メルマガ♯がんばろう、日本! №252(19.7.28)
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「がんばろう、日本!」国民協議会

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Index
□ 「ポスト安倍政治」の問題設定と
その「担い手」(「2020後」を生き抜く当事者性)を
~参院選の総括視点にかえて

● 破局へのカウントダウンが始まった「時間かせぎの政治」
ポスト安倍政治(「2020後」)の課題設定へ

●制度の外からの問題提起
自己責任論の〝終わりの始まり〟になるか

□総会(8/4) 囲む会(東京8/26 京都8/29)のお知らせ

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「ポスト安倍政治」の問題設定と
その「担い手」(「2020後」を生き抜く当事者性)を
~参院選の総括視点にかえて
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● 破局へのカウントダウンが始まった「時間かせぎの政治」
ポスト安倍政治(「2020後」)の課題設定へ

参院選の投票率は48・80パーセント。前回2016年を5・90ポイント下回り、過去最低だった1995年の参院選(44・52%)に次ぐ低投票率となった。
「投票率が低かったのは、政権の『針小棒大』な成果の宣伝にしらける一方、あえて『反対票』を野党に入れるという気分にもならず、投票に行かなかった有権者が多かったためではないでしょうか」(藻谷浩介 朝日7/23)

「年金だけでは老後に2000万円不足」問題もあって、有権者が参院選でもっとも重視する政策として挙げていたのは社会保障だった。しかし「人生100年時代にどう備えるか」という国民の問いや不安に、与党が選挙戦を通じて向き合ったとはいえない。むしろ逆に本来なら選挙前に公表されるべき、法律で義務付けられた五年に一度の年金財政の検証すら、選挙後に先送りした。
「どうなっており、どうなりうるか」という、まともな議論の前提さえ成り立たなければ、選挙は政策論戦の場ですらなくなり、「争点」はただの「勝ち負け」でしかなくなる。低投票率はその結果にすぎない。国民にとって大事な課題や争点は、永田町の外にある。

「有権者に一体何が争点なのか、判然としないままに選挙が行われたことが低投票率のもう一つの原因でした。「政治の安定か、混乱か」「憲法の議論が必要か否か」と問われれば多くの人が「安定」「必要」を選択するに決まっているのですが、「安定した政治で何を目指すのか」「憲法のどこをどのように変えるのか」を語らないままに「国民の大きな支持を得た」と評価すれば、国民の意識との間に乖離があるように思えてなりません」(石破茂・衆院議員 ブログより)

議論を封じる・逃げる、都合の悪いデータは改ざんする、公文書は破棄する、さらには逆らう者には狙い撃ちのように報復するという政権運営は、二度と野党に政権を渡さないことを至上命題としてきた安倍政権の「守り」の姿勢が行き着いた姿だ。
この11月で安倍政権は憲政史上最長の長期政権となる見込みだが、その長期政権の源泉は「衆院選のリセット効果をうまく利用して短い任期を積み重ねた『短期政権型の長期政権』」(牧原出 朝日7/23)というところにある。長期政権にふさわしいレガシーが見当たらないのも、短期間にリセットを繰り返す「やっている」感の演出ゆえといえるだろう。

ただし「やっている」感を演出する材料も、次第に尽きつつある。今や政権末期の求心力を維持するために手札として残っているのは、「解散」カードと「改憲」カードくらいだろう。これに揺さぶられて、永田町のなかのゲームに右往左往するのか。参院選の世論調査でも、安倍政権に一番力を入れてほしい政策は「年金などの社会保障」が38%、「憲法改正」は3%(比例で自民党に投票した人のなかでも4%)(朝日 7/24)。「ポスト安倍政治」にむけた課題や争点は、永田町のゲームの外にあることは明らかだ。

アベノミクスの出口が見えないまま、世界経済の先行き不透明性もあいまって、日本の財政リスクは高まっている。本格的な人口減少社会を迎える「2020年後」は目前だし、その先には、団塊ジュニア世代が高齢者となり始め、人口減少社会がピークを迎えるといわれる「2040年問題」が見えている。長期政権の強みとされてきた外交においても、米中関係の戦略的構造変化をはじめ、これまでの延長にはない諸課題が「待ったなし」だ。いずれも「やっている」感の演出でなんとかなる局面ではない。
「やっている」感を演出する「時間かせぎの政治」は、いよいよ破局にむけたカウントダウンに入っている。その破局の向こうに何を準備するのか。それがこの参院選の総括にほかならない。そしてそのフィールドは永田町の外にある。

●制度の外からの問題提起 自己責任論の〝終わりの始まり〟になるか

今回の参院選では、「ポスト安倍政治」にむけた課題設定の芽も生まれつつある。「2000万円問題」が有権者の関心を集めたのは、それが単に高齢者の問題にとどまらず、日本社会全体に広がる「貧困」の問題と無縁ではないと、多くの人が感じているからだ。それを反映する形で、例えば「最低賃金の引き上げ」を与野党各党が公約に掲げたり、野党からは家賃補助などの住宅政策が訴えられた。住宅政策については、日本では市場を通じた自己責任=持ち家政策が中心で、後は低所得層への福祉対策という意味合い(選別主義)だった。家賃補助は、普遍主義の観点からの住宅政策への転換の糸口といえる。

あるいは選挙前の党首討論では、原発の新増設と並んで「選択的夫婦別姓」や「(同性婚など)性的少数者の法的権利」について、各党首の賛否が問われた。こうしたテーマが、選挙における政党間の争点として浮上したのは、今回がはじめてではないか。
永田町の外からの問題提起が、政治の課題設定につながりつつある。その動きを、より確実なものにしていけるか。

平成という時代は、家族と雇用の標準形が崩れていった時代だ。終身雇用を前提に家族と企業に支えられていた社会保障システムは、非正規労働者の拡大によって崩壊した。セーフティネットのないまま、自己責任論だけが肥大化していった。それに対する異議申し立てをすくい上げたのが、山本太郎氏率いる「れいわ」だったといえるだろう。
重い障害を持った人を議員として国会へ送り込むことで求められるのは、国会のバリアフリー化だけではない。生産性で人間を選別するという新自由主義の発想から「自己責任」とされてきたさまざまな理不尽を、国会のなかにおいても「可視化」することではないか。

一方で平成という時代は、個の多様性への入り口の時代でもあった。既存の制度の外に追いやられた問題が「自己責任」とされる一方で、レールなき時代に「少なくとも自分の人生は自分がオーナーだ」という自己決定の小さき主体性も生まれた。例えばそこでは同性婚と子育ては、こんなふうに「地続き」だ。
「同性婚を認めることによって増えるのは同性愛者ではなく、子どもを育てられる家庭である。そして、「マイノリティでも軽視されない社会に生きている」という安心感である。個を大切にするこの時代、必要なのは「今ある普通」に人を当てはめるよりも、「普通」の幅を広げていくことなのではないか」
(合田文 ポリタスhttps://politas.jp/features/15/article/659)

セクハラサバイバーや聾唖者、保育士などと並んで同性婚を訴えて比例当選した石川大我氏(立憲)が代表しているのは、LGBT当事者だけではなく、「普通の幅」を広げていこうとしている多様な人々だろう。
今回の参院選を、「制度の外」からの当事者の声を政治の課題設定へとつなげていく〝始まりの始まり〟にできるか。

「~ただ、それが旧システムの終わりの始まりになるかは未知数です。投票率は低く、日本では自己責任論が広がり、社会としての連帯感は10年前より後退している印象さえあるからです」(稲葉剛氏 朝日7/23)

自己責任論からのバックラッシュは想定されるが、それ以上に課題となるのは「共同性」の再編/再構築だろう。多様な当事者の声が挙がれば、それがぶつかりあうこともある。「○○ファースト」なら消費者民主主義の延長でも可能だが、当事者の声を受け止めたうえで、「あなたの問題は私の問題でもあり、私たちみんなの問題でもありますね」という共同性へと再編していけるような公共空間を、どうつくっていけるか。

ポスト安倍政治の問題設定においても、共同性の再編/再構築は必要不可欠だ。税の議論がきちんとできない立憲民主主義はありえない。税は「とられる」ものではなく、私たちの必要を満たすために政府を構成する手段にほかならない(財政民主主義)。「私たち」という共同性を再編/再構築できなければ、一方に自己責任論が蔓延し、他方に増税不要論が繰り返され、「2020後」を生き抜く当事者性を失ったまま破局を迎えることになる。

社会的孤立(いわゆる「ひきこもり」)も、自己責任論の行き着いたひとつの姿だろう。最近の大きな事件の影響で、高齢の親が無収入の中高年の子どもを支える「8050問題』「7040問題」が注目されている。ただしここで注意したいのは、「ひきこもり当事者が犯罪に走る」というステレオタイプの俗論ではなく、社会的孤立を個人の自己責任とするのではなく、社会全体で向き合う問題とすることができるか、ということだ。(津田大介「論壇時評 6/27朝日より。)

言い換えれば共同性の再編/再構築という課題は、「2040年」を自己責任の破局のなれの果てとして迎えるのか、「私たちみんなの問題」という当事者性と共同性で向き合えるのか、ということを意味する。「2020後」という問題設定は、その分岐点にそろそろ差しかかりつつあるなかでの時間の使い方ということでもある。

参院選では当初の予想以上に、一人区での善戦がみられた。野党の候補者調整は、16年参院選から数えて二回目。長期政権で「動脈硬化」(牧原 前出)が進みつつある自民党に対し、野党統一なら勝てるという可能性が高まれば、有為な人材も集まってくる。そこで必要なことは、ポスト安倍政治の課題設定の共有とそのための合意形成だ。野党共闘がうまくいったところでは、選挙区の票が比例での政党票の合計を上回っている。

政党の足し算を越えた求心力を、どう作り出していくか。そのためにも個別政策の調整という範疇ではなく、永田町の外、制度の外からの問題提起に応えた、旧来の政治の枠組みに替わる政策思想の軸―共通の土俵を設定したうえでの合意形成が、その内容とプロセスともに求められる。参院選そして統一地方選の総括から、解散カード、改憲カードに右往左往しない軸足を。

(8月4日 総会の議論の方向性として)

(「日本再生」483号一面より 紙幅の関係で紙面ではタイトルの一部を変更しています。)
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第九回大会 第一回総会
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1月6日の第九回大会に基づいて、統一地方選、参院選の総括と、今後の方向について
共有するために、下記のように「総会」を開催します。

第九回大会 第一回総会
8月4日(日) 1000から1800
「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)
参加費 無料

戸田代表の提起
江藤俊昭先生(山梨学院大学教授)の問題提起 コメント
討議
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第201回 東京・戸田代表を囲む会
「自治体の2040年問題」(仮)
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8月26日(月) 1845から
ゲストスピーカー 山下祐介・首都大学東京教授
「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)
参加費 同人 2000円 会員 1000円
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第38回戸田代表を囲む会in京都
参院選を振り返る~『2020後』を生き抜く当事者性とは」
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8月29日(木)1830~2100
コープイン京都201会議室
参加費1000円(学生500円)

石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp