メルマガ♯がんばろう、日本! №256(19.11.29)
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「がんばろう、日本!」国民協議会

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Index
□ 「時間かせぎの資本主義」の破局の〝始まりの始まり〟を、
民主主義のイノベーションに向けて転轍しよう

● 民主主義をあきらめない
これは自由と民主主義のための、新しいチャレンジだ
● 民主主義のイノベーションのために、「民主主義の後退」を検証する

□囲む会&望年会のお知らせ
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「時間かせぎの資本主義」の破局の〝始まりの始まり〟を、
民主主義のイノベーションに向けて転轍しよう
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●民主主義をあきらめない
これは自由と民主主義のための、新しいチャレンジだ

国際社会が注視するなかで行われた香港の区議会議員選挙は、過去最高の投票率(71パーセント)で民主派が圧勝した。区議会の権限はきわめて限定されており、雨傘運動の後に行われた区議選でも、投票率は過去最高とはいえ47パーセントだった。今回はそれを24ポイント上回っている。これまでは親中派が無投票で当選していた選挙区も少なくなかったが、今回はほとんどの選挙区で親中派と民主派の一騎打ちとなった。
投票所に長蛇の列を作った市民は、この選挙が(容疑者を中国本土に送ることを可能にする条例の撤回を求める)六月の「反中送」デモから続く民主化運動に対する、香港行政府と警察の苛烈な対応に(さらに言えば、背後にいる北京政府に対して)「ノー」と言うための「住民投票」だと考えていた。

デモは当初、非暴力の運動であることが強調されていた。一部の若者の過激な行動についても、「中国の挑発ではないか」という見方もあった。しかし、雨傘運動の十倍といわれるような催涙弾の容赦ない使用をはじめ、鎮圧は苛烈を極め、「白色テロ」めいた事件も起こるなど、警察の過剰な弾圧と暴力が事態の悪化を招いていると、多くの市民が考えるようになった。
遅きに失したとはいえ行政長官が条例撤回を表明した後も、民主化を求める市民の運動が続き、その五大要求のなかに「警察の暴力や問題行為に対する独立調査委員会を設置する」という項目が含まれていることは、その証左でもあるだろう。

「~運動が始まった時は、2016年と変わらない考え方で暴力や過激な行為には反対だったでしょう。それが、なぜ今暴力的になってしまっているかというと、やはり政府がずっと要求を無視してきたからです。非暴力で平和な方法での抗議活動はあるゆることをしました。しかし、何も変わらなかった。これが一番目の原因」
「二番目の原因は、警察です。彼らが今行っている暴力的な弾圧は、雨傘運動のときを遥かに越えています。そして、警察は7月21日の元朗の時のように、市民に公平ではない。このことは政治にまったく関心のない人にも恐怖を与えました。そして最後は、若者達の信念が香港人の心の中にあった境界線を乗り越えたということです。それで変わったのです」(陳淑荘・立法会議員 論座11/13 清義明より)。

雨傘運動は行政長官の普通選挙という「今はないもの」を求めたのに対して、「反中送」は「今あるもの」が奪われることへの危機感だといわれるが、五大要求はその「境界を乗り越え」たといえるだろう。警察と衝突したり、大学に立てこもる学生たちについて、多くの市民が「彼らも同じ未来のために行動しているのだから」とインタビューに答えている。

「この運動が始まったときに、ひとつ心配なことがありました。それは日本の60年代の全共闘運動のようになるのではないかということです。しかし、香港人の勇気と賢さのために、全共闘運動のようにはなっていない。私たちは日本や韓国の社会運動から、たくさんの教訓を得ました」
「日本の全共闘運動は市民の支持を得られなかったから失敗しました。そのため市民の支持が得られるように尽くし、さらには国際社会にも認められるようにも努力しています。なので、日本の皆さんには、香港の社会運動が決して過激な運動だけではないとわかってほしい。理性的でクリエイティブな活動とラジカルな活動とがお互い補足しているのです」(黎恩灝・民主派団体副代表 同前11/14)。

区議会の権限は限定的だが、今回の選挙結果によって、親中派が多数を占めている行政長官を選出する選挙委員会と立法会での、民主派の比重は大きくなる。2020年秋には立法会選挙が予定されており、行政長官の任期は2022年までだ。
ここから数年は「一国二制度」の命運も含め、香港が「自分たちの未来を決める」ための重要な時期となる。そのためにも、国際社会の連帯がよりいっそう重要になる。
先進国では「民主主義の危機」が叫ばれている。しかし香港は「自分たちのことを自分たちで決める」ための民主を渇望している。そして私たちも、民主主義をあきらめるわけにはいかない。これは自由と民主主義のための、新しいチャレンジだ。

「私たちは、150年間アイデンティティーを剥奪されてきました。かつて私達は身分証を作る時、イギリス人にこう聞かれました。『国籍はどこですか?』。イギリス人だと答えたら違うと言われました。しかし私たちはその時、中国人ですらなかったのです。それでは、私は誰なのか?」
「この運動を『民族主義運動』で説明することを私はしません。でも香港人は自決を得る権利はあると思います。この自決主義を、ナショナリズムではなく、民主、平等と政治的な自由のもとで築くべきです。それが香港人がこれから選ぶべき道です。そして最終的に中国とのつながりを切るのは正しくありませんし、不可能です。香港では、中国にいる肉親や親せきがいる人はたくさんいます。家族は国境線を越えてつながっています。香港と台湾の違いはそれです」(區龍宇・労働運動活動家 同前11/15)。

●民主主義のイノベーションのために、「民主主義の後退」を検証する

今年はベルリンの壁が崩壊してから三十年、天安門事件から三十年でもある。当時は、豊かな社会になれば民主主義が定着すると考えられていたが、経済のグローバル化の結果新たな格差が生まれ、民主的な選挙によって非民主的政治家が選ばれるようにもなっている。一方でこの三十年で飛躍的な成長をとげた中国は、もしかしたら「最も効率的な資本主義」の下での「幸福な監視国家」に向かっているのかもしれない。民主主義と資本主義は、両輪であるとは限らないのかもしれない。

「デモクラシーの基準が満たされれば、その政治制度は半永久的に安定的とみなされた。こうした観点から、民主制の定着は、一方通行だとされた。~中略~民主制の定着がいかなる条件のもとであれば、逆方向に向かうのかといったことについては、さほど考慮されてこなかった」(ヤシャ・モンク「民主主義を救え!」岩波書店)。
「民主制の定着がいかなる条件のもとであれば、逆方向に向かうのか」をとらえ、検証することを通じて、民主主義のイノベーションへの糸口を探るための挑戦の機会へと転轍することが求められている。

「世の中は不公平だ。それ自体は今に始まったことではない。だが昨今の不公平に対する人々の『怒り』が反政府活動に発展する速さと激しさはすさまじい。この数ヶ月、先進国、途上国、あるいは民主主義国、独裁国家を問わず様々な国・地域で抗議活動が繰り広げられている。政策決定者がエリート層を優遇し、自分たちは見捨てられている、という人々の認識が怒りの根底にある」(イアン・ブレマー 日経11/21)

中東ではエジプト、レバノン、イラク、イランなどで経済政策への不満から「アラブの春」以降最大の抗議デモが続いている。イラクのデモは主流派とされるシーア派の足元で起きている。南米では優等生といわれたチリで、地下鉄値上げをきっかけに大規模なデモが広がり、開催予定のAPECは中止、COP25はスペインに変更となった。アルゼンチンでも、緊縮政策に反対する抗議活動が一年以上続いている。
香港の抗議行動の背景にも、一国二制度の下で曲がりなりにもあった自治が奪われる危機感とともに、大量の中国マネーの流入による不動産価格高騰など、生活条件の悪化があるとされる。こうした「怒り」は、フランスで一年前から続いている「黄色いベスト」運動にも共通するだろう。

根本にあるのは、上位1パーセントの富裕層が国民所得の20パーセント超を占めるような格差や、危機を先送りする「時間かせぎの資本主義」が、その格差をさらに拡大しているという問題だ。グローバル化によって、上位1パーセントは(租税回避なども含め)一体化している一方、リーマンショック後の財政で金融を支えるための緊縮政策は、各国の中間層をさらにやせ細らせている。
こうした構造問題を抱えたままの「時間かせぎ」が、いつまで持つのか。その破局を前にして、「今だけ、自分だけ」で逃げ切りを図るのか(自己責任のワナ)、破局に向き合える民主主義を鍛えるのか(財政民主主義、エネルギー自治etc)。

「『債務を付け替えつつ延命する資本主義』というのは、なかなか言い得て妙な言い方ですが。そういうやり方が本当に妥当なのかが、きちんと問われなければならないと思います。またこれは単なる金融問題ではない、私たちの生活に非常に大きなインパクトを及ぼす問題であり、財政民主主義の観点からきちんと検証されるべき問題なのだということを、改めて強調したいと思います」(諸富先生 「囲む会」)

「七〇年代以降、先延ばしの資本主義になっている。延命のための方策を繰り返し、そのツケを次々に回して時間かせぎをしていると。そうなると、この時間かせぎを資本主義の延命のためではなく、資本主義の軌道を転換するためにどう使うか、という問題設定ができるか、ということになります。
例えば気候変動の問題は、地下資源や水、エネルギーあるいは地球そのものを、国際資本の私物化に委ねるのか―その結果、生存空間が狭められている―、それとも「共有」の仕組みをどう作れるか、という問題になっているわけです。
ただこの転換は、単純な制度や政策の変更だけでできるものではない。経済や社会の体系そのものの転換であり、大きなパラダイムシフトですから、そこへの転換―移行のために時間をどう使うか。時間の使い方ということも、従来の発想とはまったく違ってくることになります」(戸田代表 同前)。

民主主義は「急がば回れ」だ。そのためにも賢明な「時間の使い方」が重要になる。
「時間かせぎの資本主義」の破局の〝始まりの始まり〟を、民主主義のイノベーションに向けて転轍しよう。そして安倍政治の〝終わりの始まり〟を、民主主義のイノベーションへの糸口へ。

(「日本再生」487号 一面より)

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囲む会&望年会のお知らせ
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東京
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□望年会
12月14日(土) 1600から「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)
会費 1500円

□第205回 東京・戸田代表を囲む会
「パリとカメルーンで考えたこと」(仮)
1月10日(金) 1845から
ゲストスピーカー 坂井真紀子・東京外国語大学准教授
「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)
同人1000円 購読会員2000円

□第206回 東京・戸田代表を囲む会
「通常国会にむけて 安倍政権とどう対峙するか
~平成デモクラシーをふりかえりつつ」(仮)
1月21日(火) 1845から
ゲストスピーカー 泉健太・衆議院議員(国民民主党)
「がんばろう、日本!」国民協議会 事務所(市ヶ谷)
同人1000円 購読会員2000円

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京都
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□望年会
12月20日(金) コープイン京都

●第一部 1800より 講演 「憲法をどう議論するか」(仮)
ゲストスピーカー 井上武史・関西学院大学教授
参加費 1000円

●第二部 1900より 懇親会
参加費 3500円

□第40回 戸田代表を囲む会in京都
「『地域から考える』とは~京都を例に」(仮)
2月15日(土) 1830から
ゲストスピーカー 岡田知弘・京都大学名誉教授
ハートピア京都 第5会議室
参加費 1000円(学生 500円)


石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

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