「がんばろう、日本!」国民協議会

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Index 

□関係性と当事者性を涵養する多様な場づくりで、

 「新しい現実」からの多数派形成へ 

 ●新しい現実の広がりに、目を輝かせる人々、暗い目をする人々

 ●「個」の社会から「関係性」の社会へ  当事者性を涵養する多様な場づくりへ

□お知らせ

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【新しい現実の広がりに、目を輝かせる人々、暗い目をする人々】

 「変革期の時代には、人間たちはいくつかの『集団』に分裂していく傾向をみせる。~中略~今日の日本社会には、大き く三種類の人々が存在している。高度成長とともに成立した戦後の価値観を守り抜きたい人々、強い国家を目指して戦後を見直そうとしている 人々、新しい社会づくりを志してその視点から戦後を見直そうとする人々である。その分裂がはっきりしてきたのが現在の日本であり、この社 会分裂の顕在化に、私は変革期の現象を感じている」(内山節「変革の時代に生きる」世界9月号)

 「失われた二十年」とは、21世紀の現実に向き合い、「日本が・この地域が、どうなっており、どうなりうるか」を直 視することを逡巡し続けた期間であるとともに、そのなかから「右肩上がりの時代には戻れない」ことに気づき、さらには「新しい現実」を創 る試行錯誤に踏み出し始めたプロセスでもあった。別の視点からいえば、お任せ民主主義の思考停止、その習慣や体質から脱し、自治の当事者 意識を涵養する一歩へと踏み出すプロセスともいえる。3.11を契機に、このプロセスは臨界質量を超えた。

 「新しい現実」から旧来の社会関係をいかに再編するか。「未来へ投資する」ための合意形成は、どうすれば可能になる か。そのための場づくり、人づくりとは。こうした問題設定が実践的に見えてきている。

 例えば「円安でも伸びない輸出、アベノミクスの効果息切れ-疑問の声 8月11日(ブルームバーグ):円安に なれば輸出が伸びて景気がよくなるとの期待が薄れつつある。輸出が低迷し、景気を押し上げる勢いがなくなっている一方、円安で輸入物価が 上昇しているためだ」という事実に、どう向き合うか。

 「非伝統的金融政策」に続いて「世界で一番企業が活躍しやすい国」(安倍総理施政方針演説 2013年2月)ということでは、「そもそも現実が見 えていない」という距離感も生じてくる。

 「アベノミクスによる景気回復で、大手製造業を中心に業績が好調だ。その事実を根拠に、グローバル企業が高度経済成 長期からバブル時代のように加工貿易モデルで再び世界を席巻し、それが日本の経済成長を牽引するかのような幻想のなかで議論が進んでい る。 

 しかし~日本のGDPと雇用のおよそ七割を占めるのは、製造業ではなくサービス産業だ。しかも、サービス産業の大半 は、世界で勝負するようなグローバル企業ではなく、国内各地内の小さなマーケットで勝負するローカル企業が大半だ。~経済構造的にローカ ル企業がローカルに活動する構造から、あまり大きく変化しない。だとすれば、これからの日本の経済成長は、ローカル経済圏のサービス産業 の労働生産性とその相関変数である賃金が大きく左右すると考えていい」(冨山和彦「なぜローカル経済から日本は甦るのか」PHP新書) 

 これはグローバルか、ローカルかという二者択一の話ではない。そもそも七割を占めるローカルの持続性を担保すること なしに、グローバルも成り立たないということだ。ローカルの持続性は単なるカネの話ではなく、自然も含めた地域の財を総合的に活かして、 地域再投資の構造をいかにつくるかということになる。

 「基本的な財であるエネルギーや食料を、 地方でどう調達していくか。そのために、荒廃した山村の自然エネルギーをどう生かすか。そして荒廃した農地をいかに生かして食料自給率を 高めていくか。ここに政策的資源をどれだけ入れていくか。ヨーロッパ諸国が普通にやっていることを、まったくやっていないのが日本です。

 これまでは『安ければいい』ということで海外依存を強めてきましたが、これにブレーキをかけ、転換していく時期ではないか。地域のなかで暮らしを 立てていく、地場産業をしっかり作っていく。海外との付き合い方も、日本の地域の持続性を第一におきながら、必要なところは取引していく 必要があります」(岡田知弘・京都大学教授 四二三 号)。

 「新しい現実」が見えていれば、勘違いの「地方創生」も批判ではなく「未来への投資」のために使いこなすことができ るはずだ。

 「地方にはこんなにいろんなビジネスがあ ります、このなかから選んで地方にはいっていらっしゃい、というやり方を、私たちは最初のうちはやろうとしたんですが、それは違うと気が ついた。その人が入ってくると、その人の個性に応じた人間関係ができていって、その向こうにお金がついてくるんです。

ここは発想の転換ですが、役所はなかな かそれができない。各省庁の予算要求の時期になると、いろいろな勉強会から私たちにもお声がかかるんですが、最終的に予算要 求になると財務省から『費用対効果はどうなんだ』ということになる。お金に換算できないものは価値がない、というのがこの国の今の価値観なんです。だから安倍さんも『(地域再生に)お金を上乗せしよう』と、全部お金の話になる。

だけど地域にいくと、価値はお金だけ じゃないんです。山を次の代につないでくれたとか、祭りで集落のなかの役目を果たしてくれたとか、そういう関係性のなかで集落の価値は決められていく。そこに現金収入 を放り込むというのは、逆に変な人間関係をつくることになる。

今、若い人たちはそういう人間関係に魅 力を感じて入ってきます。彼らがちゃんといられるように、地域で居場所を作る。それが私たちの仕事です」(澁澤寿一氏 本号14面)

いまや「新しい現実」は、あちこちに見 えてくるようになった。だがそれに目を輝かせる人々がいる一方で、暗い目をする人々もいる。

「藻谷 私は講演でよく客席にクイズを出すんです。『アベノミクスによって日本と中国(香港含む)の貿易収支は十二年 ぶりに大きく変化しました。十二年間ずっと貿易赤字だった日本が黒字になったのか、その逆で黒字だったのが赤字になったのか、さて、どっ ちでしょうか?』と。『正解は、黒字だったのが赤字に転じたのです』と数字を見せて説明すると、それが数学的事実なのに、反発して聞かな い人がいる」(浜・藻谷 文芸春秋9月号)

「(無縁社会といわれるような)こういう情報に接するたびに、この社会はまずい状態になってきているということを誰も 気づかざるを得ない。けれども、そのことを認めてしまうと、自分たちが生きてきた時代、あるいは自分の価値観、生き方のすべてが否定され る。そのことに耐えられない人がいる。

 立派な会社に勤めていた知り合いが、会社を辞めて『田舎で農業をやる』と言っているとか、どこそこの子どもは、大学 を卒業したのに就職もしないでNPOをやっているらしい。~そういう情報に接するほど、かたくなになっていく。『それもまた一つの生き方 として面白い』と認めた瞬間に、自分たちの生きてきた世界が否定されるという危機感を抱いて防衛体制に入っている。新しい動きの広がり が、一方でこういう人たちを生み出しているのである」(内山節「主権はどこにあるか」農文協)

【「個」の社会から「関係性」の社会へ 当事者性を涵養する多様な場づくりへ】

 「新しい現実」からの多数派形成には、ここが大きなカギになる。

「正面から正しく苦労してプラスへ移行するというだけで、時代が回るんじゃないんです。 プラスへ転換するほうがもちろん重要なんですが、多数派を形成するためには、マイナスの部分のなかからも『生き残るためには活力あるほうに乗り換 えるしかない』と。最後は生存の空間です。これは主義や見識の問題ではありません」(戸田代表 本号12面)

一方で、生まれつつある当事者意識からの目線や緊張感に耐えられない、表情が暗くなるというなかからは、説明できない情緒的な意固地―非伝統的排外主義に走る傾向も生まれてくる。

「そこをどうするか。要するに市民、他者に検証されることに臆病なんです。そういう人たちも『あ、こういうことでできるのか』と。例えば送迎サービスなんかをやって いると、『ありがとう』と言われるでしょう。見ず知らずの市民にさられる、批判される、のではなく『ありがとう』と。都会のユーレイのなかには、生まれ てはじめて他人から『ありがとう』と言われた、という人もいるんじゃないですか。そういうことがなくて、社会関係資本の集積もない」(同前)

ローカルとは国や中央の対語としての地 方ということではなく、顔の見える関係のなかでの結び合いという意味だ(内山「主権はどこにあるか」)。地域の結び合いも、地域外との結 び合いもあるし、都市部ではもっと緩やかな結び合いもある。共同体とは、そうした小さな多様な結びつきの積み重ねだろう。その関係性の中 に当事者性を持って関わること、そのような場づくりこそが地域民主主義の根幹となる。

「~当事者意識というのは感じること、こういう人たちに感じさせようというふうに伝えることです。『歴史的な転換期で危機だ」となると、多 くの人は関わらないようになります。『これに失敗したら、わが国はつぶれる』という危機アジリでは、当事者意識は出 てきません。これでは、考えるということを奪うような転換期の説明なんです。

感じるということは、例えば『日本再生』のタイトルでいうと、『知る、気づく、共感する』と。ワクワク感です。怖いもの見たさで も、ワクワクするためには考え続けなあかんです。

その時に『俺にまかせろ』と言っちゃ、ダメなんです。『野党もダメ、支持はしないけど安倍さん に任せるしかないんじゃないか』となった瞬間、思考停止になる。民主主義の場合は、全員を当事者意識にせなあかんということだから、思考停止は全体主 義につながるんです。アイヒマンの裁判を通じて、ハンナ・アーレントが訴えたことは、そのことです。『言われたことをやっただけ』という凡庸の悪。これは凡庸の善になっ たからといって、凡庸の悪を卒業したということにはならない。考え続けることをやめたら、そこに万里の長城はないんです。これが全体主義 と民主主義の重要な総括なんです」(戸田代表 同前)

 来年、二〇一五年四月には統一自治体選挙が行われる。次の選挙は、(衆参国政選挙をはさんで)二〇一九年、その二年 後にはいよいよ東京も、人口減少が始まると予測されている。少子高齢化・人口減の現実に「危機」としてではなく、当事者意識の涵養の機会 として向き合う、その場づくりを!(3―12面「囲む会」参照)

(「日本再生」424号一面より)

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□「囲む会」のお知らせ

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《東京》

◆第141回 東京・戸田代表を囲む会

「世直しは、食なおし。自分の暮らしを取り巻く環境に主体的に〝参画〟する。」

9月10日(水)18時45分から21時

ゲストスピーカー 高橋博之・NPO法人東北開墾代表理事、「東北食べる通信」編集長

「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)

同人 1000円/購読会員 2000円

参照 http://kaikon.jp/concept.html

◆第102回 講演会・シンポジウム

「緊張する東アジア情勢にどう向き合うか~『戦略なき夢遊病』に陥らないために」

9月14日(日)13時から17時

アルカディア市ヶ谷 6階「阿蘇」

参加費 2000円

パネルディスカッション

中西寛・京都大学教授、大野元裕・参議院議員、李鍾元・早稲田大学教授 

川島真・東京大学准教授

《京都》

◆シンポジウム

「里山・林業の再生から地域再生・新しい地域経済を考える」

11月24日(月・祝) 14時から18時

コープイン京都 2階

参加費 1000円

第一部 講演 太田昇・真庭市長、中島浩一郎・銘建工業社長

第二部 パネルディスカッション 太田市長、中島社長、岩﨑憲郎・高知県大豊町長、

    諸富徹・京都大学教授、前田武志・参議院議員 ほか