2010.10.2 「チーム白川」事務局1497_0
今回は白川議員からの9月議会報告と共に、社会福祉士の橋本哲寿氏から介護現場の状況と課題について話を聞き、討議を行いました。前回と同様にテーマに関心を持った人の初参加があり、熱気のある会となりました。
★ 9月議会報告:白川議員
9月議会で市長提出議案として、①条例の制定・改正案件などの一般議案、②H22年度補正予算案、③H21年度決算議案が審議されたことが報告され、昨年の政権交代から市長選、今年の参院選・民主党代表選を経て大きく変化している社会情勢の中で市議会がどういう状況にあるのかという視点から提起がなされた。

民主党代表選から見えてきた「依存と分配政治」から「自立と分担の政治」への転換
                     
・ 参院選後に国民が厭戦気分(自民党はダメだったが、民主党もダメ)にならず、民主党政権に対して長い目で落ち着いた見方をしていた。そして両陣営共に、候補者個人だけではなくチームとして政策・演説等の対応を行ったので、党員だけでなく国民が政策論議に参加して代表選は注目された。
・ 今回の代表選で初めて政権マニフェストを巡る議論が行われ、双方の違いが国民に見えるようになった。
* 小沢氏:マニフェストは国民との約束であり守るべき・・・ex.子供手当ての満額支給等のために無利子国債を発行することが提案されたが、旧来の税金を分配する自民党的政治と変わらず、1,000兆円の借金を抱えた状態では疑問視される政策であった。
* 菅氏:マニフェストは守るべきではあるが、財源との関係で修正は止むを得ない・・・消費税増税は国民の70%が賛成しているが、何に使うのかが明らかにされず、迷走に繋がった。財政と社会保障の関係について十分な説明が必要である。
・ 代表選の得票結果から、永田町(国会議員)と国民の意識が大きく乖離していたことが浮き彫りになった。

【菅:小沢の得票率】
・ 国会議員   51%:49%
・ 地方議員   59%:41%
・ 党員・サポーター  60%:40%
* 世論調査    70%:16%
(共同通信 H22.8.28)

図表参照(クリックしてください、拡大します)

・ 衆院選で国民は旧来の自民党政権の「分配政治」ではダメだと判断して政権交代を選んだが、参院選では改革に対して迷走を続けた政権にお灸を据えた。国民の政治参加は、旧来の“投票はするが後は白紙委任する”対応から、“国民との約束(マニフェスト)がどのように実行されたのかチェックする”対応に変わったことが、代表選を通じて一層鮮明になった。「依存と分配政治」から「自立と分担の政治」への転換をしていかねばならない。

市長選のマニフェストはどのようにして実行のチェックが行われているか 

・ 昨年10月、越谷の市長選では初めて政策の実行期限を明示したマニフェストが出されたことは高く評価されている。これを如何にして実行していくのかが市長の課題であるが、政策を実現するための実行計画(見積、実施工程表、財源)が市民に明らかにされていない。
* 市立病院の赤字経営の原因である看護師不足解消のために独自の奨学金制度を作る政策はマニフェストの項目であったが、6月議会までは見積、実施工程表、財源がどうなっているのか、明らかではなかった。9月議会でやっと議案として提案された。
* 本来、市長選マニフェストに基いて、議会で所信表明演説が行われ、今後10年間の市政方針となる第4次総合振興計画に繋がるべきと考え、これらの優先順位について質問したが、市長はすべてが優先されるとの回答であり、結局優先順位が決まっていないことが明らかになった。

国政の転換と越谷市議会の課題

・ 地方議会は与党・野党の関係ではなく、選挙で市長を支援した議員も支援しなかった議員も市長が市民と約束したマニフェストをどのように実行していくのか議会でチェックし、市民に報告する役割と責任がある。地方議員は全員が野党の立場に立って点検・検証すべきであるが、現状の議会はそのように動いてはいない。
* 第4次総合振興計画の基本構想が12月議会に提案されるスケジュールで進められている。議決されれば次に具体的な前期5ヶ年の基本計画作成に進むが、これ以降は議会の議決事項にはなっておらず、行政が単独で決めることができるので、市民の意見を反映させるために議会での討議が必要と考えている。
* 2,000億円の負債を抱えた中で新たな事業を行うためには、事業の優先順位を明確にすることが課題であるが、市は事業仕分けを行わず、現在の行政評価を高く評価している。そして議会として事業仕分けを行うことに全会派の合意が得られず、新政クラブとして進めていくことになった。
・ 片山総務大臣が就任し、補助金を廃止して一括交付金化する等の自治分権に向けた政策が促進され、自治体間の格差が広がることが想定される。これに対応できる自治体作りが急務であり、統一地方選の課題である。

★ 介護現場の状況と課題について:橋本哲寿 社会福祉士

【略歴】:関東学園大学経済学部卒 34才。知的障害者入所更正施設に勤務後、H16年社会福祉士資格取得、H19年居宅介護支援事務所「寿」・H21年社会福祉士事務所「寿」を開所、コスモス福祉教育学院講師、越谷市地域自立支援協議会委員。地域活動として越谷ケアマネの会“ひだまり”幹事、桜井地区コミュニティー推進協議会等に従事。
冒頭にゲスト参加したこの機会を通じて、タウンミーティングを85回も続けている白川議員の政治姿勢から学びたいこと、福祉の現場で知的障害者の生き方が制限されていることに疑問を感じたこと、同伴した同僚の大塚氏と共に介護の現場で様々な問題に取り組んでいることが話され、テーマの内容に入った。

措置から契約へ

・ 介護保険制度の施工により、従来、行政府が職権で必要性を判断し、処置を決定するやり方が、利用者が選択できる制度に変更された。ここで判断能力が低下した人(ex.認知症の人)が不利益を受けないように成年後見制度が導入され、補助・補佐・後見が行わるような実質的な改善が課題となっている。

介護保険が何故必要なのか
  
・ 日本社会の高齢化や核家族化の進展により、要介護者を社会全体で支えるためにH12年4月より介護保険制度が導入された。具体的な背景として以下の要因が挙げられる。 
① 高齢者人口の急激な増加:日本は欧米の先進国が100年かかった社会の高齢化に30年の短期間でたどり着いてしまった。1970年に「高齢化社会」、1994年に「高齢社会」、2007年に「超高齢社会」へと進んだ。
② 女性の負担増:介護に携わっている人の85%が女性である。
③ 介護者の高齢化:核家族化の進展により介護者の50%以上が60才以上の高齢者である(老老介護)。
④ 介護期間の長期化:平均寿命が延びて、在宅の寝たきり高齢介護者の半数は介護期間が3年以上である。

介護保険制度の現状と課題

・ 保険対象者:①第1号被保険者(65才以上)、②第2号被保険者(40才から64才まで)となっている。
* ①は介護が必要になった原因は問われないが、②は16種類の原因が指定されている。
・ 財源:税金が50%(国:25%、県:12.5%、市町村:12.5%)、上記①:30%、上記②:20%である。
* 保険対象者の保険料は自治体によって異なる(自治体の保険料収入と経費のバランスで決まる)。
・ 地域包括支援センター:介護事業の運営を担う組織。中学校区基準で設置することになっており、越谷では役所内の地域包括総合支援センターを含めて11ヶ所で行っている。
* 運営協議会:意思決定機関であるが、実質的には行政主導になっており、現場の声が生かされない。
* 地域見守りネットワーク作り:民生委員、自治会長、ボランティア団体等との連携作りが課題である。

質疑応答

Q:制度を有効に機能させるためのルールを作る上で現場の悩みは何か。
A:現場は介護サービスの提供を行うことで精一杯のため、制度を考える余裕がない。介護の質が上がらない仕組みである。安定的な介護サービスを提供する上で、最低賃金のベースアップも重要な課題である。
Q:障害者自立支援法と介護保険は一本化できないか。
A:サービスをチームで行うためにマネージャーの役割が大切だが、現状では障害者に対応するケアマネジャーがいない問題を解決する必要がある。
Q:制度が危ないとのことだが、財源の対応としてどのようなことを考えているのか
A:消費税での対応や、40才以下の人を含めた国民全体で負担することも考えられる。

★ 全体まとめ―白川議員より―

市民参加が必要だと誰もが言うが、市政の重要な計画がコンサル会社に丸投げされていること、現場のルールを役所が決めている現実があり、パブリックコメントを出しても何も変わらない。議員の意見が1/32でしかない現状を変えて、議員が市民の意見を集約するシステムを作らなければならない。情報公開と市民参加は一対のものであり、そのための取り組みが必要である。