャブジャブ使う構造を温存したまま、輸出補助金に頼るようなやり方に未来はあるのか。柳川範之東京大学教授は「怠惰な4年になる予感がする」と述べている(日経 前出)。(これは日本にとっても同様。3―5面・諸富先生の講演参照。)

 エネルギーや環境の制約、あるいはグローバル化と再分配をめぐるガバナンスの再設計、人口減少・少子高齢化、脱工業化などの時代や社会構造の変化は、旧来型の産業やシステムの衰退をもたらすが、同時に新たな産業やシステムを生み出すイノベーションのチャンスでもある。イノベーションとは非連続性であり、従来の延長線上からの軌道の変更だ。規制や制約は、こうした軌道の変更へ向けたチャレンジを促す。

 今求められているイノベーションに共通するキーワードは、持続可能性といえるだろう。これに挑戦するなかからこそ、課題先進国への道は開ける。その挑戦に背を向けるなら、その先にあるのは衰退途上国への道だ。問われているのは、歴史的課題の普遍性にどう向き合うかだ。

  

【問われているのは、われわれなんじゃないか

 ~質のよい悪口か、情動的な多数の暴走か】

 大統領令を乱発するトランプ大統領だが、独裁者のように何でもできるわけではない。あくまで行政府のトップとしての法律運用の指令であり、法律を作れるわけではない。法律を作るのは議会だ。また最高裁で大統領令が憲法違反とされることもある。

 たとえばオバマケアも大統領令で廃止できるわけではない。立法措置が必要であり、それは議会の権限だ。共和党は上下両院で過半数を占めているが、上院の議席は民主党のフィリバスターを封じるには足りない。また廃止すれば二千万人が無保険者になるといわれるが、代替案については共和党内の調整が難航している。代替案なしに廃止すれば、有権者の反発は必至だろう。

 シリアなどからのイスラム教徒の難民の入国を禁じる大統領令も検討されているようだが、国籍や宗教による選別は憲法違反とされる可能性があるし、当然国際的な反発も呼び起こすだろう。あるいは不法移民保護政策を理由とした、自治体政府に対する連邦政府からの資金カットについても、ニューヨーク市長は、実行されれば法廷に訴える方針を明らかにしている。

 つまり「人々の感情を動員して最高権力者の地位に就いても、アメリカの政治制度には『大統領が権力を行使しにくいようにするための手枷足枷』が芸術的と呼ぶべき統治制度(多重的なチェック・アンド・バランス/引用者)として待ち構えている。人々の感情の烈風を受けた政治家の人格に、政治が過度に左右されないための建国者たちの工夫」(岡田憲治 日経ビジネスオンライン11/15)であるところの立憲民主主義を機能させられるかが問われている、ということだ。

 イギリスの国民投票がウソが横行する「デマクラシー」と言われ、アメリカ大統領選挙が偽ニュースサイトが拡散される「ポスト真実の政治」と言われたように、「事実かどうかなんて、どうでもいい」という怒りや憤りが政治的に噴出されるなかで、立憲民主主義を機能させるために問われていることは何だろう。

 不満や憤りを抑えることはできない。民主主義はキレイゴトではない。意見の違い、利害の対立がある以上、激しく議論を戦わせることは当然だし、そこに感情が伴うのも自然なことだ。問題は、「敵」に仮託して感情を表出するのか、「顔の見える」関係性のなかで感情を表出できるのか、ではないか。

 不満や憤りが、民主主義を鍛えるために必要な「質のよい悪口」になるのか、「情動的な多数の暴走」になるのか。民主主義を分断や憎悪を増幅させるツールにしてしまうのか、連帯と尊厳のためのツールとして深化できるのか。

 

 これはリーダーではなくフォロワーシップの勝負だ。民主主義がファシズムに転じた20世紀の教訓を、 21世紀のフォロワーシップの集積をめぐって決着をつけること、そこから次世代に引き継ぐべき、立憲民主主義の新たな地平を創りだす―それが民主主義のイノベーションだろう。

 「不安はある。ただ、問われているのは、われわれなんじゃないか、と。『私たちが彼を導く』ということなのかもしれません。大統領である彼が私たちを導くのではなく、私たちが彼をしっかり導くことが重要なんだ、と」。トランプ大統領の就任式に参加した元軍楽隊員(32年間で計7回、大統領就任式でファンファーレを鳴らしてきた)の感想だ。

 続けて彼はこう言う。「考え方はそれぞれ違う。私も大統領とは考えが違う。でも、私は彼を大統領として受け容れようと思う。考えの違う人も『だから(トランプ氏は)』と言って逃げず、もっと積極的に政治に参加して議論する必要がある。この就任式に民主党の議員が大量に欠席したのを、私は最初、仕方ないと思った。だけど今は違う。彼らは出席すべきだった。そして声を出すべきです。私ももっと政治には参加しないといけない。そう考えています」(立岩陽一郎/Yahoo!ニュース編集部 http://news.yahoo.co.jp/feature/489)

 大統領就任式でヒラリー・クリントンに執拗にブーイングを浴びせる人々がいる一方で、翌日のウイメンズ・マーチで同じ場所を埋め尽くした人々は、「彼は大統領になったんだから、退陣を求めるべきじゃない。でも、『彼とは違う』ということを私たちは示さないといけないんだ」、「トランプが勝って、恐ろしくて悔しくて悲しくて。でも、大統領になったんだから、しっかりやってもらわないと」と言う。(同前)

 これは「多様な人々の共生を可能とする基礎的条件である『寛容』と『知恵の交換』」(佐藤幸治「立憲主義について」放送大学叢書)という立憲民主主義の基本的精神を体現する、フォロワーの厚みと多様性をめぐる勝負だ。そしてそのためにこそ、中間層の厚みのある社会を目指さなければならない。

【立憲民主主義を支えるフォロワーの厚みと多様性 

 その主戦場は、くらしと自治の現場】

 立憲民主主義の基本精神を体現するフォロワーの厚みと多様性をめぐる勝負。その主戦場は、くらしと自治の現場だろう。

 20世紀の工業化社会は太い大きな対立軸で成り立っており、それに沿って形成された政党を媒介に民主政治のモデルが形づくられた。しかし現代の脱工業化社会では、たとえば一口に労働者といっても、いくつもの利害に分断されている。それらをまとめるような大きな対立軸は存在せず、細かく小さな対立軸しか存在しない。ここから生じる意見の違いや利害の対立にどう向き合うか。

 たとえば「保育園落ちた、日本死ね」は、待機児童問題という、すでに深刻だったにもかかわらず政治(永田町・霞ヶ関)が光をあてようとしてこなかった問題に注目させる契機にはなった。しかし国会論戦で何か深まったか? 

 保育園建設ひとつとっても現場では、周辺住民をはじめさまざまな人々の合意形成が不可欠になる。保育を必要としている保護者のニーズも、じつは多様だ。そして言うまでもなく、「子育て支援」は保育園だけで完結するものではない。「保育園落ちた、日本死ね」が提起した問題、そこに関わる「賛成・反対」や単純な多数決では決着のつかない多様で複雑な利害や意見の違い、そこから生じる感情の対立やギャップ…。こうした細かくて小さないくつもの対立や摩擦を、どういう場・共同性のなかで表出していくのか。

 異なる意見を否定したり、論破したり、排斥したりする―閉鎖性・同質性を求めることで成り立つ共同性なのか。忖度でも同調圧力でもなく、単なる多数決でもなく、利害の対立、意見の相違を、まずは「そういうものだ」と認め合うところから互いに議論できる―そういう関係性で成り立つ共同性なのか。こうしたことが、くらしと自治の現場では次第にリアルになっているはずだ。

 たとえば一昨年の安保法制をめぐって始まった「野党共闘」が、単なる選挙のための数合わせではなく、立憲民主主義の運動として地域で続いているところでは、こうした組織感覚がリアルな実践感覚になりつつあるのではないか。これまで接点がなかった、場合によっては対立した経緯もある組織や団体、個人が場を共有し、それを維持し続けようとすれば、「異なる他者」をまずは認め、その意識活動をとらえようとしなければ継続しない。

 また地方議会の会派は必ずしも、国政政党の下請け・上意下達だけで作られているわけではない。そうしたところでは、安保法制に限らず国政マターについての意見書の採択、あるいは地域の課題、予算案の修正や議会運営などをめぐって、会派間の連携がさまざまな形で試みられる。会派が違うのだから、考え方が違うのは当たり前。だからこそ「決め付け」ではなく徹底的に議論して、相手はなぜそう考えるのかを理解する必要があるし、その上で一致できるところを見出す努力をしなければならない。

 そこからは、単なる多数決ではなく、意見が違うからこそ、そこに政治(合意形成)の必要性があるんだ、という立憲民主主義の感覚が生まれるはずだ。何分の一という「頭数」としてではない議員の役割、決定過程―合意形成の重要性、「政治家は合意形成のプロ」(大島敦衆院議員 「日本再生」452号)などの意味がリアルになる。

 会派のマネジメントも「一致団結」「全会一致」を求めるのではなく、議論を尽くしたうえでなお残る違いを理由に関係性を断つことはしない、というものになっていくだろう。これは「ゆるい」関係性ではなく、主体を問いあうからこそ成り立つ信頼とリスペクトの関係性だ。

 コラム「一灯照隅」は、くらしと自治の現場での、こうした立憲民主主義の実践をめぐる試行錯誤を共有する場でもある。

 世代間のギャップや摩擦を世代間対立にしてしまうのか、お互いの理解への糸口にしていくのか。どうすれば分断的になる問いの発し方になり、どうすれば関係性を深める問いの発し方になるのか。無責任連鎖から生じるさまざまなマイナスの反応に、めげずに「あきらめない」持続性はどのように育まれるのか。「消費者として文句を言う」ところから始まるお任せ民主主義、消費者民主主義からの「参加」の分解のなかに、自治の当事者性をどう涵養していくか。その試行錯誤をどのように伝え、共有していくかetc。

 立憲民主主義のフォロワーシップを、くらしと自治の現場から着実に集積していこう。

(「日本再生」453号 2/1 より)

==================================

囲む会のご案内  「凡庸の善で考え続けるために」

==================================

◆第171回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「TICADⅥと日本のアフリカ政策」

 2月13日(月) 午後6時45分より

 ゲストスピーカー 坂井真紀子・東京外国語大学准教授

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 同人1000円/購読会員2000円

◆第172回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「どうなる トランプのアメリカ中国」

 2月18日(土) 午後4時より

 ゲストスピーカー 朱建榮・東洋学園大学教授

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 同人1000円/購読会員2000円

◆戸田代表を囲む会in京都

 「立憲民主主義をよりよく機能させるために~憲法を論じる共通の土台をどう作るか」

 2月8日(水) 午後6時30分より

 コープイン京都

 講演とディスカッション 曽我部真裕・京都大学教授、福山哲郎・参院議員

             泉健太・衆院議員(予定)、隠塚功・京都市会議員

 1000円

 


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         号外(17.1.13)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index 

囲む会のご案内  「凡庸の善で考え続けるために」

==================================

東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 同人1000円/購読会員2000円

◆第170回 

「集団的自衛権を考える」(仮)

 1月19日(木) 午後7時から

 ゲストスピーカー 篠田英朗・東京外国語大学教授

◆第171回
「TICAD Ⅳと日本のアフリカ政策」

2月13日(月) 午後6時45分から
ゲストスピーカー 坂井真紀子・東京外国語大学准教授

◆第172回
「どうなる トランプのアメリカと中国」

2月18日(土) 1600から
ゲストスピーカー 朱建榮・東洋学園大学教授

 
==================================

◆戸田代表を囲む会in京都

 「立憲民主主義をよりよく機能させるために~憲法を論じる共通の土台をどう作るか」

 2月8日(水) 午後6時30分より

 コープイン京都

 講演とディスカッション 曽我部真裕・京都大学教授、福山哲郎・参院議員

             泉健太・衆院議員、隠塚功・京都市会議員

 参加費 1000円


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         №219(16.12.28)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index 

□民主主義のイノベーション、21世紀の課題先進国への挑戦。

「未来への責任」を地域に根ざして語り、ともに深める一年に。

 ●国境を超える民主主義のイノベーション 21世紀の課題先進国への挑戦

 ●「未来への責任」を担ううえで、私たちが向き合うべき問いとは

□「囲む会」のご案内 

==================================

民主主義のイノベーション、21世紀の課題先進国への挑戦。

「未来への責任」を地域に根ざして語り、ともに深める一年に。

==================================

【国境を超える民主主義のイノベーション 21世紀の課題先進国への挑戦】

 2016年は、第二次世界大戦以降で、もっとも民主主義の限界と欠点が明白になった年といえるだろう。民主主義は人権の尊重や社会的連帯のためのツールである一方で、憎悪と対立を増幅するツールともなりうるのだ。ファシズムと世界大戦をめぐる二十世紀の歴史的な教訓を踏まえ、二十一世紀の民主主義のイノベーションへの一歩を拓けるか。2017年はそれが問われる。

 二十世紀後半に民主主義が支持され、定着したのは、その理念の正当性によってというよりも、それが豊かな中間層を形成することができたからにほかならない。資本主義と民主主義は車の両輪となって、世界規模での「戦後民主主義」を支えてきた。しかしグローバル化の進展と新自由主義の台頭は、資本主義と民主主義の新たな矛盾を顕在化させている。

 「国家はグローバリズムを統御する主体としてではなく、これに棹差すようになったことで、課税権と金融市場のコントロールを自ら手放してしまった。その結果、自らの選択によって民主的な政府・統治が可能だとする政治的信頼も損なわれていくような、『二重のコントロール・ギャップ』(クラウス・オッフェ)によって民主主義の空洞化が進んでいる。中間層によって民主主義が支えられてきたのであれば、中間層の没落はそのままデモクラシーの後退を意味するだろう」(吉田徹「『グローバリズムの敗者』はなぜ生まれ続けるのか」 世界1月号)

 

 三月にはオランダで総選挙が、フランスでは四月から五月に大統領選挙、六月には国民議会選挙が、ドイツでは九月に連邦議会選挙が予定されている。2016年、EU離脱のイギリス国民投票、アメリカ大統領選挙に現れた「やせ細る中間層」の怒りや憤りが、さらに増幅されるのか。あるいは野放図なグローバル化をマネージすることと、国内の再分配政策を再構築することを組み合わせる包括的な構想を可能にする、政治の可能性―民主主義のイノベーションへの糸口を手にしうるのか。

 これは先進国だけの課題ではない。グローバル化のマネージや国内の再分配は中進国も含めた課題だ。ギリシャ債務危機、アジア通貨危機など、グローバル化の猛威により晒されるのは中小国であり、またロシア、中国といえども、そこから自由ではありえない。さらにグローバル化を放置したまま「99%対1%」といわれるような格差が野放しにされれば、国内秩序さえ脅かされることになるのは、先進国のみならず中国も本質は同じだろう。

 再分配も同様だ。グローバル化とともに少子高齢化、低成長、脱工業化といった変化に対応した再分配政策の再構築は、先進諸国のみならず中所得国にとっても「明日はわが身」であり、中国とて「他人事」ではいられない。資本主義と民主主義の再契約をなしうるかは、二十一世紀の課題先進国にむけた普遍的な挑戦だ。

 これは一国だけでなしうるものではない。国境を超えた民主主義のイノベーションの波、その相互連鎖を作り出せるか。私たちの民主主義も、その一翼を担えるかが問われている。

 「やせ細る中間層」の怒りや憤りの噴出は、新たな「政治の季節」の到来でもある。「特権的な5%、リスク意識を高め不安定な75%、社会的に排除された20%」(「分断された社会は乗り越えられるのか」今井貴子 世界9月号)という分断社会のなかで問われているのは、移民や外国人などに仮託しない形で生活や社会への不安を表出し、異なる他者と議論(闘議)できる場、関係性を作り出せるかだろう。生活の利害や社会への不安が否応なく政治化し、鋭く対立するように見えるときにこそ、政治が問われる。

 「……人間生活の政治化ということだと思います。『政治化』とは、イデオロギーということではなく、地域に根差した人たちがどうやったら生きていけるか、それを調整し組み立てるということです。~そうした本来のポリティクスないしは政治的経済によって、グローバル化に対抗する。アメリカで今回それを担ったのがサンダースの支持者たちでした。~(『アメリカ第一』のトランプのポリティクスに対し、『この地域の我われ住民』という/引用者)サンダースの訴求力がトランプのそれより少し弱かったとすれば、それは、結局『敵』をつくりだして自らの立ち位置を固める、そうした言説で支持者をまとめるほうが勝ちを占めたということでしょう」(西谷修「アメリカのない世界」 世界1月号)

 「敵」をつくりだす政治化か、「この地域の我われ住民」という政治化か。イギリスの国民投票でEU離脱派の合言葉は「コントロールを取り戻せ」だったが、グローバル化に対抗するナショナリズム―政治化にも二つの異なる方向性がある。

 「……『スコットランド独立投票は、ナショナリズムには民族的ナショナリズムと市民的ナショナリズムの二種類があるということをイングランドに示した』と言った。英国のナショナリストたちが『よそ者は出ていけ』と排外しているときに、スコッランドでは国の命運を決める投票権を在住外国人に渡していた。~中略~二〇一四年の英国とスコットランドはまったく違う形でアンチ・グローバリズムを表出させた」(ブレイディみかこ「ヨーロッパ・コーリング」岩波書店)

 「やせ細る中間層」の怒りや憤りの噴出を、どのように政治化していくのか。「トランプは問題解決にはほど遠いですが、彼のおかげで、問題を否定し続けることはできなくなりました。人々が利害を軸に集団をつくり、そのために進んで戦うという、生々しい意味での政治制度の復権。そこに私はまだ、希望を持っています」(シュトレーク 朝日11/22)。民主主義のイノベーションへの挑戦だ。

【「未来への責任」を担ううえで、私たちが向き合うべき問いとは】

  

 世界が第二次大戦以来の試練を迎えるであろうなかで、日本に生きるわれわれはどのように「未来への責任」を担っていくことができるだろうか。

 

 トランプのアメリカは、アメリカ主導の秩序に寄りかかっていさえすればよい、という「自明性に埋没した思考停止の蔓延に気付きを与える」(宮台真司 朝日11/25)だろう。「今の日本が混乱するのは当然です。絶望的な状況の自覚から始めるのです」(同前)。今回はこれができるか。

 中国大陸での場当たり的な戦線拡大から日米開戦に至る「あの戦争」の過程では、「絶望的な状況の自覚」すらできなかった。「自明性に埋没した思考停止の蔓延」からは、当事者性は生まれない。当事者性が欠落した無責任連鎖のなかでは「気付き」さえも生じない。ここを今回は越えられるか。

 「日本では開戦を軍部の独走と考える人が多いでしょう。~実際は、要所要所で戦争回避とは異なる選択を続け、自ら後戻りを難しくしたのです。政府や軍部にも開戦反対をほのめかす人はいました。しかし、身を挺し戦争に歯止めをかけようとする指導者はいませんでした。~開戦は多くの公式、非公式の会議を経て下されました。にもかかわらず、指導者層にことごとく当事者意識が欠けていました。東京電力福島第一原発の事故も新国立競技場の建設も、事後処理や決定過程が75年前と酷似しています。(責任の所在が不明/引用者)~開戦の決断を取り囲む状況を『空気』『雰囲気』でよりよく説明することはできます。しかし判断ミスや勇気の欠如は、自然発生しません。責任はあくまでも人間にあるのです」(堀田江理 朝日12/7)

 しかり。問題は「空気」ではない。責任はあくまでも人間にある。そしてフォロワーがフォロワーとしての責任を互いに問いあう型を持たなければ、リーダーの責任を問う作法は作れない(一億総懺悔→総無責任)。

 「国民の多くは対英米強硬論に与しつつ、同時に『戦争はぎりぎりのところで回避されるのでは』との希望的観測をも抱いていたのではないでしょうか。そのような意味で12月8日は『国民が国家の行く末に十全に関われなかった』ことを噛み締める日だと思います。

 『軍部の失敗』という総括は、現在、戦前期の軍部と同様の組織がない以上、実のところ痛くもかゆくもない総括です。そうではなく、社会に溢れているみせかけの選択肢を『本当の選択肢は何だったか』と置き換えて考える癖、言い換えれば『歴史に立ち会う際の作法』というもの、これが(日米開戦に至る/引用者)3つの失敗の事例から学べるものだと思います」(加藤陽子 日経ビジネスオンライン12/7)

 加藤氏は「本当の選択肢とは」と問うような態度の例として、次のように述べている。「(TPPについて)政府が私たちに示す選択肢が、『世界のGDP4割、人口8億の沃野に打ってでるか、それとも国内に引きこもるか』だとしても、その見せかけの選択肢の文句に惑わされることなく~中略~(日米両国が批准しなければ発効しないという)事実を前提として、なぜ日本政府が国会承認を急ぐのか、それを問うような態度を是非とも歴史から身につけたいと思います。『日米両国の批准がなければ発効しない協定が、アメリカの不参加にもかかわらず、承認を急がされるのは何故なのか』という形に、問いの形を変えていけばよいのです」(同前 12/8)。

 思考停止に陥らない問いの発し方。それは個々人の自覚だけでできるものではなく、人々の関係性のなかでこそ可能になる。イギリスの国民投票がウソが横行する「デマクラシー」と言われ、アメリカ大統領選挙が「ポスト真実の政治」と言われたように、怒りや憤りが政治的に噴出されるなかでは、「事実」や「真実」はどうでもよいものとされがちだ。ファクトチェックは大切だが、感情を事実や論理、合理的判断だけで納得させることは難しい。

 問題は、「敵」に仮託して感情を表出するのか、「顔の見える」関係性のなかで感情を表出できるのか、ではないか。遠くの誰かを全否定したり罵倒したりするのは簡単だが、目の前で話を聞いてくれる知り合いは、そう簡単に罵倒できるものではない。忖度でも同調圧力でもなく、単なる多数決でもなく、利害の対立、意見の相違を、まずは「そういうものだ」と認め合うところから互いに議論できる―そういう関係性のなかでこそ、事実は説得力を持つだろう。思考停止に陥らない問いの発し方は、そのなかで可能になるはずだ。

 「未来への責任」を担ううえで、私たちが向き合うべき問いは何か。

 「理念なきアメリカ、自分のことしか考えないアメリカという像は人をうろたえさせるかもしれませんが、その発想を持たなければ、世界はもはや未来をイメージできない。『日本の対米自立』と意気込む人もいるのでしょうが、右であれ左であれ、アメリカ的秩序に寄りかからずに自分の国はどうしていくのか、本格的に考えなければいけない時がきているということです」(西谷 前掲)。

 「『国体』とは、国の生き方そのものである。当座しのぎの外交的なパッチワークではなく、思想や原理が問われる。次の『国体』を構想するうえで鍵となるのは、普遍的価値との距離感だ。むきだしの権力政治がいっそう前景にせりだすなか(自分のことしか考えないアメリカ/引用者)、右でも左でもない日本国が、いま一度人権や平和といった規範に則って国の針路を見定めることができるのかどうか、正念場を迎えている」(遠藤乾 朝日11/24)

 「あの戦争」に負けた日本は、人類の多年にわたる努力の成果としての普遍的な理念に則って、国を復興しようと決意した。1948年から53年にかけて中学・高校の教科書として使われた「民主主義」(文部省)は、こう述べている。

 「民主主義を単なる政治のやり方だと思うのは、まちがいである。~略~すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である」(西田亮介・編 幻冬舎新書)。

(「日本再生」452号 1/1 より)

==================================

囲む会のご案内  「凡庸の善で考え続けるために」

==================================

◆第169回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「環境・平和・自治・人権~反公害運動からの社会運動の歴史と《今》そして《これから》」

 1月5日(木) 午後6時45分より

 ゲストスピーカー 寺西俊一・日本環境会議理事長 一橋大学名誉教授

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 同人1000円/購読会員2000円

*社会運動が途絶えたといわれるなか、日本環境会議は三十五年以上にわたって公害、環境問題を軸に活動してきました。その歴史的な歩みと集積、そのなかで闘いとられた「環境・平和・自治・人権」という視点、またこれからの課題などについて、同理事長の寺西先生にお話しいただきます。

◆第170回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「集団的自衛権を考える」(仮)

 1月19日(木) 午後7時より

 ゲストスピーカー 篠田英朗・東京外国語大学教授

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 同人1000円/購読会員2000円

◆戸田代表を囲む会in京都

 「立憲民主主義をよりよく機能させるために~憲法を論じる共通の土台をどう作るか」

 2月8日(水) 午後6時30分より

 コープイン京都

 講演とディスカッション 曽我部真裕・京都大学教授、福山哲郎・参院議員

             泉健太・衆院議員、隠塚功・京都市会議員

 1000円

==================================

2017年もよろしくお願いいたします。

==================================


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         №218(16.11.28)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index 

□国境を超える民主主義のイノベーション 

 暮らしの現場、自治の現場からこそ見えてくる普遍的課題

 ●「グローバル化・国家主権・民主主義」のトリレンマと、民主主義のイノベーション

  衰退途上国か、課題先進国か

 ●諦めるなどという贅沢はありません、いいですか?

□「囲む会」「望年会」のご案内 

==================================

国境を超える民主主義のイノベーション 

暮らしの現場、自治の現場からこそ見えてくる普遍的課題

==================================

【「グローバル化・国家主権・民主主義」のトリレンマと、民主主義のイノベーション

 衰退途上国か、課題先進国か】

 自由と民主主義の国アメリカで、差別発言を繰り返してきたトランプ氏が次期大統領に選出された。自由・民主主義は、人権の尊重や社会的連帯のためのツールである一方で、憎悪と対立を増幅するツールともなりうるのだ。ナチズムの歴史的教訓をふまえて、私たちは21世紀における民主主義のイノベーションという課題に直面している。

 いち早く面談に駆けつけたわが総理は、トランプ氏を「信頼できる」と言った。ドイツのメルケル首相は「人権と尊厳は出身地、肌の色、性別、性的嗜好、政治思想を問うことなく守られるべきだ」と警告している。

 新TPP(TRUMP PUTIN LE PEN=仏国民戦線党首)という造語に見られるような状況は、二度の世界大戦の犠牲のうえに曲がりなりにも共有されてきた普遍的な価値と、それに基づいて築かれてきた内外の秩序が大きな挑戦にさらされているといえる。来年はフランス、ドイツで大統領選挙、国会議員選挙が控えている。イギリスのEU離脱、トランプの「アメリカ・ファースト」がEUの中軸にも飛び火すれば、それこそ「魚は頭(先進国)から腐る」ことになる。

いまや先進国リスクの時代だ。「ダニ・ロドリック米ハーバード大教授は主著『グローバリゼーション・パラドクス』で、『グローバル化―国家主権―民主主義』はトリレンマ状態にあると論じた。

国家主権と民主主義の連結により、グローバル市場に背を向けることはできる。また国家主権がグローバル化と結びつき、民主主義を犠牲にすることも可能だ。あるいは国家主権を犠牲にして、グローバル化と民主主義を選び、グローバルガバナンス(統治)と世界民主主義の組み合わせを構想することもできる。けれども、3つを同時に成立させることはできないという。

これは現代の先進国リスクを暗示しており、ほぼ例外なく民主主義的である先進国の悩みを言い当てている。つまり中国のような一党独裁国やシンガポールのような権威主義国は、主権とグローバル化の組み合わせで前進できるのに対し、先進国は自国の民主主義に敏感にならざるを得ない分、グローバル化が一層深化すると、トリレンマに陥る。

規制緩和と自由化を軸とする単純なグローバル化主義者は、統治権力=国家主権と結び、この民主主義的側面、ならびにそれを行使する中間層以下の人びとを、えてして『非合理』と軽視してきた。EUもまた、複数の統治権力=国家主権を束ねるところまではよかったが、民衆と民主主義を軽んじた。今起きているのは、やせ細る中間層以下からのしっぺ返しである」(遠藤乾 日経7/28「経済教室」)

「やせ細る中間層以下からのしっぺ返し」を回収するのは、憎悪に満ちた排外主義だけではない。仏国民戦線のルペン党首は、「歯止めのないグローバル化、破壊的な超自由主義、民族国家と国境の消滅を拒む世界的な動きがみられる」という洗練された主張を展開する。国家主権(民族国家、国境)と民主主義で「○○ファースト」「○○を取り戻す」ということだ。

 だがグローバル化に背を向け、主権国家にたてこもって「○○ファースト」で生き残れるのか。それは、さらなる衰退途上国への道ではないのか。国境に壁を築いても勤労層の雇用や所得が増えなかったとき、その怨嗟はどこに向かうのか。そしてたとえグローバル化に背を向けたとしても、一日に五〇〇兆円といわれる国際資本取引をはじめとする影響からは、大国といえども逃れることはできない。

 問題はこう立てられるべきだろう。グローバル化をマネージすることと、国内の再分配政策を再構築することを組み合わせる包括的な構想を、いかにして可能にするかと。

 「トリレンマの解消に魔法の杖はない。現在必要とされることを端的に言えば、グローバル化により置き去りにされた先進国の中流以下の階層に対して実質的な価値を付与し、支援インフラを構築する国内的改良と、放縦のままであるグローバル化をマネージする国際的組織化とを組み合わせることだろう」(遠藤乾「欧州複合危機」中公新書)。

 ここにあるのは直面する課題の普遍性だ。現在トリレンマに苦しんでいるのは先進国だが、グローバル化のマネージや国内の再分配は中進国も含めた課題だ。ギリシャ債務危機、アジア通貨危機など、グローバル化の猛威により晒されるのは中小国であり、またロシア、中国といえども、そこから自由ではありえない。さらにグローバル化を放置したまま「99%対1%」といわれるような格差が野放しにされれば、国内秩序さえ脅かされることになるのは、先進国のみならず中国も本質は同じだろう。

 再分配も同様だ。グローバル化とともに少子高齢化、低成長、脱工業化といった変化に対応した再分配政策の再構築は、先進諸国のみならず中所得国にとっても「明日はわが身」であり、中国とて「他人事」ではいられない。「第一次世界大戦前のグローバル化時代にこそ現代の社会保障制度の起源があるという点は強調しておくべきだ」(「21世紀の不平等」アンソニー・B・アトキンソン 東洋経済新報社)。グローバル化は、こうした国境を超えた課題の普遍性をもたらすといえる。

 さらに温暖化対策のような人類の持続可能性と同時に、エネルギー革命のような要素も含めた普遍的課題も視野に入れるべきだろう。

 こうした普遍的課題を前にして、主権国家に立てこもって「○○ファースト」といっていれば、分断と不信の連鎖のなかで衰退途上国の道を転がり落ちることになる。課題の普遍性に向き合うなかから、課題先進国の道をいかに切り開いていくか。「特権的な5%、リスク意識を高め不安定な75%、社会的に排除された20%」(「分断された社会は乗り越えられるのか」今井貴子 世界9月号)と言われるような社会の分断状況のなかでは、自由や民主主義を人権の尊重や社会的連帯のツールとしてどこまで集積してきたのか、というフォロワーの力が決定的に試される。

 日本における私たちの民主主義(のイノベーション)も、こうした課題を共有している。 

【諦めるなどという贅沢はありません、いいですか?】

 課題先進国への道を可能にする人々の関係性―社会関係資本は、民主主義を人権の尊重や社会的連帯のためのツールとして集積することと一体で形成される。そこにつながる問いの立て方、問題設定とはどのようなものか。反対に、憎悪と対立を増幅するツールとなりうる問いの立て方、問題設定とはどのようなものか。

 立憲主義とは、民主主義が感情に駆られた「多数の暴走」に転じる可能性に対する歴史的な知恵の集積といえるだろう。

 「普通に生きる人々の心の縫い目に沿って物事を考え、そこに見え隠れする切実さから乖離することなく、種々の決め事をするのが民主政治であるとするならば、指導者の人格は、人々の気持ちを救うためのある種の触媒となって、政策的合理だけでは表現できない、その時代を生きる者たちの欲望を引き出すだろう。星の数ほどの悪評をものともせずトランプに6000万人が投票した理由がここにある。

 しかし、人々の感情を動員して最高権力者の地位に就いても、アメリカの政治制度には『大統領が権力を行使しにくいようにするための手枷足枷』が芸術的と呼ぶべき統治制度(多重的なチェック・アンド・バランス/引用者)として待ち構えている。人々の感情の烈風を受けた政治家の人格に、政治が過度に左右されないための建国者たちの工夫である」(岡田憲治 日経ビジネスオンライン11/15)

 多様なプレイヤーに権限を分散させることによって、基本的に過激なことはできない統治システム。ただそれが維持されるために、どうしても失われてはならないものがある。

 「民主政治は人々の気持ちを集約させてリーダーを決める。しかし、そのシステムを死守するためには『いくら民主政治でも絶対にやってはいけないこと』を決めておかなければならない。それは『人間を差別して良いかどうかを投票によって決めること』と『誰に全ての権力を全面的に委ねるかという投票をしてはならないこと』である(人権規定と権力分立)。~中略~そして『これだけは、いくら仲が悪い民主党の馬鹿野郎とも唯一共有するルールだ』という矜持こそ、統治エリートたるものを支えていなければならない」(岡田 同前)

 この矜持を、フォロワーのなかでどこまで共有できるか。それができればできるほど、民主主義の質を高めるために必要な「質のよい悪口」が、生活圏においても可能になる。反対にこの矜持を共有できない度合いで忖度がはびこり、民主主義は人々の尊厳を否定する同調圧力に転じ、憎悪と不信を増幅させる。

 20世紀の工業化社会は太い大きな対立軸で成り立っており、それに沿って形成された政党を媒介に民主政治のモデルが形づくられた。しかし現代の脱工業化社会では、労働者といってもいくつもの集団に分断されている。それらをまとめるような大きな対立軸は存在せず、細かく小さな対立軸しか存在していない。ここから生じる政治的対立を、どのようにして民主主義の質を高める「質のよい悪口」にするか。そうした言論空間―公共空間を、日常的な暮らしや自治の現場でどう作るのか。どうすれば、それが憎悪と不信に転じてしまうのか。この試行錯誤と生きた教訓を手にしよう。その豊富さが民主主義の質を高める。

 来年はヨーロッパではフランス大統領選挙、国民議会選挙、ドイツ連邦議会選挙が予定されている。普遍的課題への挑戦、課題先進国への挑戦としてのEUの正念場であり、自由や民主主義を人権の尊重や社会的連帯のツールとしてどこまで集積してきたのか、というフォロワーの力が試される。

 トランプ現象はアジアにも飛び火するのか。韓国(来年末に大統領選挙)、台湾(今年政権交代)ではトランプに擬せられた人物の人気が高まっているという。その韓国では大統領退陣要求の百万単位のデモが行われているが、そこに渦巻いているのは主権者意識だという。

 「大統領をこの手で選ぶことができる権利をせっかく勝ちとったはずなのに、30年近く経っても、『仕事を任せる分、なぜしっかりとコントロールし、責任を負わせられなかったのか』という慙愧(ざんき)の念。そもそもそんな人物を選んでしまい、『委任と責任の連鎖』という代議制民主主義のメカニズムを利かせられなかったのは、究極的には自分たちのせいだという主権者意識。

 だからこそ、韓国国民はここまで怒っている。つまり、問題なのは、国政介入の真相以上に、『民主化以後の韓国民主主義』『1987年憲法体制』のあり方なのである」(浅羽祐樹・新潟大学教授 読売オンライン11/15)。

 あるいは、大陸と距離をとろうとする蔡英文政権を支持するという台湾のタクシー運転手は、「今度は反対の人の意見を聞いてくれ。民主主義には意見の対立は必要だよ」とさらっと言う。

 こうしたフォロワーの集積があるなかで、擬似トランプ人気のようなものがどれだけの力となるのか、あるいはこうしたフォロワーの動きが既存政党を動かすことができるのか。来年末のタイ総選挙も、タイにおける民主主義の新しいステージが問われるものとなるだろう。

 もうひとつ大事なことは、民主主義はやり直しが効くということだ。どんな政治決定も一度決めたら終わりというものではなく、後から変更可能な「暫定的」なものである、ということが基本原則だ。例えば、EU離脱を決めた国民投票という最高の意思決定も、実行に際しては国会の承認が必要とされるという(高裁判決。最高裁での審理はこれから)。難易度は高いが、その過程での「再考」も不可能ではない。

 「やり直しが効く」という原則はフォロワーの側の内発性、持続性によってこそ担保され、また生かされる。アメリカ大統領選挙の民主党予備選で善戦したサンダース上院議員は、「トランプかクリントンかのどちらかを選ばなくてはならないということに何らかの絶望を感じている支持者と共有したいことはありますか?」と問われて、こう答えている。

 「歴史を見て、今までもこれからも、変化は決して短時間にやってこないのだということを理解してほしいと思います。公民権運動、女性運動、組合運動、ゲイ運動、環境運動などの闘争を見てみると、これらの全ての運動は何年も、何年もかかっており、そして現在でもまだその状態が続いているのだということを理解してほしい。~中略~

 そして、真剣に政治を考えるなら車輪に肩を当てて懸命に車を押し、力を尽くし続ける必要があります。ときには目の前の選択が素晴らしいものでなくても、自分の最善の努力をする。そして選挙の後もその努力を続けるのです。~中略~

 世の中はそうやって動いています。諦めるなどという贅沢はありません、いいですか?」(「世界」12月号)

 国境を超える民主主義のイノベーション、その課題の普遍性は、立憲民主主義の主体性を涵養する自治の現場からこそ見えてくる。「普通に生きる人々の心の縫い目に沿って物事を考え、そこに見え隠れする切実さから乖離することなく、種々の決め事をするのが民主政治である」(前出 岡田)なら、その一番の現場こそ暮らしの現場、自治の現場であり、そこでの人々の「政治的有用感」を繰り返し高めることで、憎悪と不信の連鎖を未然に断ち、当事者性を涵養することこそ、民主主義のイノベーションの根源にほかならないのだから。

(11/13総会での提起、議論の要点も含む。)

(「日本再生」451号 12/1 より)

==================================

囲む会のご案内  「凡庸の善で考え続けるために」

==================================

◆第167回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「パリ協定とCOP22」(仮)

 ゲストスピーカー 明日香壽川・東北大学教授

 11月30日(水)午後6時45分より 【日程が変更されました】

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 同人会員1000円/購読会員2000円

 *温暖化防止の新たな国際条約、パリ協定が発効した。批准に出遅れた日本は今年のCOPに

締約国として参加できず。

国連の核兵器禁止条約にも反対。こちらも条約が発効すれば「唯一の被爆国」とは何なのか

が厳しく問われることになる。日本の国際的な立場はどうなっているのかを考えるために。

◆第168回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「民進党がめざすもの」(仮)

 ゲストスピーカー 大島敦・衆議院議員

 12月6日(火)午後6時30分より

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 同人会員1000円/購読会員2000円

 *民進党代表選挙で前原氏の選対事務局長を務めた大島議員に、「民進党のこれから」について

  お話しいただく。

◆第169回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「環境・平和・自治・人権~反公害運動からの社会運動の歴史と《今》そして《これから》」

 2017年1月5日(木) 午後6時45分より

 ゲストスピーカー 寺西俊一・日本環境会議理事長 一橋大学名誉教授

 *社会運動が途絶えたといわれるなか、日本環境会議は三十五年以上にわたって

  公害、環境問題を軸に活動してきました。その歴史的な歩みと集積、そのなかで闘いとられた

  「環境・平和・自治・人権」という視点、またこれからの課題などについて、

  同理事長の寺西先生にお話しいただきます。

==================================

◆2016年望年会・東京

 12月23日(金・祝) 午後4時から

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 1500円

◆関西政経セミナー特別講演&望年会

 12月7日(水) コープイン京都

 ・特別講演会 午後6時より

 「地球環境×エネルギー×民主主義~私たちはどこまで来て、どこへ向かおうとしているか」

 諸富徹・京都大学教授

 会費 1000円

 ・望年会 午後7時より 

 会費 3500円


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         号外(16.11.24)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index 

□12/1 囲む会 日程変更

==================================

12月1日に予定していた「囲む会」は、ゲストスピーカーの都合で

11月30日に変更します。時間、場所は同じです。

◆第167回 東京・戸田代表を囲む会

 「パリ協定とCOP22」(仮)

 ゲストスピーカー 明日香壽川・東北大学教授

 11月30日(木)午後6時45分より

 「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)

 参加費 同人会員1000円  購読会員2000円


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         号外(16.11.11)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index 

□「囲む会」「望年会」「総会」のご案内 

 ~「凡庸の善」で考え続けるために

==================================

◆第八回大会 第三回総会

「『時間かせぎ』の政治に対抗しうる『未来への責任』をどう語るか

 ~立憲民主主義と主権者運動の役割」(仮)

 11月13日(日)午前10時より午後6時

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

*昨年来の立憲民主主義のうねりを、内発的持続性として集積し、主権者運動の

新しいステージと役割へ、どのようにつないでいくか。

Brexitやトランプ現象などの世界的な「民主主義」、安倍政権の下での憲法論議、

All for Allなど、「次の課題」にどう向き合うか。

==================================

【会員限定】東京・戸田代表を囲む会

「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 同人会員1000円/購読会員2000円

◆第167回 東京・戸田代表を囲む会

 「パリ協定とCOP22」(仮)

 ゲストスピーカー 明日香壽川・東北大学教授

 12月1日(木)午後6時45分より

 *温暖化防止の新たな国際条約、パリ協定が発効した。批准に出遅れた日本は今年のCOPに

締約国として参加できず。すでに批准を終えた米中印の後塵を拝するというありさま。

国連の核兵器禁止条約にも反対。こちらも条約が発効すれば「唯一の被爆国」とは何なのか

が厳しく問われることになる。日本の国際的な立場はどうなっているのかを考えるために。

◆第168回 東京・戸田代表を囲む会

 「民進党がめざすもの」(仮)

 ゲストスピーカー 大島敦・衆議院議員

 12月6日(火)午後6時30分より(いつもより15分早くなっています)

 *民進党代表選挙で前原氏の選対事務局長を務めた大島議員に、「民進党のこれから」について

  お話しいただくとともに、民主主義における野党の役割、機能について考えたいと思います。

◆第169回 東京・戸田代表を囲む会

 「環境・平和・自治・人権~反公害運動からの社会運動の歴史と《今》そして《これから》」

 2017年1月5日(木) 午後6時45分より

 ゲストスピーカー 寺西俊一・日本環境会議理事長 一橋大学名誉教授

 *社会運動が途絶えたといわれるなか、日本環境会議は三十五年以上にわたって

  公害、環境問題を軸に活動してきました。その歴史的な歩みと集積、そのなかで闘いとられた

  「環境・平和・自治・人権」という視点、またこれからの課題などについて、

  同理事長の寺西先生にお話しいただきます。

==================================

◆2016年望年会・東京

 「『時間かせぎ』の政治に対抗しうる『未来への責任』を語り合おう」

 12月23日(金・祝) 午後4時から

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 1500円

◆関西政経セミナー特別講演&望年会

 12月7日(水) コープイン京都

 ・特別講演会 午後6時より

 「地球環境×エネルギー×民主主義~私たちはどこまで来て、どこへ向かおうとしているか」

 諸富徹・京都大学教授

 会費 1000円

 ・望年会 午後7時より 

 会費 3500円


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         №217(16.10.29)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index 

□民主主義は単なる政治のやり方ではない。

 すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、

 それが民主主義の根本精神である。

 ●衰退途上国か、課題先進国か

 ●「自分の人生や生活に影響を及ぼす問題について、誰にでも発言する権利が平等にある」

  を当たり前に

□「囲む会」のご案内 

==================================

民主主義は単なる政治のやり方ではない。

すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、

それが民主主義の根本精神である。

==================================

【衰退途上国か、課題先進国か】

 10月26日に公表された2015年国勢調査の確定値は、われわれの社会がどうなっているかを否応なく示している。人口減少は前提として、75歳以上の人口が初めて14歳以下の子ども(1588万人)を上回り、外国人労働者は前回(2010年)より10万人増の175万人と過去最高を更新。

 85年から30年間で75歳以上の人口は3・4倍に増加、14歳以下は4割減と少子高齢化に歯止めがかかっていない。14歳以下は人口の12・6%、世界最低の水準まで低下している。

 ひとり暮らしの増加で、世帯数は5344万と過去最高を更新。単独世帯は34・6%を占め、男性では25~29歳、女性では80~84歳が最も多い。65歳以上の6人に1人がひとり暮らしだ。

 少子化や単独世帯の増加に端的に現れているのは、生活保障や福祉を「家族」と「企業」に委ねてきた社会が、もはや成り立たなくなっている現実だ。それはまた、こうした社会の変容に対応してこなかった「失われた20年」の帰結でもある。

 「失われた20年」がもたらす「衰退」の本質は、GDPの多寡よりもむしろ社会の変質(ぶ厚い中間層→格差社会)にある。その様相を、小熊英二氏はこう描く。

 「平均所得が減り、教育費が高騰するなかで、教育においても格差の再生産(≒世襲化)が目立つようになった。

 75年に比べて、国立大授業料は約15倍、私大授業料は約5倍となった。渡辺寛人によると、子供1人を大学まで通わせた場合の教育費の家計負担は、すべて公立でも総額1千万円以上、すべて私立だと2千万円以上となる(渡辺寛人「教育費負担の困難とファイナンシャルプランナー」 POSSE32号)。

 一方で子育て世帯の平均年収は、97年から12年に94万円減った。後藤道夫によれば、年収400万円で公立小中学生の子供2人がいる4人世帯では、年収から税金・保険料・教育費を除いた生活費が、生活保護基準を下回る。大都市の世帯で子供2人が大学に進学すると、年収600万円でも下回ってしまう(後藤道夫「『下流化』の諸相と社会保障制度のスキマ」 POSSE30号)。

 そのため少子化や「子供の貧困」が広がる一方、約半数の大学生が奨学金を借りている。その多くは返済が必要な貸与型で、学部卒の平均貸与金額は295万円だ。これだけの金額が、卒業時に借金としてのしかかる。在学中から就職活動やアルバイトで必死な者も多い。

 ~中略~教育の負担だけでも、年収600万円以下の世帯はぎりぎりだ。さらに家族が病気になったり、介護が生じたりすれば、家計が破綻(はたん)しかねない。00年から14年に、生活が「大変苦しい」と回答する世帯は21%から30%に増え、「やや苦しい」とあわせて64%となった(渡辺寛人 前出)。

 ではどうするか。経済成長は一つの回答ではある。だが経済が成長しても、年功賃金が復活することはない。教育や介護の負担が増える時期に、年功賃金が増えるのが過去の前提だったのだ。となれば、公的援助の充実は不可欠である。

     *

 しかし政府の方針は、それとは逆行さえしている。坂口一樹によると、この15年間の医療政策は、医療需要から介護需要へ、介護施設から在宅介護へ、負担を移転させるものだったという(坂口一樹「“自助”へと誘導されてきた医療・介護」 世界4月号)。つまり政府や事業主の医療費負担を、家族の在宅介護に転嫁してきたのだ。その代償は、年間約10万人の介護離職だ。目先の財政負担削減のために、家族と社会に重圧を強いた政策ともいえる。

 恐ろしいのは、こうした政策の原因が意図的な悪意というより、ヴィジョンの不在であることだ。「社会保障と税の一体改革」に関わった駒村康平は、「年金、医療、介護、子育ての各制度『ごと』に議論が行われ、制度横断的な議論は行われなかった」と述べている(駒村康平「政府は『一体改革』というダイエットをやめ『副作用のある健康法』に飛びつくのか」 Journalism10月号)。

 これでは、医療費を削減すれば介護費が増え、介護費を削減すれば離職が増え、年金を削減すれば生活保護が増えるといった連関は論じられない。結果として、社会の再設計という総合的ヴィジョンは欠落し、個別の制度をどう延命するかという目先の議論が多くなる。こうして無自覚のうちに、家族と社会に負担を転嫁する政策が実現してしまう。それは結果として、格差の再生産や世襲化、介護離職や税収低下を招いている」(小熊英二「論壇時評」朝日10/27)。

 少子化や、グローバル化の下での「やせ細る中間層」→格差社会といった課題は先進各国に共通したものだ。問題はそれと向き合って「課題先進国」への道を開こうとするのか、それとも目先の「時間かせぎ」に明け暮れて「衰退途上国」への道を、このまま進んでいくのか。2015年国勢調査の確定値は改めて、私たちがその岐路に立っていることを示している。

【「自分の人生や生活に影響を及ぼす問題について、誰にでも発言する権利が平等にある」を当たり前に】

 衰退途上国と課題先進国、その分岐はなにか。社会を再設計するビジョンや理念は確かに必要だろう。「家族」と「企業」によって支えられることを基本に、そこから「こぼれ落ちた」人を救済するという、旧来の制度設計と政策思想―選別主義―に代わる、普遍主義の政策思想は構築されつつある(本号「囲む会」小川衆院議員、449号藤田氏インタビューを参照)。

「これからの時代は、社会に助けられるべき人と助けるべき人がいるんじゃなくて、みんなが一定の生活保障―最低限の尊厳ある生活保障―を求めているという前提に立ちます。したがって最低限の尊厳ある暮らしを成り立たせる教育、保育、子育て、そして医療、介護、年金については、全ての人々に対して、現物を中心に普遍的な給付を行っていく。そのための負担については、全ての国民が合意形成のもとに負担を拠出していく。そういう社会像を目指すべきである。これが経済社会の変化をとらえた時の唯一の道筋である、という考え方を、これから訴え、浸透させていきたいと思います」(「囲む会」小川衆院議員)。

 「みんなで支えるみんなの社会」という普遍主義的な制度設計のキモは、負担についての国民的合意形成である。そのためには、税は「とられるもの」ではなく、自分たちで社会を作るためだ、という当事者性の回復または創出が不可欠となる。

 税の歴史は立憲主義の歴史とパラレルであり、財政民主主義の主体性は、民主主義や自治の当事者性、主権者性と密接にかかわる。言い換えれば、「税はとられるもの」という感覚は、民主主義や自治に対する消費者的態度と一体のものといえる。ここをどう越えるのか。昨年来語られてきた立憲主義という感性を、憲法や安全保障だけではなく、地べたでの暮らしや自治、身の回りのあんなこと、こんなことからも話し合い、考え続けていく持続的なうねりにする、ということでもある。

 民主主義は出来がいいとはいえない仕組みだが、それでも最悪を避けるためには、今のところ唯一の知恵である。すべてを変える〝魔法の杖〟ではないが(そんなものはない)、現実を少しでもましなものに近づける努力はできる。そんな民主主義を高めるために必要なのは「物申す」行動であり、低めるのは「忖度」だ。

 忖度がはびこれば、「国策に反対するなら国から出て行くべき」、「俺は国のやることに反対しない。だから国が俺の人権を守るのは当たり前だ。だが国に反対している奴らの人権を、なぜ国が守らなければならないんだ」ということが「当たり前」になってしまう。

 面倒を避け、忖度でやり過ごす。そうした消費者民主主義的態度は、今や習慣ともなっている。だからこそ、「自分の人生や生活に影響を及ぼす問題について、誰にでも発言する権利が平等にある」「民主主義のためには、質のよい悪口を言う人が必要だ」(「デモクラシーは仁義である」岡田憲治 角川新書)ということを、暮らしの現場、自治の現場でこそ「当たり前」のものにしていかなければならない。

 そんな民主主義のための立ち振る舞いは、例えばこういうことだろう。

 「通販生活」という買物雑誌がある。この夏号で表紙に「今回ばかりは野党に一票、考えていただけませんか」と掲載した。これに対する読者からの批判に、冬号でこう答えている。批判は大きく「買物カタログに政治を持ち込むな」「両論併記すべき」「左翼になったのか」という三点。

 一点目について、日々の暮らしは政治に直接、影響を受ける。お金儲けだけ考えて政治には口をつむぐ企業にはなりたくない。二点目について、両論併記はこれまでもやってきたが、安倍政権の決め方は両論併記以前の問題と考える。

 三点目。「戦争、まっぴら御免。原発、まっぴら御免。言論圧力、まっぴら御免。沖縄差別、まっぴら御免。通販生活の政治的主張は、ざっとこんなところですが、こんな『まっぴら御免』を左翼だとおっしゃるなら、左翼でけっこうです」。そして最後に「『良質の商品を買いたいだけなのに、政治信条の違いで買えなくなるのが残念』と今後の購読を中止された方には、心からおわびいたします。永年のお買い物、本当にありがとうございました」と。

 忖度と、意見の異なる相手を尊重することとは全く違う。忖度では「強いもの」や「巨大な流れ」を増幅し、同調圧力をさらに強めることになる。その行き着く先は、例えばこういうことだ。
 「~困窮者の生活相談ボランティアに参加した。まるで支払い能力(税金、家賃、食費、ショッピング)のない人間は尊厳を認められていないのかのように力なく折れてしまった困窮者たちを目の前にし、日本の人権とは、払えない人間には認められない特殊な概念ではないかと思った。

 日本の教育の人権課題が知りたくて、法務省の「人権教育・啓発に関する基本計画」の「第4章 人権教育・啓発の推進方策」を読んでみると、ジェンダーや人種差別、高齢者、障害者などのいわゆる「アイデンティティ」課題は組み込まれていても、「貧困」という大項目が抜け落ちていた」(ブレイディみかこ シノドス 2016.9.17)。

 「自分の人生や生活に影響を及ぼす問題について、誰にでも発言する権利が平等にある」という状態が奪われたところでは、「人権」は普遍的な尊厳ではなく、ある人には与えられ、ある人には与えられなくて当然というものになってしまう。ブラックバイトの現場では、ひどい扱いを受けても、自分に責任があると追い込まれた若者が、声を上げられずに泣き寝入りさせられる。過労死した新入社員に対して「残業100時間で過労死とは情けない」というバッシングが浴びせられる。消費者民主主義の忖度が生み出したのは、こういう社会ではないのか。私たちは、こんな社会を次世代に残すのか。

 1948年から53年に中学・高校の教科書として使われた「民主主義」(文部省)はこう述べている。「民主主義を単なる政治のやり方だと思うのは、まちがいである。~略~すべての人間を個人として尊厳な価値を持つものとして取り扱おうとする心、それが民主主義の根本精神である」(西田亮介・編 幻冬舎新書)。

「自分の人生や生活に影響を及ぼす問題について、誰にでも発言する権利が平等にある」ということが当たり前―そんな日常を暮らしの現場、自治の現場で作り出していこう。

(「日本再生」450号)

==================================

囲む会のご案内  「凡庸の善で考え続けるために」

==================================

◆第166回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「《2020年後》にむけて、小池都政とどう向き合うか」

 ゲストスピーカー 酒井大史・都議会議員、中村ひろし・都議会議員

 11月1日(火)午後6時45分より

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 同人会員1000円/購読会員2000円

◆第167回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「パリ協定とCOP22」(仮)

 ゲストスピーカー 明日香壽川・東北大学教授

 12月1日(木)午後6時45分より

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 同人会員1000円/購読会員2000円

 *温暖化防止の新たな国際条約、パリ協定が発効した。批准に出遅れた日本は今年のCOPに

締約国として参加できず。オブザーバーとして出られるかどうか…というありさま。

国連の核兵器禁止条約にも反対。こちらも条約が発効すれば「唯一の被爆国」とは何なのか

が厳しく問われることになる。日本の国際的な立場はどうなっているのかを考えるために。

◆第168回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「民進党がめざすもの」(仮)

 ゲストスピーカー 大島敦・衆議院議員

 12月6日(火)午後6時30分より

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 同人会員1000円/購読会員2000円

 *民進党代表選挙で前原氏の選対事務局長を務めた大島議員に、「民進党のこれから」について

  お話しいただく。

◆第八回大会 第三回総会

「『時間かせぎ』の政治に対抗しうる『未来への責任』をどう語るか

 ~立憲民主主義と主権者運動の役割」(仮)

 11月13日(日)午前10時より午後6時

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

==================================

◆2016年望年会・東京

 12月23日(金・祝) 午後4時から

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 1500円(予定)

◆関西政経セミナー特別講演&望年会

 12月7日(水) コープイン京都

 ・特別講演会 午後6時より

 「地球環境×エネルギー×民主主義~私たちはどこまで来て、どこへ向かおうとしているか」

 諸富徹・京都大学教授

 会費 1000円

 ・望年会 午後7時より 

 会費 3500円


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         №216(16.9.29)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index 

□ 暮らしのなか、自治の現場から、多様な政治的有用感を生み出し、

 「未来への責任」を分かち合う民主主義を育てていこう

  ~「時間かせぎ」の政治に向き合う主権者運動の役割とは

 ●あなたの民主主義はどんな民主主義ですか 

  反・非立憲空間を広げる「時間かせぎ」の政治に対抗するカウンターデモクラシー

 ●「未来への責任」を分かち合う生活者を主権者へ 

立憲民主主義の共有地・公共空間を暮らしのなかから

□「囲む会」のご案内 

==================================

 暮らしのなか、自治の現場から、多様な政治的有用感を生み出し、

 「未来への責任」を分かち合う民主主義を育てていこう

  ~「時間かせぎ」の政治に向き合う主権者運動の役割とは

==================================

【あなたの民主主義はどんな民主主義ですか 

 反・非立憲空間を広げる「時間かせぎ」の政治に対抗するカウンターデモクラシー】

 それは異様な光景だった。

 9月26日の衆院本会議。安倍総理は所信表明演説で、「現場では夜を徹し、今この瞬間も海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務に当たっている」、「今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」と呼びかけ、これに呼応して自民党議員がいっせいに立ち上がって拍手、安倍総理も壇上で拍手をした。

 民主党政権が誕生した際も、鳩山総理の演説で民主党議員が起立、拍手したとの指摘もあるが、安倍総理は、自衛隊など国家機関への「感謝」を要求して起立を促した。鳩山総理の場合は演説終了後、政治改革への賛同を訴えたことに賛同する意味で民主党議員が起立した。前者は北朝鮮型、後者はアメリカ型。この違いが分からないと、立憲主義も民主主義も分かっていないことになる。

 さらにいえば、海上保安庁、警察、自衛隊が対峙しているのは、中国の挑発行為だけではない。辺野古や高江では沖縄の民意に対峙して、「銃剣とブルドーザー」といわれた時代と変わらないような自治権圧殺の最前線に立っている(日本国政府の命令の下)。

 立憲主義とは国家の権力行使を法で制約し、規律化することである。究極の国家権力というべき自衛隊をはじめとする国家機関は、こうした規律・制約をもっとも厳しく課されるべき存在であることは、立憲民主主義においては当然のことだ。このような国家権力の規律化、制約こそ、立法府である議会が担うべき機能と役割にほかならない。

 9月26日の衆院本会議の異様な光景は、立法府・議会がこうした役割を放棄した姿といえる。そこでは国会の「外」の民意は「ないもの」とされ、投票箱に収まった民意(投票率55%)でさえ、その一部(沖縄の民意)は切り捨てられている。「この道しかない」といって選挙で勝てば何でもできる―選挙だけの民主主義、多数決主義だけの民主主義、立法府が行政権力に追従する姿。これは民主主義といえるのか。

 「時間かせぎ」の政治(448号一面参照)は、こうした反・非立憲主義の空間を拡大させる。これに対抗する立憲民主主義の空間を、どのように創出し拡大していくか。

 そこで必要なのは、「公共性とは、閉鎖性と同一性を求めない共同性、排除と同化に抗する連帯である」(448号「囲む会」参照)という視点だろう。「この道しかない」に対抗しうるのは、「この道はダメだ」という決め打ち、思考停止ではなく、〝凡庸の善〟で考え続けることであり、多様性の共存のなかで鍛えられる民主主義の胆力だ。

 「国家・国民が、個別的現象に対する情動的反応から徒に『力』や『支配』を求めて狂奔することなく、広い長期的な視野に立って地道に課題に取り組んでいく必要がある。その際求められるのは、多様な人間の共生を可能とする基礎的条件である『寛容』と『知恵の交換』である。われわれは、立憲主義を侮蔑し、『力』への信仰に走った国々(日本もそのひとつ/引用者)によってあの第二次世界大戦という未曾有の悲劇が引き起こされたことを決して忘れてはならない」(佐藤幸治「立憲主義について」放送大学叢書)。

 「中国の脅威」「抑止力」「アベノミクスの成果が出ないのは、アベノミクスが足りないから」等は、思考停止のマジックワードだ。「原発を動かさないと電気が足りない」というのも同じこと。こうした近視眼的な執着や、個別的現象に対する情動的反応から離れてみれば、まったく別の「新しい現実」や多元的な視点が見える。例えばこうだ。

 「普天間・辺野古問題には、二一世紀の日本にとって、『抑止力』の虚実や政治による外交の統制、中国を筆頭とするアジアとの向き合い方、中央と地方との関係、そして何よりも民主主義とはいかなるものであるべきかといった重要問題が凝縮されている。~中略~後世、『なぜあのような愚策を』と指弾されることが避けがたい辺野古での『現行案』に対するあまりに近視眼的な執着から離れ、『辺野古新基地なき普天間問題の解決』を実現できるか否か。それは日本が二一世紀中葉に向けて、前途を切り開くに足りるだけの『政治』を持つことができるか否か、その『試金石』なのである」(「普天間・辺野古 歪められた二〇年」宮城大蔵・渡辺豪 集英社新書)

あなたの民主主義は、どんな民主主義ですか。選挙さえすれば民主主義? 民主主義の決め方は多数決だけ? 「憲法改正は最後は国民投票で決めるんだから、国会での議論が煮詰まっていなくても三分の二で発議すればいいんだ」という民主主義?

「これまでは、民主主義というのは選挙に行くかどうかだけだったんです。四十年間、デモや社会運動、カウンターデモクラシーがほとんどありませんでしたから。そうなると『選挙に行って、俺らの気持ちを反映する政党があるのか』、こう返って来ますね。『永田町の政党なんか、私欲でやっているんだ』とか、『政権交代したってダメだったじゃないか』とか。こういうところから民主主義は投票だけではない、民主主義観にはいろいろある、そういうふうにフォロワーシップのほうが変わりつつあるわけです」(戸田代表 7-11面「囲む会in京都」)

【「未来への責任」を分かち合う生活者を主権者へ 

 立憲民主主義の共有地・公共空間を暮らしのなかから】

野党とは議会制民主主義と普通選挙権に並ぶ、民主主義の三大発明の一つ(吉田徹「『野党』論」ちくま新書)と言われる。「野党には期待しない」ということは、民主主義が機能しなくてもいい、選択肢を持たなくてもいい、ということを意味する(前出「囲む会in京都」)。野党あるいは反対党、あるいはカウンターデモクラシー、こうしたものなしに民主主義は機能しない。これは既存の野党を支持する、しないとは別の次元の話だ。このような民主主義の空間、場をつくり、共有地として手入れしていくことが主権者運動の役割だろう。

 そのために、どのようなコミュニケーションをしていけばいいのか。例えばこのように。

 「『野党に期待しない』というのは禁句だというと、『じゃ、どう聞けばいいのか』となりますね。そういう時は、『野党、反対党の機能と役割をどう理解していますか』と聞くわけです。

 反対党は与党、政権党に対して異議申し立てをすることが第一です。それが目先のチェックだけの異議申し立てか、それとも『三十年後の産業構造を考えたら、原発じゃなくて再エネでしょう』と、未来をどう変えるかというところからチェックする場合では、違ってきますね。だから『チェックしている』というなら、『目先のチェックだけじゃないですか、次の、未来の展望はどうなんですか』ということと、『争点を明確にできていますか』と。

 『補正予算でわれわれは子ども手当を二億増やす、安倍はそうでない』というだけの争点なら、子どもでもわかります。『私の争点の明確化は、必ず背景に立憲主義ということがある。その観点から、たとえば象徴天皇制はこう、緊急事態条項はこう、子ども手当はこう』と。そういう展開ができるかどうか。

三点目に、選挙の投票率が五割ということは、簡単にいえば『民意の残余』が五割程度残っているわけです。いわば投票箱の外の、既存の制度の恩恵を受けていない人たちの民意を、どのように吸い上げて政策化するのか、そこはどうですか? という会話になりますね。

『野党に期待しない』と言わない代わりに、今言ったような会話をしていくということです」(前出「囲む会in京都」)

「アベノミクスの成果が出ないのは、アベノミクスが足りないからだ」という「時間かせぎ」の政治に対して、「成果がでていない、国民の生活は苦しくなった」というだけでは、目先の異議申し立てにしかならない。政権党をチェックする野党の機能、役割は、近視眼的な執着や、個別的現象に対する情動的反応から離れた、まったく別の「新しい現実」や多元的な視点を提示すること―政策思想の軸の転換―だろう。

「次世代を意識してアベノミクスへの対立軸を打ち立てようとすれば、おのずと地道な結論にたどりつくはずだ。自民、公明、旧民主による『税と社会保障の一体改革』の3党合意は、少なくとも未来を見据えていた。民進党は原点に立ち返り、野心的なアベノミクスに対抗するのでなく、増税も視野に入れた財政再建と、家計に安心感をもたらす社会保障の充実を両立できる将来像を描いてほしい」(毎日7/28 「記者の目」)

 「特権的な5%、リスク意識を高め不安定な75%、社会的に排除された20%」(「分断された社会は乗り越えられるのか」今井貴子 世界9月号)という分断社会の到来を前に、「成長に依存しなくても人間の生活が保障され、そのための財源論からも逃げない」(井手英策 世界9月号)という合意形成の可能性は、暮らしの現場のなかに拡がりつつある。救済すべき弱者を選別するのではなく、みんなを底上げするためにみんなで負担する、そういう民主主義へ。

 自分(たち)の意見や行動が社会や政治に反映されているという実感を、政治的有用感という。暮らしのなかの困りごとや生きづらさ、不安について語り合い、政治に対して要求していくなかからうまれる政治的有用感を、「時間かせぎ」の政治に対抗しうる「未来への責任」を分かち合う民主主義へと育てていくことは、主権者運動の役割にほかならない。

(「日本再生」449号より)

==================================

囲む会のご案内  「凡庸の善で考え続けるために」

==================================

◆第165回 東京・戸田代表を囲む会【会員限定】

 「民進党がめざすもの―民主主義における野党の機能と役割を考える」(仮)

 ゲストスピーカー 小川淳也・衆議院議員

 10月13日(木)午後6時45分より

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)

 参加費 同人会員1000円/購読会員2000円

◆第八回大会 第三回総会

「『時間かせぎ』の政治に対抗しうる『未来への責任』をどう語るか

 ~立憲民主主義と主権者運動の役割」(仮)

 11月13日(日)午前10時より午後6時

 「がんばろう、日本!」国民協議会事務所(市ヶ谷)


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp


メルマガ♯がんばろう、日本!         号外(16.9.6)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

Index

 

◇ご案内

日本環境会議沖縄大会

環境・平和・自治・人権―沖縄から未来を拓く

==================================

(大会案内より)

第33回日本環境会議沖縄大会は、環境・平和・自治・人権の問題が最も先鋭的に現れている沖縄から日本本土、米国、そして世界の人々へ問題提起を行い、そこでの世代間交流を含む人々の交流、意見交換を通じて未来を切り拓いていきたいとの趣旨で開催されます。ぜひ、多数の皆さまのご参加を期待いたします。

10月20日から23日

沖縄国際大学

詳細は下記より

http://www.einap.org/jec/article/jec/33/50

「囲む会」で話をしてくれた元山君(SEALDs RYUKYU)も登壇します。


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp