メルマガ♯がんばろう、日本!         №249(19.4.26)

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「がんばろう、日本!」国民協議会

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Index 

□ 立憲民主主義の主体形成はどこから始まり、

  どのようなたたかいのなかで鍛えられるのか

  ~統一地方選の総括にかえて

●統一地方選 概況

●「地域の課題を共有する場としての選挙」への糸口は見えたか

●民主主義のセキュリティホールはどこに生じるのか 

 立憲民主主義の主体形成のためのたたかいは、どこから始まろうとしているのか

□ 囲む会、関西政経セミナー(統一地方選の総括)ご案内 ほか

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立憲民主主義の主体形成はどこから始まり、

どのようなたたかいのなかで鍛えられるのか

~統一地方選の総括にかえて

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【統一地方選 概況】

 今回は、統一地方選の総括論議にむけて、いくつかの論点を提起してみたい。まずは概況から。

●知事・指定市長、道府県議会、指定市議

 統一地方選前半は11知事、6指定市長、41道府県議、17指定市議の選挙が行われた。知事選では与野党対決となった北海道で自公が候補が当選。知事・市長クロス選挙となった大阪では、大阪維新の会が知事、市長とも制した。

 道府県議会では、自民党がほぼ前回並みの議席を獲得、議席占有率は40パーセント。立憲は改選前議席から30以上伸ばしたが、国民は改選前の142から大幅に減らし、両党をあわせても改選前の民進党議席を割り込んだ。大阪府議選では、大阪維新の会が51議席と過半数を確保した。

当選した女性は237人で全体の10・4パーセント、6道県議会で女性議員が減り、都道府県議会全体では、女性議員が一ケタの議会は40に上る。

●市区町村長、市区町村議会

 統一地方選後半戦の294市議選では、無投票を含め6724人の当選が決まった。自民党の当選者は698人で前回2015年の634人を上回り、共産党は615人で前回672人から減らした。公明党は立候補した901人全員が当選。無所属は3960人で全体の58.9%を占めた。統一選初挑戦となる立憲民主党は197人、国民民主党は95人。日本維新の会(政治団体・大阪維新の会含む)は113人で、維新の党と大阪維新が前回獲得した78人から伸ばした。社民党は53人、諸派92人。自由党、希望の党は議席を得られなかった。

 また市議会議員選挙での女性の当選者は、これまでで最も多い1239人、当選者全体に占める割合も18%と過去最高となった。

 一方で無投票も過去最高となった。前半の道府県議会選挙では、全41道府県で計612人の無投票当選が決まった。前回2015年に比べて111人増、無投票率(総定数に占める無投票当選者の割合)は、前回比5.0ポイント増の26.9%に上昇。記録が残る1951年以降で過去最高となった。後半の町村議会議員選挙では、定員全体の23%にあたる988人が無投票で当選を決めた。また北海道などの8つの町村では、候補者が定員に満たず定員割れとなった。

【「地域の課題を共有する場としての選挙」への糸口は見えたか】

 第九回大会(本年1月6日)では、「2019年統一地方選にむけて」として以下のようによびかけた。

 【3】課題を共有する場としての選挙へ

 人口減少時代の地域経営は、「選挙で勝てば、後は何でも決められる」というトップダウンでは立ち行きません。何のために何をカットするのか、絶対に譲れない領域は何か、あるいは何を守るためには負担増という選択肢も選ぶのか、といった議論の場としての議会にするためには、その議員を選ぶ選挙も「選挙で選ばれれば、後はお任せ」の白紙委任ではなく、地域の課題を共有する場とすべきです。

 言い換えれば、選挙を地域の利害や意見の違いを「数で決着つける」場ではなく、さまざな地域の課題が提起され、それらを共有していくための場へとつくりかえることです。公約やマニフェスト、審査員としての構えについても、市民との共同作業を通じて、課題を共有する当事者性を涵養しようではありませんか。

 課題を共有するところに公共はうまれます。選挙を通じてそうした〝共有地〟をつくりだし、選挙後も耕し続けることで、「2020後」を生き抜く自治の力を生み出そうではありませんか。(引用終わり)

 まちづくりにしても、子育て政策にしても、国が政策の旗を振り、地方が「手足」となって実施するという時代ではない。なにより問題の所在も問題解決のアクターも方法も、自治体ごと、地域ごとに違うのは当然であり、だからこそ地方行政の裁量ではなく、合意形成を担う地方政治のありかたこそが問われる。統一地方選と参院選が重なる十二年に一度の「亥年」ということで、いまだに参院選の前哨戦との見方も一部にあるが、それでは何も見えなくなる。

 選挙は地域の課題をどう共有してきたのか(しようとしてきたのか)をめぐる四年間の集約であり、また次の四年間にむけたスタートでもある。選挙の場が、「自分(候補者)の政策や問題意識」への支持を訴える場に終わるのか、人々のなかから課題を見いだし、共有する場への糸口となるか。

 たとえばマニフェストの作り方。これまでも、自分の思いや政策を訴えるツールとしては活用されてきただろう。しかし、課題を共有するためのツールとして深めるには、これまでとは違う〝何か〟が必要になる。「あなたの問題」を自己責任にせずに「私たちの課題」として深めていくプロセスのためには、これまでの「参加型」(みんなで作る○○)から、さらに質的な発展が問われることになるだろう。

 伝え方や活動のスタイルも、「支持」ではなく課題の共有を可視化するようなスタイルや、「より遠く」へ届くような伝え方を模索することになるだろう。平成の時代に否応なく、個人の生活や人生設計、家族の形などは多様化した。地域社会も独居世帯の増加や多文化共生が求められるようになる。こうしたなかで、従来の制度の「外」に生じている〝くらしとせいじ〟のうねりをどうとらえ、「あなたの問題」を「私たちの課題」へと転換していくプロセスの模索でもあるはずだ。キャラ立ちやマーケティングといったことも、単なる表層的な手法としてではなく、そうした観点から絞り込まれていくはずだ。

 これまでの支持や信頼関係、政策スタンス、合意形成における一定の役割や信頼といった集積に加えて、こうした「課題を共有する」ための模索とそこからの発信力を、どこまでプラスアルファできたか。その実践的教訓を語り合おう。

 選挙を「課題を共有する場」にするということは、自分たちの地域のことは自分たちで、という草の根の自治の当事者性が、自治体の〝より大きな〟決定にかかわる政治的有用感とどう結び付けられるか、ということでもあるだろう。選挙は地域の政策を決定する代表を選ぶ場であり、それを通じて、自分たちの参加や自治が政治的にも有用だと感じられれば、政治はより身近なものとなる。

 たとえば、まちづくり協議会が活発に活動し、それが一定程度集積している地域でも、そのことと(保育所の統廃合など)自治体の〝より大きな〟決定への参加が結びつかず、参加が阻害されていると感じる(政治的有用感が持てない)人々が生じると、草の根自治も進展しないことになる。ここをどう乗りこえていくか。

 地方政治という点では、地域政党についても考えるべきだろう。世論受けする首長が主導するポピュリズム型政党と見られていた大阪維新の会は、今回の統一地方選挙で、大阪の地域政党としての地歩を得たといえそうだ。

 「維新人気は創立者の橋下徹氏の強い発信力による大衆扇動(ポピュリズム)型だとの見方は多い。しかし、今回の統一地方選は橋下氏不在でも維新が大阪で根強い人気を誇ることを証明した。

 最大の強みは、維新が大阪府市の利害を調整してくれる代表者と見られるようになったことだ。府市の費用分担などが必要な大規模プロジェクトは『二重行政』がたびたび問題視されてきた。維新は両首長ポストを得ることで府市間の調整を図り、市域を越えた『大阪』に利益をもたらす存在として印象づけることに成功した。

 自民党などが推薦した2候補は『府市の課題は話し合いで解決できる』と主張したが、具体的にどう調整するかについて説得力のある説明が乏しかった。都構想に反対するだけではダメだったという結果を重く受け止めるべきだ」(善教将大・関西学院大准教授 日経4/9)

 善教氏によれば、維新に投票した有権者は、大阪維新の会という「大阪の利益の代表者」という政党ラベルで投票しているという。「重要なのは、ここで言う『大阪』とは、大阪市という行政区域に限定されない『抽象的な都市空間』を指していることだ。大阪の有権者は、個々人の地元という狭い範囲の利益ではなく、より集合的な『大阪』の利益を求め、政党ラベルを手掛かりに、自律的かつ合理的に維新を選択した、というのである。
 選挙で維新を支持したからといって、その主張を彼らが丸飲みしているわけでもない。正確な理解と批判的志向を持って慎重に判断したからこそ、住民投票で都構想は否決されたのだと、善教は言う」(松本創 ハーバービジネスオンライン 4/11)

 大阪維新の会が提示する「大阪の利益」については、批判すべき点は多々あるだろう。しかし根本的に問われているのは、地域の課題がどこにあるのか、人々のあいだでそれをどのように共有するのか、そこからどのような地域のオルタナティブをつくりあげることができるか、ということだろう。

 国政の政局と無縁でいられないのは当然だが、「個々人の地元という狭い範囲の利益ではなく、より集合的な」地域の利益を代表すると見られる一定のまとまり、としての地域政党の可能性が、こうしたところから始まるのかもしれない。これに替わる地域政党の可能性を見出すことはできるのか。

 今回は「亥年」の統一地方選でも、風は吹かなかった。しかし時代の転換点、分岐点での小さな〝乱気流〟は、さまざまな形で派生した。そこからは「課題を共有するところに公共は生まれる」ということにかかわる実践的な気づきを、少なからず見出せるはずだ。「2020後」にむけた新たな一歩を。

【民主主義のセキュリティホールはどこに生じるのか 

立憲民主主義の主体形成のためのたたかいは、どこから始まろうとしているのか】

 今回の統一地方選では、いわゆる政治不信も次のステージに入りつつあるのかもしれない。その端的な表れといえるのが、これまで〝泡沫〟と見られてきた「NHKから国民を守る党」(N国党)と「幸福実現党」(幸福党)の〝躍進〟だ。

 N国党は、今回の統一地方選で新人47人のうち26人が当選。現職議員13人と合わせ、全国の地方議会で39議席を有するまでになった。幸福実現党は19人が当選(1名は無投票)、所属議員は全国で35人になった。

 N国党は「NHKをぶっ壊す」だけが主張で、その他は何でもありの集まりのようだ。たとえば札幌市議の時に「アイヌはいない」とツィートして自民党から除名、市議会から辞職勧告されるも辞職せず、2015年札幌市議選で落選した金子快之氏が、渋谷区議に当選している。

 「無党派が第一党」といわれて久しいが、無党派から転化した政治不信が、首都圏を軸に新しいステージに入りつつあるのかもしれない。ヒトラーが登場した当初、多くの人は「冗談だ」と思ったという。ドイツ映画『帰って来たヒトラー』(2015)では、現代にタイムスリップしたヒトラーを人々がコスプレ芸人として面白がり、警鐘をならす主人公は精神病棟に拘束される。

 総理がお笑い番組に「サプライズ」出演するように、消費者民主主義では政治も「面白い」か「面白くない」かで消費されていく。これに足をすくわれないだけの立憲民主主義の主体をどう形成するかが、とりわけ首都圏では問われることになる。消費者民主主義の主体基盤から、〝お笑いファシズム〟に向かうか、それとも「私のワガママ」を「みんなのワガママ」として、さらには「私たちの課題」へと共有していく主体性に向かうか。

 幸福実現党は、2009年以来国政を含めて各種の選挙に候補者を立ててきたものの、ことごとく落選。2014年にはじめて富山県内の市議に公認候補が無投票で当選し、今回の統一地方選前には地方議員が22名になっていた。

 幸福実現党は、小規模自治体での下位当選(1000票以下)が多いという。「地方の人口減少(つまり有権者数や投票者数の減少)、立候補者の「なり手不足」による当選倍率の低下。その結果、従来であれば当選しにくい政党の候補者が、組織や人脈により、ほんの少し票を上積みするだけで当選できてしまう『セキュリティーホール』が生まれている。幸福実現党が自民党を中心とする地方の保守人脈との連携によって、それを突いた形だ。
 幸福実現党が強くなったのではなく、地方に『嫌な風』が吹いているということだ。この先もさらに強まる可能性すらある、嫌な風だ」(藤倉善郎 ハーバービジネスオンライン4/25)。

 地方議会のなり手不足は、ますます深刻化している。無投票は過疎地のみならず、埼玉、千葉など首都圏にも広がりつつある。一方で、田園回帰という新しい価値観で移住してきた移住者が、地域の信頼を得て地方議員になる、というケースも出てきている。なり手不足から議会廃止を検討した高知県大川村では、今回定数6に7人が立候補、2人の移住者が新たに当選し、地域の将来をよそものに託した。2人は「変わっていくべきだという住民の意思を感じた。思いを受けとめ貢献したい」と。(毎日4/21)

 政治不信の肥大化がどこへ行き着くか、人口減少時代における民主主義のセキュリティホールはどこに生じ、誰がそれを突いてくるのか。それらに対して、自治の当事者性に立脚した立憲民主主義の主体をどう構築していくのか。こうした攻防も始まっている。

(「日本再生」480号一面より)

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 統一地方選総括

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□第200回 東京・戸田代表を囲む会

統一地方選をふりかえって~地域の課題を共有する場としての選挙への糸口とは

5月12日(日)1300から1700

「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)

会費 同人1000円  購読会員2000円

地方議員会員の報告と討議

コメンテイター 廣瀬克哉・法政大学教授

□第30回 関西政経セミナー

統一地方選をふりかえって~地域の課題を共有する場としての選挙への糸口とは

5月26日(日)1400から

メルバルク京都 4階研修室

会費 1000円

ゲストスピーカー

田中誠太・前八尾市長 越田 謙治郎・川西市長

中小路 健吾・長岡京市長(予定)

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 連休中におすすめの本

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石井としろう(現・西宮市長)著

「古典に学ぶ民主主義の処方箋」

政治の現場で「消費者民主主義」と苦闘しつつ、民主主義をよりよいものにするために

古典をてかがりに思索し、実践する。民主党政権を総括するうえでの基本的な視点、姿勢

についても率直に述べられている。http://toshiro.jp/books-2/

石井氏のインタビューは480号(5/1)に掲載。

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石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

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