メルマガ♯がんばろう、日本!         №172(12.12.28)

━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━

「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

==================================

▼Index 

□「依存と分配」の復活の道の上手なたたみ方

 「負の再分配」への道の上手な立ち上げ方

●“魔法の杖”も“坂の上の雲”も、もはやない。

「憂鬱な圧勝」から始まった「負の再分配」の時代

●「依存と分配」の復活による政治の安定か、

「負の再分配」の合意形成による政治の安定か

□新春特別シンポジウムのお知らせ

==================================

●“魔法の杖”も“坂の上の雲”も、もはやない。

「憂鬱な圧勝」から始まった「負の再分配」の時代

第46回総選挙は当初からの予想どおり、自民党圧勝、民主党惨敗で終わった。自公は参院での否決を覆すことができる、衆院の三分の二を上回る議席を得て、「ねじれ」も解消できる。

とはいえ、05年郵政選挙、09年政権交代のような高揚感、期待感とは程遠い。「失われた20年」の負の遺産、少子高齢化(労働人口の急激な減少)、Gゼロといわれる国際政治のパワーシフトと北東アジアの緊張、世界同時財政恐慌といわれるような不安定なマーケットの動向、そして前例のない復興と原発事故の後始末…。野田政権が難儀した宿題は、そのまま自民党・安倍政権に引き継がれる。右肩上がりの時代の政権運営の経験では対応できない難題ばかりだ。

自民党の比例での得票は下野した09年よりも減っている。政党乱立の結果、自民は小選挙区で43%の得票で79%の議席を獲得し、民主は23%の得票でも議席は9%にとどまった。圧勝したものの、選挙中に自ら高めた期待に応えることができなければ、短気なマーケットからはすぐに反動が返ってくる。しかし「魔法の杖」などないことは、「失われた20年」でもはや明らかだ。

民主党には、その存在意義が根底から問われる。政権交代という「坂の上の雲」は、もはやない。「負の再分配」の時代のはじめての政権運営という経験を財産に、30年後、あるいは(高齢化のピークを迎える)40年後の持続可能性から現在を規定する、という責任性や胆力なくしては、解党的出直しには耐えられないだろう。

投票率は前回より10ポイント近く低下し、戦後最低を記録した。また無効票が二百万票を超えて過去最多となり、なかでも白票の割合が大幅に増えている。ここに有権者の“悩み”“憂鬱”が見て取れる。

09年政権交代の意義は、「世界第二の経済大国幻想」を前提とした粉飾決算をやめ、「本当は日本がどうなっており、どうなりうるか」という21世紀の新しい現実と向き合う目線を共有することにあった。その三年余りの評価は、「民主もダメ」「でも政権交代には意味があった」というところだろう。

民主党政権の惨状にもかかわらず、「でも政権交代には意味があった」といいうるとすれば、それは右肩上がりの惰性で肥大化しきったこの国と社会を、どのようにして持続可能なものへと転換していくか、そのプロセスにおける上手な「たたみ方」「立ち上げ方」という実践課題が、とにもかくにも見えてきた、といいうる立場以外にはないだろう。

原発・エネルギー問題は、この「たたみ方」「立ち上げ方」という問題を、多くの国民に実践的に意識させた。そして三党合意は、「利益の再分配」から「負の再分配」へと政治の役割が転換せざるをえないときの、「たたみ方」「立ち上げ方」の最初の関門となるはずであった。

ようやくマニフェストや公約に、「何をあきらめるか」「負の再分配」を求める有権者は芽生えはじめてきたが(受益者市民から負担者市民、主権者市民へ)、残念ながら候補者や政党には、それを正面から問いかけたものはほとんどいなかった。「たたみ方」「立ち上げ方」という新しいマネジメントは、主権者のなかでは実践課題となりつつあるが(今号「一灯照隅」参照)、永田町ではかすりもしなかった。それとともに、三党合意はあいまいになる。

それでも有権者の選択で、ひとつだけ明確になっていることがある。「負の再分配」で最も重要なことは「公正」だ。それは参加と合意形成によってこそ、担保される。利益の再分配なら、分捕り合戦でも「寄こせ、寄こせ」でも参加できるが、それでは「負の再分配」の合意形成には参加できないどころか、全面拒否やちゃぶ台返しにしかならない。そういう政治勢力は永田町でも少数派になった。共産、社民、未来の得票は、そのことを表しているといえる。

圧勝した自民党のなかにも、「寄こせ、寄こせ」が少なからず紛れ込んでいる。民主党が難儀した負の再分配をめぐる合意形成が、今度は自民党に問われることになる。ここで分捕り合戦に先祖帰りすれば、先の展望はない。

「負の再分配」はもはや避けられない、そのことはうすうす分かりつつ、しかし未だ正面から向き合うことを恐れたまま、それでも否応なしにふりかかってくる難題に立ち向かわなければならない。そういうステージが始まった。税と社会保障をはじめ危機的な財政、原発・エネルギー、TPP、北東アジアでの新たな立ち位置など、野田政権から安倍政権に引き継がれる21世紀の難題は、政権の宿題であるとともに、私たち国民の宿題でもあるのだから。

受益者市民の鬱憤晴らしからは卒業しつつあるが、経営者市民、主権者市民の政治空間は(国政レベルでは)未だならず(自治では点在)、という過渡期―それが第46回総選挙の風景だろう。ここから「たたみ方」「立ち上げ方」という新しいマネジメントを、どう実践的に深めていくか。参院選はその最初の試金石となるはずだ。

●「依存と分配」の復活による政治の安定か、

「負の再分配」の合意形成による政治の安定か

誰が、どの政党が政権に就こうと、「負の再分配」はもはや避けられない。「まず景気対策」という発想そのものが、少子高齢化(労働人口の急激な減少)、Gゼロといわれる国際政治のパワーシフトと北東アジアの緊張、リーマンショック後さらに顕著となった世界同時財政恐慌といわれるような不安定なマーケットの動向などが、視野に入っていないといわざるを得ない。「世界第二の経済大国幻想」をひきずったまま「危機突破」を叫んでも、モルヒネが切れた後には、(先送りした分だけ)21世紀の現実がさらに厳しさを増すだろう。モルヒネが有効なのは、構造転換の痛みを緩和できるときだけだ。

2030年の日本社会(高齢化率30%超)と、わが国をとりまく国際環境(相対的地位の低下は不可避)をしかと見据え、このなかで「課題先進国」としての位置取りが可能となるような方向転換・構造転換を図るには、「たたみ方」「立ち上げ方」という移行プロセスのマネジメントが急務である。

総選挙から七ヶ月後の参院選で、本格的な政治の安定が問われることになる。必要とされる「政治の安定」は、依存と分配の復活ではない。「負の再分配」という役割を担いうる政治の安定だ。依存と分配の復活への道をいかにたたみ、「負の再分配」への道を立ち上げるか。それが参院選にむけた攻防にほかならない。

この点で重要な試金石となるのが、三党合意の確実な実行である。繰り返せば、三党合意とは①消費税増税と社会保障改革 ②赤字国債発行法の三年間の成立 ③衆院定数是正である。この背景にあった「次世代にこれ以上ツケを回さない」という政治意思が、あいまいにされてはならない。

①消費増税と社会保障改革 安倍総理は、デフレが続けば消費増税は実施できないとの立場だが、消費増税の先延ばしが日本国債の信認に与える影響は小さくない。下手をすれば、アベノミクスのマジックは簡単に吹っ飛ぶ。リフレ政策の効果は短期的なものに限定される。産業構造の転換、そのスピード、少子高齢化といった構造的変化への対応(社会保障改革の本質はここにある)と、財政健全化などの本質的な課題を先送りすべきではない。消費増税はその一歩にほかならない。

また財政規律を働かせるうえで必要なことは、情報公開によって国民の目が届き、政治家も官僚も説明責任を負わざるを得ない、ということだ。その意味で、事業仕分けを継続するのか、事業評価シートとその公開を継続するのかも、重要な試金石だ。

②三党合意によって、赤字国債発行が「ねじれ」国会で与野党の駆け引きに使われることは、少なくとも三年間はなくなった。これは財政健全化と財政規律についての、まともな合意ないし制度化にむけた猶予期間にほかならない。逆にこれをいいことに、国債を大量増発するようなことになれば、そのツケは大きなものになるだろう。

③定数是正は、違憲状態がさらに拡大している以上、急務である。問題は定数削減で、これはまさしく永田町の当事者のなかで、「負の再分配」をいかに合意形成するかだ。三分の二を持つ与党の責任は大きい。

自民党には与党として三党合意を実行する責任を、民主党には政権を経験した野党としての責任を厳しく求めていくことが、主権者としての役割だ。

 TPP交渉参加も時間切れが迫っている。参加11カ国のTPP交渉は2013年中の交渉妥結を目指す方針で一致。来年10月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が大きな節目となり、3月にシンガポールで開催される次回の交渉会合からは、関税撤廃の例外品など個別分野で詰めの議論が交わされる公算が大きい。
 だが、日本の次回会合参加は絶望的だ。交渉参加の条件となる米国の承認を得るには、90日前までに米大統領が議会に通知する「90日ルール」があり、安倍総理が年明けすぐに交渉参加を表明しても、実際の参加は4月以降となる。そのうえ自民党内には、農協の支援を受けて「TPP反対」を訴えてきた議員も少なくない。参院選を前に党内の意見集約は難航が予想され、参加表明がさらにずれ込む可能性が高い。このまま交渉に参加できなければ、日本の主張がいっさい反映されないまま、10月のAPECで合意した通商ルールをそのまま容認するだけになる。

 TPP交渉参加を見送り、消費増税を先送りし、財政を拡張させる―依存と分配を復活させて獲得する参院選後の政治の安定とは何だろうか。これで憲法改正を可能とする議席数を確保できたとして、それがはたしてわが国の国益だろうか。政治の安定は、三党合意やTPPという課題のなかから、「負の再分配」の実践的教訓を積み上げてこそ獲得されるべきではないか。

 そして「負の再分配」、そこでの公正さを担保する参加と合意形成は、何よりも自治の現場、自治の公共空間でこそ集積される。その基礎からこそ、選挙制度や政党がどうであれ、それを使いこなすことができる主権者が生まれる。また2030年を見据えた社会の転換は、地域での試行錯誤とその実績からこそ可能となる。その実績をつくり出さない限り、なし崩しの現状肯定(依存と分配への先祖がえり)を、上手にたたむことはできない。こうした自治の基礎のうえで政権や政党を検証する、賢明な主権者になろう。

次世代につなぐ未来と希望を語る覚悟を!

==================================

新春特別シンポジウムのお知らせ

==================================

●新春特別シンポジウム

「エネルギーと自治~民主主義のバージョンアップとフォロワーシップの転換」

1月12日(土)12時から15時30分

アルカディア市ヶ谷 5階「穂高」

参加費 2000円

パネラー 植田和弘・京都大学教授、諸富徹・京都大学教授

     武久顕久・瀬戸内市長、原亮弘・おひさま進歩社長、前田武志・参院議員

*2030年代原発稼動ゼロも、電力システム改革も、温室効果ガス25%削減も、ぜーんぶチャラにされそうな勢いです。とはいえ、原発ゼロも自治分権も、政府が決めればできるのではなく、地域での実績を積み上げることなしには、なし崩しの現状肯定が続くだけです。政権がどうなろうと(独裁政権でない限りは)、なし崩しの現状肯定を変えることができるのは、私たちの意欲と行動にほかなりません。

ぜひ、ご参加を!

*******************************
石津美知子
「がんばろう、日本!」国民協議会

http://www.ganbarou-nippon.ne.jp

TEL 03-5215-1330 FAX 03-5215-1333