第94回タウンミーティング報告

              2011.8.11                             「チーム白川」事務局

 今回のタウンミーティングは6月議会で請願を提出した「5年後10年後子どもたちが健やかに育つ会・越谷」代表の加藤真紀さんをゲストに迎え、場所を越谷中央市民会館に移して開催されました。過去最高の23名の参加人数(近隣市の育つ会からも参加)で、司会は事務局・岡田が担当しました。スピーチでは「子どもたちを放射能汚染から守るために、先ず自分達で出来ることは自分達で行い、出来ない所は市や国に対応してもらうというものであり、そのために双方向の対話によるコミュニケーションを図り合意形成を行う方法を取ったこと、そして、一人が100歩進むより、100人が1歩進んだ方が、世の中が変わるというスタンスで行動したこと」が語られ、市民のまちづくりへの参加を促すものとなりました。

★ 越谷市議会に子供たちへの放射能対策についての請願を出して: 加藤真紀 代表

3,11震災後、放射能汚染の危機を感じて

・震災後福島原発の爆発の際はTVを見ていて何となく嫌だなという感覚だった。

友人から「放射能汚染で危ないから静岡以西に避難して」という電話をもらい、しばらく子供たちをつれて避難していたが、テレビでの情報とインターネットでの情報が全く違うので不安だった。4月に学校が始まるので戻った。

・連絡帳で「放射能の事がはっきりするまで外での体育は見学させて欲しい」と担任の先生に書くと「事が大きすぎるので校長に話して欲しい」ということで校長と話をした。校長からは「見学は構わないが、自分の小学校だけ違うことは出来ない」、そして「放射能の測定をしてください」に対しては、「私では権限がないので市に言って欲しい」ということで市長にメールするが返事はない。知り合いの議員にメールを出すが、選挙が始まっていることもあって返事は来なかった。もともと自然育児友の会のお茶会を月1回行っている中で、4月末自然に話題が放射能のことになった。

5月放射能計測から請願提出まで

・市長から来た返事は、「計測はするが、いつからかは今すぐ返事は出来ない」というもの。

・ネットでガイガーカウンターを持っている人を探したところ、いろんな人とのつながりや助け合いの精神が発揮されて借りることが出来た。保育園の保護者会で計測の話をすると他の方から牛乳を飲ませたくないとの発言がある。小学校のPTA総会で計測を訴え、2日後許可が下りる。小学校の汚染マップレポートの作成→校長から教育委員会に提出→対策を検討してもらう。

・放射能計測の活動は同時多発的にいろんなところで始まっていて、野呂美加さん(NPO法人チェルノブイリのかけはし代表)の講演で越谷の方がいると連絡があった。Twitterでさいたま市での活動のお誘いを発見し、さいたま市の集まりに参加、越谷在住の4人の方と出会い、越谷市でも同会を立ち上げることを決める。

・5月末、前述のお茶会の前日に議員から連絡がある。お茶会に来た方に会の立ち上げを伝える。会では堰を切ったように生活不安や汚染の実態を皆さんが話し始めて、会としては自然な流れで議会に請願を出すことになった(また、現場の担当課や保育園などは、こと放射能汚染に関しての即時対応には否定的であり「これは請願を出すしかない」ということで請願提出となった)。請願作成中に他自冶体の動きが後押しし、市の対応がどんどん変化していった。6月議会で放射能汚染の件で5人の議員が質問をするなど、議会の動きと連動して請願書を作成した。全国に同時多発的に子供たちを守りたい親たちの会ができた。

6月請願提出から本会議での採択まで

・議員に放射能汚染についてすべての内容を知ってもらうために計17ページに亘る資料を作成し、請願前に各会派(紹介議員)に挨拶と説明を行い、意見を聞いて議会で通りやすい内容に変更を加えながら請願書を作成していった。

・請願内容としては、①放射線量の計測(地上5センチ、50センチ、1メートル)と土壌検査の実施、②給食に放射能汚染の疑いがある食材を使用しないように関係各所への指示と牛乳の不飲、弁当・水筒持参したい旨を通達したときの許可、③学校での生活、活動(些細なことでも校長の判断では変えられないことが多い)における注意の呼びかけの3点に絞った。

・しかし常任委員会では「風評被害」を理由に『趣旨採択』(請願者の気持ちは汲むけれど、議会としては責任を持って市長にそれを要望はしないというもの)となった。ここで、紹介議員のいる会派の議員が『趣旨採択』に加わる事態が起きた。

・そこから作戦を練った。まずTwitterで議会の情報を流した。更に議員に個別に電話して意見を聞いた。趣旨採択の動議を出した議員には本人ではなく奥さんやお嬢さんに質問して見ようとの提案があり、実行した。会派の幹事長や代表には組織としての考え方を質問した。

・本会議では圧倒的多数で請願が採択された。請願が通った後、市長・教育長への要望をまとめた。同時にこの請願の前に出された自然エネルギーへの転換(市から国への提言)の請願も本会議では採択された。

・誰かが何かをしてくれるだろうと待っていたら子供たちが被爆をしてしまう。数値が高いとか低いではなくて汚染があることがはっきりしているので掃除をしてほしい。その際に市が全部それをやるのは不可能なので、私達が自主的にやる活動を阻害せず助けることを市がやってもらいたい。

・全国でこうした会が立ち上がっている。埼玉でも春日部市、さいたま市、所沢市にある。県議会にも署名を2ヶ月で1万名以上集めて要望書を提出した。又子供全国ネットが発足し全国の活動がつながっている。講演会も企画しており9月11日(市の後援を取得)、11月26日に開催する。

白川議員のコメント

● 趣旨採択について:今回委員会で趣旨採択された請願が本会議でひっくり返され採択となった。これは初めてのこと。理由は趣旨採択から本会議までの5日間の間、会のメンバーの皆さんの議員への電話等を行った行動が相当効いている。背景として3,11以降の市民の意識の変化に応えないとまずいという雰囲気があった.

● 行動原理が変わってきたことについて:旧来の請願や陳情の流れは、市民→自治会長→議員というものだった。今回自分と同じ考えの人が行動を起こしそれが複合的にネットワークでつながったという報告があった。自分で出来ることは自分で、自分で解決できないことは隣近所の力で、それでも出来ないことだけを行政や政治によって解決していくという行動原理は今までなかったことだ。

● 今回参加した会の副代表の方が「請願が通った後、校長が急に態度を変えて測定するようになった」と言ったように、校長等は保護者が現場に来て測定することに様々の理由をつけてものすごく抵抗するものである。それが変わったというのは上からの指示というより、現場の校長と保護者との力関係が変わった

ということであり、現場の働きかけというのはものすごく重要なことである。

質疑・応答

Q:資料を見ると測定をやっている学校とやってない学校の不均衡があるが、市が共通のスタンダードの基準を示してならしていくべきではないか。

A:直接にかかわっている人たちが(たとえばPTA等)当事者意識を持って測定等に取り組んで行く事が重要である。

Q:汚染源がどうなっているかという点に関して。私たちの生活の源という点を考えると、水道(下水道)、ごみ焼却場などの放射能測定が有効と考えられるが、越谷ではどのようになされているのか。

A:右肩上がりの時代では大量生産・大量消費の物質的豊かさを追い求めた。核で一番問題になっているのは核の処理という問題。私達のライフスタイルを、ものを使って消費をするというところから廃棄するところまで責任を持つという風に変えていかなければならない。先ほどの報告で「不便だけど安心安全の方が良い」といわれた。こうした価値観は今までなかったことである。

ごみ焼却場での堆肥用の枯れ草の処理に関しても基準値の40倍の放射線値が出て、搬入が止まっており、下水道の汚泥(県の公社がやっている)に関しても処理が止まり一時保管をしている。さらに問題はそうしたことを市民に情報開示していないことである。まさに下水、ごみ焼却などの最終処理をどうするのかということが目の前で突きつけられている。

他に、会としての情報収集の方法・情報公開の範囲や、同じ趣旨を持つ会の横の連携などについての質疑が行われた。

まとめのコメント

・3,11震災で行政機構が全く停止している時に何が残っているのだろうか。財産も家もなくなってそれでも自分たちが立ち上がるのは、共同体の絆や故郷に対する思いではないだろうか。地域共同体が立ち上がろうとしている時に、政府は何をすべきなのかという風に発想を変えていかなければならない。

・その地域共同体をどう作っていくのか。水道・エネルギー・流通・食糧等を循環型に変えていくことである。右肩上がりの時、これらは中央(東京)一極に向かって作られていた。震災後は、自冶分権の基礎の上で地域再生・日本再生が語られるようになった。従って、そこでの市民と行政・議会との向き合い方も、今日の報告にあるように、一方的に要求したり、意見の違いで相手を吊るし上げるのではなく、「実際はこうなっています、問題解決のために具体的に出来ることから始めましょう」という双方向の合意形成を促進する協議になっている。

・今日のスピーチでも見られたように市民の新たな希求は始まっている。その時、地方議会(議員)がどう対応していくのかは、各地域の市政報告会や政経セミナーで見られたように、議会の情報を公開して、議員と市民とのオープンな協議を促進するよう取り組んでいくことである。そして、未来の子どもたちのために、今、私達が責任を持って行動を起こしていくことが求められている。

                                   以上