第102回タウンミーティング報告(3月24日)

■ 3月議会報告:白川議員
―3.11以降の平成24年度予算案と審議を通して、何が越谷に欠けているのか―
1. 予算案の審議過程と議決結果 
・市長の施政方針に基づき予算案が作成され、議会に提案された。3月議会では一般質問が制限され、6会派の代表者が市長の施政方針をどのように受け止めたか、という観点でそれぞれ代表質問を行い、5日間の予算特別委員会の審議を経て、本会議で一般会計:820億円、特別会計:621億円、病院会計:113億円、合計:1,554億円の予算案が可決された。
2. 予算案の特徴 
・予算総額:1,554億円は、過去最大規模のものである。
・歳入:個人市民税が税額の控除廃止により微増したが、全体としては昨年とほぼ同じレベルである。
・歳出:①福祉予算の増加が顕著である。一般会計の40%を占める民生費(332億円)が13.5億円増加した。特別会計の54%を占める国民健康保険(333.5億円)が23.5億円増加、同じく19%を占める介護保険が13.7億円、4%を占める後期高齢者医療が3.3億円増加した。そのため一般会計からそれぞれ18.3億円、18.8億円、4.6億円が繰り入れされた。②新規事業として30事業、16.6億円が計上された。③減額されたものは土木費:14.8億円、総務費:8.6億円、労働費:3億円等である。
・全体:少子化・高齢化が進むため、歳出が増大して、歳入が増えない構造は変わらないため、歳入の不足分は財政調整基金を18億円取り崩すことや、臨時財政対策債を41億円によって歳出との辻褄合わせを行った予算である。歳出を減らす努力、歳入を増やす方策に対して有効な手段が見いだされていない。
3.予算案議決結果の背景 
・“予算はつけるもの・取って来るもの”という市民の意識:右肩上がりの時代の習慣が市民の中にあり、右肩下がりの時代になっても変わらず、歳入に応じた歳出を考えるような意識の転換がなされていない。市民の意識と乖離した政治家はいなく、このような意識の市民から選ばれた市長も市会議員も市民の意識を反映するのは当然である。その結果、国・自治体等の借金は国が1,040兆円、自治体が200兆円、社会保障関連で300兆円、合計1,500兆円の借金を抱え込んでいることに繋がっている。
・「経済改革は行うが、開放はしたくない」/北朝鮮政府の本質:昨日「がんばろう」の会で、北朝鮮が上記の考え方であるという話を聞いた。社会を変える必要があるが、自分を変えることはしたくない、自分が持っている既得権は捨てないというものである。我々にも同じ側面がある。時代が変わった時に、自分の生き方や価値観を変えなければ変化に対応できないが、今のわが国はそのような習慣がない状態で強制的に転換を強いられており、大変難しい場面に直面している。国の予算は40兆円の税入で90兆円の支出をしており、家計に置き換えれば40万円の収入で90万円の生活をしていることであり、そのようなことは許されない。国の予算に対しても、越谷市の予算に対しても、これはおかしいと言う市民が出てこなければ問題は解決しない。
・今日聞いた話を他の人に伝えて欲しい:いい話を聞いて分かったつもりでいても、人に話してみた時に本当に分かっていないことに気付くことが起きる。人に伝えるためには自分の考えを整理することが不可欠であり、そのことが当事者意識を持つことに繋がるので、是非挑戦して欲しい。次に行うディベートはそのような訓練として行う。

■ ディベート―参加者が2班に分かれて討論を行う
テーマ:原発を『今すぐ停止すべき』か『順次・段階的に停止すべき』か
● 2班に分かれて最初にグループ内討議を行い、各班がどのような主張をするのか代表者が班の意見を発表し、その後全体討議を行った。議論が脇道にそれないよう歯止めをかけ、参加者が相手の意見に耳を傾け、当事者意識を持って発言し討議が進むように、運営の工夫がなされた。
『今すぐ停止すべき』班の意見概要 
・3.11は我々が想定できなかった事故であり、原子力の平和利用は人類にメリットをもたらすと考えて推進してきたが、そうではないことが明らかになった。放射能の拡散、放射性廃棄物の処理というリスクを体験した結果、停止するのは早い方が良い。
・グローバルの視点から見ると、近隣諸国にとって放射能汚染問題は日本が緊急に解決しなければならない問題であるが、
・ピーク電力不足の問題が、即時に停止できない論調を支持するが、政府・電力会社が納得できる数値を示していないので、昨年、夏場のピークを停電なしで乗り切った実績を基に、これからは自分たちの責任でリスクを背負って即時停止の判断をする。
『順次・段階的に停止すべき』班の意見概要 
・原発は日本の産業を支えるインフラとして構造的に組み込まれており、余裕のない電源対応は産業界や市民生活にディメリットをもたらすため、避けるべき。
・もし、原発を停止して国民に夏場の節電対応を求めた時に、簡単に結論が出ないと考えられ、急激な停止は混乱をきたす。
・原発で働く人の雇用の問題や地域の行政対応があり、これまで培った地域の絆が失われる。
・日本のような地震国に原発を設置するのと、岩盤がしっかりしており、地震災害のリスクが低い地域への輸出はあるので、今回の教訓を生かす上で継続的な検証の必要がある。

● 討議による論点整理
・雇用の問題では、原発に従事する人の生活を守ることは必要だが、第二次大戦時にこれからの戦争が戦艦から航空機の時代に入ることを知りながら、戦艦で働く水兵を失業させるのは忍びないとして大和・武蔵等の戦艦を作り続けて敗戦に至った失敗と重なり、同じ誤りに繋がる。
・戦後、不況になると景気対策として公共事業に税金を使い雇用対策を行って来たが、そこに使った税金は、建築労働者の既得権を守る役割しか果たさず、新しい時代の産業(環境、福祉等)育成に寄与せず、借金として残っただけである。
● 合意点とまとめ
・日本に新規で原発を作ることがないことは両者で共有事項。但し、輸出はあり得る。
・原発が安全であり、安価でクリーンであるという評価について、市民がその判断・評価を白紙委任してきたことを改めるべきことは両者で共有できる。
・原発の建設は政府が方針を出すが、最終的な誘致は自治体の市長と議会が決定する。その決定に市民がどれだけ主体的に参加してきたのかにより、責任や当事者意識が変わることが3.11以降の動きの中で見えてきた。
・エネルギー政策は産業政策と関係するので自治体だけで決めるわけにはいかず、自然エネルギー、石油、ガス等の多様な選択肢と環境、コストの制約の中で決定されるが、石油・ガスの場合は国際情勢に左右されることになる(例えばホルムズ海峡封鎖)。自治体のエネルギーに関してもグローバリズムを視野に入れた政策決定が求められることが、3.11を通じて明らかになった。