争点なき越谷市長選挙、現職の再選は、市政の問題をさらに深刻化させて行く
これも“破たんへの道”を選択した市民の責任だけに、そのツケは次世代に

 10月27日投票の越谷市長選挙の結果、現職の高橋市長が再選されました。投票率は31,73%(前回35,78%)の低投票率で、得票数は松沢、中村両候補の合計得票32、812票に対し、高橋市長の49、907票との差が大きく開きました。
 今回の選挙の特徴は、昨年の衆議院選挙、本年7月の参議院選挙に続く低投票率と依然として争点設定なき選挙戦となり、市民は「選びたくても、選べない」と言う事が継続した事でした。
しかも現職の大量得票は、これまでの高橋市政の4年間を市民は肯定的に評価したとは言い難い事です。
市長は平成27年4月をめどに「越谷市を中核市に移行する」事にむけ準備を進めて来ました。それは、旧看護学校跡地に新保健所の建設費を約12億円も投入し、さらに中核市移行による80数名(保健所関係は60人程度)の職員増のため毎年の職員人件費約7億円の増加を含め、新たに約17億2千万円の歳出増が見込まれています。 
また現在の庁舎の狭隘化や増員した20数名の職員の事務スペースの確保のため約20億円をかけて第3庁舎建設に着手しています。しかも埼玉県内の自治体庁舎中、ワースト1で耐震強度が脆弱な本庁舎の対策には任期中には一切手をつけず、今後も具体的な方針は何ひとつ示されていません。(平成13年から今日まで12年間も、危険性を認識していたにも拘わらず)
1日2000人もの市民が来庁する本庁舎の耐震化を放置しているのですから、いまでも地震で市民が犠牲になる状態が続いています。市長の選挙公報には「一期4年で約束した政策の95%を実現。人と地域が支える安心・安全・快適都市の創造・災害に強いまち・越谷に」と記載されていますが、第3庁舎建設より最優先すべき本庁舎の防災対策を一体どう説明するのでしょうか。「埼玉県ナンバー1の安心、安全の越谷市を目指す」という4年前の公約も有名無実化していると言わざるをえません。
しかも、第3庁舎建設にいたっては、職員専用の建物と言う理由で「市民への説明も意見聴取もパブリックコメントも一切取らない」と公言して来ました。これは越谷市自治基本条例の理念とは異質です。
10月19日越谷青年会議所が主催した、市長候補者3人が参加した「市長選挙の公開討論会」で、市長は「第3庁舎建設はすでに議会で議決されており、本庁舎整備では審議会が発足しており、批判は的を得ていない」と語気を強め反論しました。
確かに第3庁舎建設予算は、市議会では賛成多数(民主党・ネット・無所属の会、自民党市民クラブ、公明党、共産党の4会派21名の議員が賛成)で可決しました。しかし10名(新政クラブ、保守無所属の会)もの議員が反対を表明し、実に議会の三分の一が異議を唱えたのです。
また市長は本庁舎整備のための審議会の委員に議員を対象とする議案を提出し、これまでの「市長の諮問機関である審議会の委員には議員はならない」とする慣例と実績を無視して設置しました。これも全く同じ様に賛成21名、反対10名でした。またこの審議会は、第3庁舎建設を除いた庁舎整備問題を検討することが目的であり、全体のグランドデザインを描くものではありません。つまり第3庁舎建設は本庁舎の耐震化対策より優先順位が高いと言う事です。
中核市移行にともない「市民に、デメリットはない!?」本当だろうか

市長選挙公報には、さらに「県内東部の要 中核市・越谷の実現」と謳っています。国や県から2000ほどの事務事業が移管され(そのうち1700事業は保健所関係)、市民サービスが増え、このための歳出増は新たな地方交付税の増額で賄えるので、市民には全く不利益がない、つまりデメリットはない、と強調して来ました。市民はサービスを受ける時に全くの税負担の対価がないとは思っていないはずですが。
しかし、増額される地方交付税は国から分配されていますが、莫大な借金を抱える国の財政は火の車であり、これまで確定した交付税を全額支給出来ずに、一旦は越谷市がその分を借金して帳尻を合わせ、後年さらに地方交付税で補てんする(臨時財政対策債)制度を適用して来ました。
この臨時財政対策債の残高は実に341億円にも膨れ上がり、しかもこの対策債は平成25年度で制度が打ち切られ、累積した借金の返済めどは現在全くありません。こんな状況下で地方交付税が増えるから財政は問題ない、と言ってのけるのはあまりに無責任です。何故ならツケは次世代への負担増だからです。
地方分権の掛け声だけは、勇ましいが実態は旧態依然の対応

さらに公報は「市民サービスを拡充し、地方分権、市民自治の推進」と掲載されています。
本年9月議会で、越谷市の特別職や職員の給与を6,66%引き下げ総額4億5000万円の減額の議案が議決されました。(私は反対しましたが、反対は僅かに4名。ただし現在の給与水準が社会的実態から見て高いため引き下げの必要があります。しかし国から強制されて実施するのは、自ら地方分権・自治を否定するものです)職員給与は、これまで一貫して人事院勧告を尊重してきており、その人事院は今回据え置きを勧告していたにもかかわらず、市長はこの慣例を無視して提案しました。その要因は地方交付税の算出根拠の中に「職員人件費の削減を前提とする」と国は全国の自治体に強制していたのです。
このため、全国の首長は一斉に反発し、今回の国の姿勢は地方分権に逆行し、中央集権そのものだとする意見書が何度も全国規模で国に提出されて来ました。さすがに市長もこれは認めたものの、もしも人件費の削減を実施しなければ、市民サービスの低下を招くとして、その理由を答弁しています。ただ、来年4月1日には全額復旧すると言うのです。そうであるのなら越谷市の財政調整基金は30億円を超えており、まさに今回の災害と同じように緊急事態に対応するための基金であり、これで補てんすべきでした。
市民サービスが低下するというのなら、この様な国のやり方を市民に訴え、「市民自治」の基盤を作る絶好の機会として市長選挙でも展開できたはずです。しかし結局は国の言う通りに唯々諾々と従いながら、一方で「地方分権を推進する」とは一体何を推進するのでしょうか。
    棄権を含め圧倒的な市民の選択は、未来を搾取する社会に加担してしまった しかし・・・

 再選された市長は、今後ともこの様な姿勢を変える事は期待出来ません。市長を監視、チュックする議会も現状では「市長与党化」にさらに傾斜して行く事が想定されます。ただし再来年4月の市会議員選挙で新たな議員の当選によって変化する可能性は十分あります。
 だからこそ、市民が「未来に投資する社会」にむけ、その役割と責任を果たす事がますます問われています。

市長選挙後も続く市政10の問題

1、中核市移行で市民へのサービスは増え、市民の財政負担は全くない(デメリットはない)、との認識では・・・
   ⇒新たに地方交付税が増額される予定なので、事業移管による歳出増も対応出来る、と言う市長の認識は
    結局、現在の制度を是認して、国に要求ばかりするこれまでの姿勢と全く変わらない。
しかも地方分権の目的である市民の責任と負担は一切問わないことになってしまう。

 2、新保健所建設に12億円もの税金支出、身近で便利になるかわりの代償はないのか
  ⇒もともと存在していた越谷保健所を統廃合で廃止する議案に賛成した市長が、今度は一転して建設に着手した。周辺自治体の連携をめざすのなら、現在の春日部市の保健所を広域で利用出来なかったのか。

 3、第3庁舎建設費に20億円、事務スペースの狭隘化と僅か20人の職員増員ための建設目的
  ⇒ 職員のための建物なので、市民への説明や意見聴取は一切しないままで、市民参加と言えるのか。

 4、40年を過ぎた本庁舎の耐震強度は、埼玉県で最低。震度5強の大地震は今後5年間は起こらない?
  ⇒ 平成13年以来、今日まで12年間も耐震対策を先送りして、このままで本当にいいのか。

 5、増え続ける累積債務は、総額約1500億円に達しているが、通常債は毎年減額してきている、と言うが
  ⇒ 増えているのは、国が管理する臨時財政対策債だからと国の責任だけではすまない。借金は国も
    県も市も返済するのは全て市民。しかも次世代に負担を強いる事に無頓着でいいのか。

 6、市民参加とは、パブリックコメントや審議会への市民公募や市長への手紙等を意味しているのか
  ⇒ 様々な施策や事業の決定に、当事者として市民が関わる事が出来ない状態や運営では
市民参加とは言えない。決定への市民参加があって初めて責任も市民が引き受けることになる。

7、約650の事務事業の評価を、「外部評価事業」として民間企業が請け負って節減効果があったのか
 ⇒年間5億円の行財制改革による縮減成果は、年間予算の0,35%に過ぎない。一方毎年20前後
(約15億から20億円)の新規事業が3月予算に計上され続けており、拡大基調に歯止めがかからない。
  
8、市長の「市民とのふれあいミィーティング」の実施は評価するが、参加した市民の声を聞くか、陳情に
  終始するのが実態
  ⇒ 市民の意見や陳情を聞くことは極めて大切だが、市民は陳情するだけでなく事業の優先順位や税負担
    に対する説明や決定過程への市民参加を要請しないのでは、受益者市民を大量に生み出す事になる。

9、エネルギーの地産地消のため、個人の住宅へ太陽光発電の補助金助成や公共施設の屋根貸しが開始されたが
  ⇒ 目的はエネルギーを市民が地域で管理、運営することで地域再生を図る事から、主体となる市民や
    地域をどの様に再生していくのか、系統的な施策が必要とされる。

10、市長や議会の決定が、市民の利益と合致しないと判断した時、住民投票条例で政策を転換する事が出来る
  ⇒現在の条例では、市民が発議して署名を集めても、議会が否決すれば投票そのものが実施されない
 (非常設型住民投票)。このため市民が発議したら議会の議決を必要としない常設型住民投票条例が必要。

竜巻被害に関する情報提供
(越谷市災害対策本部 10月25日現在)
竜巻被害                               
第1回越谷市議会 議会報告会
 11月9日(土)18:30/市役所 本庁舎5階
              主催 越谷市議会   テーマ 平成25年9月議会

第12回桜井地区市政報告会
 11月14日(木)18:30/桜井地区センター「あすぱる」会議室
               主催 桜井地区議員の会
        テーマ 9月議会 ●市長等特別職と市職員の給与減額
                 ●竜巻被害への対応策(意見書決議を含む)
                 ●市民請願/意見書(アスベスト被害の救済等)提出
                 ●補正予算
           ●市長選挙総括と新市長との関わり方
二期目市長に期待する市民の集いー越谷市の問題はどうなる?―               
    11月17日(日)13:30/越谷市中央市民会館 第14会議室
               主催 白川秀嗣 /チーム白川
       テーマ 再選された市長の今後の市政の課題を明らかにして、市民参加
           を考える。市長選挙で3候補を支持した市民を始めフリートーク

PDFファイル⇒B5-市政レポート2013-11