議員報酬引き上げ反対討論(本会場)録画中継
第3議案 越谷市議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部を改正する条例制定について自治みらいを代表して反対の立場から討論します。

 本議案は、議員報酬の額を、現行の51万5千円から6万円増額し、57万5千円に引き上げるなど、試算によれば、引き上げによる年間影響額は4235万640円にのぼります。
 市長は提案理由として、これまで長年据え置かれてきた報酬額を、中核市移行を契機に類似団体並みに引き上げたい旨を述べておられます。
しかし、今回の引き上げは以下の5点の理由から、その正当性を担保できません。

第1に、越谷市は、中核市移行によって約2000もの事務事業が移管され、それに伴う責任についてです。
市長は、これを理由にされていますが、まず事務事業の拡大に伴い大幅な歳入増が見込めるわけではありません。

第2に、類似団体との比較についてです。
市長は、人口30万人規模の類似団体の比較の中で、低位である現状から報酬アップを理由とされています。
しかし、これは一言で言えば、横並びこそが基準であるとする、正に右肩上がりの習慣と体質化そのものです。
 本年3月8日に名古屋市議の報酬について、現行の年800万円から一気に年1455万円に引きあげる議案を自民党、公明党、民主党各会派の賛成多数で可決しました。
これに対して、名古屋市民の間には、議員のお手盛りだとの批判が高まっているとの報道もなされています。
 2011年統一地方選挙をへて、名古屋市議会は、当時の年1633万円だったものを、自民党、公明党、民主党各会派を含めて全会一致で年800万円に引き下げていました。
 しかし、今回の引き上げの理由が、越谷市長と全く同じ理由、つまり類似団体と比較して、著しく低いことを主張しています。
今日様々な事務事業費がそうであるように、その自治体の財政状況や優先度から判断してくことが人口減少時代、定常化社会の基準であり、議員報酬もその例外ではありません。
そもそも該当の自治体の議員報酬が、いくらが適正なのかを示すのは難しいことは、認識しています。
だからこそ市民の納得と合意が何よりも必要ですが、名古屋市民と同様に越谷市民の了解を得ることは極めて困難と言わざるをえません。

 第3に、懸案であった耐震化のための本庁舎建て替えとの関係性です。
市長は、本庁舎の建て替えを、財政上の理由から当初の目標年次であった平成32年度工事完了を達成できなくなったと、私の代表質問の答弁で明らかにされました。
その理由に、37億円の小中学校のクーラー整備等を上げ、財政状況の見通しがたっていない、としています。
 本庁舎の早期耐震化は、議会の質問等でも複数の議員が再三再四取り上げてきた事項であり、一部議員も入って構成された越谷市本庁舎整備審議会が答申された、平成32年度工事完了は、大変重みがある事項であることは言うまでもありません。
災害対策の最重要拠点である本庁舎の耐震性が、県内ワースト1である現状を放置したまま、議員報酬の引き上げの方が優先順位が高いとはとても言えないはずです。
安心度さいたまNO1を市長選挙のマニフェストとして、市民と約束され当選されているのですから、その点からも約束の実行が問われています。
従って、本定例会の3月9日の予算特別委員会では、自治みらい所属の山田裕子議員から、報酬引き上げの影響額を公共施設等整備基金に、全額繰り入れる予算組み替え動議を提出しましたが、残念ながら賛成少数で否決されました。

第4に、特別職報酬等審議会の答申についてです。
市長は、特別職報酬等審議会の答申を尊重することを、報酬引き上げの理由とされています。
確かに、同審議会は昨年から継続的にこの件について審議をして頂いています。
現状の報酬額や政務活動費についての把握や類似団体との比較など、種々の論議を通して答申されています。
しかし、この答申を受けた上で越谷市全体の事務事業における財政状況や優先順位、また市民への合意形成や時期等総合的に判断出来るのは、正に行政のトップであり政治家としての市長の見識と決断そのものです。これを審議会が代行出来ることではありません。
実際に、先述した通り、本庁舎整備審議会の答申があったにも拘わらず、完成時期を先延ばしにしたのも市長の総合的判断そのものではないのですか。
本庁舎整備審議会からの答申に尊重し、その時期をいったん明確に指定したのも拘わらず、完成時期を先延ばしにしたのも市長の総合的判断そのものではないですか。
一方、特別職報酬等審議会からの答申には、そのまま議案として提案し、しかも議員だけでなく市長自身を含む副市長や教育長等の市幹部の給与を引き上げる事態になっています。
この二つの相反する審議会の答申に対する取り扱いに、統一された基準があるのでしょうか。
もし、そうでないなら、このような市長の姿勢に対する、ご都合主義だとの市民の批判にどう応えられるのでしょうか。

第5に、二元代表制の機能化における市長と議会の緊張関係にいてです。
 市長も我々議員も、選挙を通して市民の選択と付託を受けた選良であることは、言うまでもありません。
そのため市長は、予算提案権や執行権と言う権力行使を実行することが出来ますし、議会は議決行為と言う、税金の集め方や使い方、また予算や条例の決定を始め条例制定権までの権力行使が付与されています。
しかし、この間特に地方議会や議員に対して、その存在そのものを揺るがしかねない批判が市民から続いています。
これは、政務活動費を巡り兵庫県議の号泣問題を始め、全国の地方議員の不祥事がいまだにマスコミに取り上げられています。
これら、問題を起こしているのは議会の中のほんの一握りの議員であり、圧倒的多数の地方議員は住民福祉の向上のため、その職責を日々果たすため様々な市民の批判を受けながらも活動を続けていることを十分承知しています。そして、越谷市議会も決してその例外ではありません。
その責任と役割に真摯になっているからこそ、たとえ市長の提案が善意からの発想だったとしても、部分最適から全体最適へ、現状最適から将来最適へと、優先順位の観点から、市民にとって何が今必要なのか、判断することに最も心を砕かなれればなりません。
ましてや、今回の議案は議員の報酬や市長等の給与と言う身分に関する事項であり、たとえ報酬や給与アップが今必要だったとしても、最も優先すべき課題に税金を投入しなければなりません。
そのために山積する地域の課題を解決するため毎日の活動の量や質に見合わない報酬や給与だったとしても、越谷市議会の歴史を紡いできた先輩諸氏がそうであった様に、これを引き継ぎ、甘んじてこれを受け入れ、じっと耐え忍びながら、ひたすら住民福祉の先頭に立ちづける気概と心意気に立つ議会人や公選職としての市長の職責を確認することからも、市民に証明する絶好の機会が今ここにあります。
最後に19世紀の社会学者マックス・ウェイバーの有名な著書「職業としての政治」の中の一節を紹介します。

自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が自分の立場からみて、どんなに愚かであり、卑俗であったとしても、断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!」と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への「転職」を持つ。

是非、本議場におられる全ての議員の皆さんが、本議案に対する慎重で真摯なご判断を頂きますよう、心から呼び掛けて討論を終わります。

                                    以上