2010.12.1. 「チーム白川」事務局

今回は白川議員から12月議会提出議案について、ゲストスピーカーの服部正一氏から越谷市の防災対策について話を聞き、活発な質疑応答と討議が行われました。市民の政治参加が一歩前進した会となりました。

★ 12月議会提出議案の事前説明と検討:白川議員

・ 11月30日から12月議会が始まる。市議に対しては事前に議案説明が行われる。定例議会前のタウンミーティングで、その議案を事前に市民に説明して、討議を行い議会に臨んでいる。本来は議会として市民に事前説明し、質疑・討議を経て議会が行われるべきだが、議会全体はこうなっておらず、唯一今年の3月議会の前に桜井地区市政報告会で、今年度予算案について市民に事前説明を行ったことがある。そして、議会で審議された結果が市民に報告された。市民参加を実現するためには、議会と市民が政策に対してこのような緊張関係を作る必要があり、議員が支援者・後援会の人に対して自分の手柄話をしているだけでは、市民参加は深まらない(議員と市民の関係について、例えば問責決議を受けた柳田法相の発言は、後援者に対して話されたものであるが、後援者の誰かがその発言はまずいと進言するような相互の緊張関係作りが必要であった)。

第4次総合振興計画・基本構想

・ 来年度から始まる越谷市の10年間のまちづくりに関するビジョン・理念を決める、第4次総合振興計画・基本構想が議案提出される。「基本構想」が決まれば、これに基き前期5年・後期5年の「基本計画」が作成され、3年毎の「実施計画」の作成、「年度予算」の作成という手順で越谷市の事業が進められる。「基本構想」のみが議決事項であり、「基本計画」以降は行政の裁量に任せられているため、非常に重要な決定事項である。
・ 議会では特別委員会を設置して取り組み、12月議会で2日間の議論を行って採決の予定である。しかしこれまで、議員個人としての市民の意見集約は行われているものの、議会としての市民の意見集約が行われておらず、その必要性に対する議員側の意識が弱いことが問題である。
・ 市長は市のホームページに「基本構想」を掲載し、9/1~9/30の間市民からのパブリックコメントを募ってきた。14名のコメント提出があり、部分的には修正されたが、根幹に関わる所は変わっていない。

市職員定数の改正

・ 部設置条例の改正により、職員数:2,095名が74名増員され、2,169名となる。市立病院は看護師の増員等により57名増員となる。
・ 議会事務局の定数:14名は変わらず、組織の位置付けも部の下の局のままである。二元代表制の片方としての議会が政策立案や調査の機能を発揮するためには、この部署の増員を図り、位置付けを部に上げる必要がある。そのためにも議員の質を上げることが問われている。

指定管理者の指定改正

・ 市の施設の運営を民間に委託している契約期限(5年間)が終了するため、新たな契約が行われる。中央市民会館、花田苑等市の主要施設は公募であるが、市の第3セクターである施設管理公社が一手に受注しているのが現状である。
・ 交流館は随意契約になっている。事業仕分けでも明らかになったが、施設の貸出し業務に特化したような運営になっている。稼働率を上げて収入を増やすことと光熱費等のランニングコスト、人件費を含めた運営費の削減を図り、合理的な事業運営が求められている。

質疑応答

Q:越谷市の借金が約2,000億円あり、年間10~20億円の返済額では借金返済に長期間を要し、後の世代の負担が多大となるため世代間の不公平感があるが、議会はどう考えているのか。

A:人口減少が進んでおり、特に労働人口の減少が著しい。越谷市は年間50億円以上の借金はしない方針で運営されているが、50年後に借金をゼロにするという計画になってはいない。その理由について市は子供の世代も借金分のサービスを受けるためと言っているが、子供の世代は選挙で投票できない。従って大人の世代が本気で取り組む以外に解決の道はない。借金を減らすことを含めて、どの事業にいくら税金を使うのかということが問われている。事業仕分けでも明らかになっているが、右肩上がりの「あれも・これも」の習慣を断ち切っていかなければならない。選挙の時にそのことをはっきり言って臨む候補者がどれだけいるのかということにな る。選挙後に32人の議員の中にこのような改革を目指す議員が10人いれば、事態の改善に向かうことができると思う。

Q:そのために、市民の側がどうすれば変えることに繋がるのか。

A:事業仕分けを行ったことではっきりしたが、市民の多くは「税金がそのように使われていたことを知らなかった。知れば考えることがある。」と言っている。ここに情報公開の意味があり、議員だけの枠では変えることが出来ないことが、市民との関係を起爆剤にして変えることに繋がる可能性が出て来る。

Q:市は50億円以上の借金をせず、細々と返却するという方針だが、民間企業であれば逆に50億円を一気に投資して、そこから利益を生む事業を進めてきた。議会としてはどう考えているのか。

A:50億円以上の借金をしないということは、条例で決まっているのではなく、個別の議案に対する予算措置の積み上げの結果、合計で借金が50億円を越えないということである。個別案件の借金額を議会で減額修正すれば、変えることができるのだが、私を含めて議会ではそのような修正対応を行ってこなかったため、市の方針通りになっている。従って、ひとつは借金するかどうかを含めてその事業にいくら税金を使うかを吟味することが重要である。もう一つは右肩上がりの時代の習性で補助金を貰うことを目的にしてきたやり方を変えなければならない。そして、越谷市の市税収入をいかにして上げるかに取り組むことである。市税を上げるためには市民の所得が上がる必要があり、そのための産業政策・地域興しが重要な課題である。例えば流山市では、育児・環境・教育等のまちづくり方針に安心感を持った子育て世代の流入で税収が上がり、自立的な財源確保に寄与している。この議論に議会が入らなければならない。

Q:給食センターの収入改善策として、福祉施設に配膳する案が出されたが、今ある設備を使って収入を上げる方法を考えていくべきではないか。

A:町興し、村興しは従来の一村一品運動も大切だが、複合的なネットワークが大きな要因になっている。例えば愛知県のコウノトリが飛んでくる村で、その環境を作るために水田を無農薬に変えた。子供達がエコ運動を始めて、地元で取れた米を自分達の給食にという議論が起こった。このような町が今、修学旅行の行き先として人気を集めている。過疎地であり観光地としては何もないが、そこに暮らす人の知恵や人材が注目されている。
明治維新がそうだったが、社会の変革は田舎から始まる。越谷も都心に比べれば田舎だが、農業試験場を持っている市は越谷以外に殆どない。越谷の農業技術が高かった故に出来たのであり、この財産をもう一度掘り起こしてみたいと考えている。

★ 越谷市の防災対策の現状と問題点について:服部正一 防災士

【略歴】:東京都立大学法学部政治学科卒 45才。S62年安田信託銀行(現・みずほ銀行)入社。越谷ユネスコ協会理事、越谷市演芸協会(落語)、越谷市国際交流協会、NPO法人さいたま国民を守る会等で活動。H21年越谷市長選に出馬するも落選。H23年統一地方選に向けて充電中。

防災活動への取り組み経緯

・ 銀行の子会社で人事部長職の時、首都直下型地震が起きた時に社員をどうやって安全に帰宅させるかに取り組んだ。自助・共助・公助のあり方を考える中で、地域共同体のあり方や地方自治体・国のあり方に繋がる問題であることからライフワークとして取り組むことを決意した。そして、越谷市長選に立候補し防災の観点からまちづくりの政策を訴えた。

防災活動の意義

・ 防災の話をすると、日常の生活(家計・雇用等)が大変だという理由で引いてしまう人が多いが、狭い意味の防災に終らせてはならず、日常生活を豊かに行うために市民が自分で何をしなければならないのかを考えるきっかけになり、地域での連携・絆を強める手段の一つである。
・ 地域で起きている防犯・介護・育児等の問題が顕在化するのは、当事者が孤立していることに原因がある。誰かがSOSを発した時にそれを受け取ることができる自治会等のコミュニティーが必要であり、その意味での地域力をつけることに防災活動の意義がある。

自助・共助・公助=7:2:1

1)自助:公助に対する期待感は強いが、阪神大震災等の経験から、生き残る条件の70%は自助努力によるものである。それを実現するために二つの課題への取り組みが求められる。

① リスク回避を日頃から実践する:非常時に備えて、水・笛(居場所を伝える)・ペンライト(明かり)を常時携帯する。
② 自らの限界を認識する:例えば、会社から徒歩で自宅まで帰宅する訓練を行うと、自分の体力の限界を知ることができる。そして、2時間歩けばどこからどこまで行けるということが体感で分かる。

2)共助:基本は自治会・企業との関係作り。NPOとの連携。阪神大震災の救出者の85%は一般住民が救出した。しかし、地元の煩わしいことに関わりたくないという理由で、自治会の不参加者が多いことが課題である。

3)公助:早くて3日後に来るものと覚悟すべき。それまでを自助・共助で持ちこたえる必要がある。自治体における危機管理のノウハウの有無が地域の格差に繋がる。

現状の問題点・提言

・ 首長の意識向上
* 自衛隊への距離感を無くすること。距離感のために対応が遅れた事例あり。
* 最悪事態対応への共通認識を持つ。行政の過剰対応に市民の批判が来るため、対応を躊躇しがちであるが、平時から最悪事態を想定した対応策を準備しておき、不要の場合に止める判断を行う。

・ 形式主義の弊害改善、実践的なマニュアルの運用を図る
* 防災組織を作った時に、平日地元にいる人で構成されているかどうか確認を要する。
* マニュアルが実際に役立つようになっているか、責任逃れのものになっていないか確認を要する。

・ 防災センターの整備(市長選の政策として掲げた)
* 防災機能を集約する中継基地として越谷に設置し、周辺の市を含めた広域利用を図る(政令指定都市構想の一環)。

質疑応答

Q:市議選に向けた政治のメッセージはどのようなものか。市長選と違いはあるのか。

A:防災は地域力を高める切り口と考えており、そこに市民が参加する雰囲気作りを行いたい。相模地区はレイクタウンによる交通量の増加や犯罪の増加という生活の安全確保に関わる問題が発生している。まちづくりのグランドデザインを示すことによって、解決を目指したい。市長選の時は市全体の構想を考えていたが、今は地域の活動に主眼を置いている。

Q:自治会への不参加者が多いことは、災害時に助けが必要な人の情報が入らない状況になっている。自治会とは別に防災組織を作るべきかどうか。

A:既存の自治会のネットワークをベースにした方が実際に機能すると考えている。

Q:災害時に戦力になるのは若い人だが、その人達が自治会に入るためにどうすればよいのか。

A:自治会の会報を作り、子供の誕生や訃報を載せて関心を持ってもらうようにしている。餅つき大会への参加を、PTA組織をフル活用して募り、参加者が増えてきた。関心を持つ機会を作ることが自治会や自治体の役割であり、諦めないでやっていくことが必要である。

Q:財源問題の解決方法として、政令指定都市を目指すという方向が出されたが、市民債を募るという方法も考えられるのではないか。

A:県並みの責任と権限が与えられる政令指定都市は、広域的な課題に対応する方法の一つの手段である。限りある財源をどこに集中的に使うかは、誰が市長になっても事業仕分けを行って取り組むべき課題であると思う。

Q:防災対策にはお金があればできることがあるが、国も自治体も財源がない中では政令指定都市になってもお金がついてこないのではないか。

A:指摘の通りの問題があり、地域力というソフトの力をつけて対応することが重要な課題である。

★ 全体まとめ―白川議員より―

防災活動にはあらゆる観点からの人間関係が反映される。右肩上がりの時代は、自治会も子供を中心にして拡大していった人間関係の中で活動の問題が解決されていたが、現在は簡単に解決できない課題が多い。
第4次総合振興計画が12月議会に議案提出されることを話したが、この中に防災計画が書かれている。この構想で良いのか、行政・議会・市民の間で合意を作っていく必要がある。今日は防災という分野からまちづくりについて議論したが、どういう事業を行うのか、どれだけお金を使うのかの議論を積み重ねていき、そこから自治会のあり方を振り返って考えていくことが効率的なやり方だと思う。